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勝利の方程式ABCの新バージョン!? インディアンズがトレードで救援投手陣をレベルアップ

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブラッド・ハンド May 9, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2年前の夏、ニューヨーク・ヤンキースからクリーブランド・インディアンズへ移ったアンドルー・ミラーは、ブライアン・ショウコディ・アレンの2人とともに勝利の方程式を形成した。彼ら3人のファーストネームの頭文字を並べると、ABC。登板の順序は必ずしもABCではなく、BACも多かったが、このトリオは昨シーズンも力を発揮した。

 オフにFAとなったショウがコロラド・ロッキーズへ去り、ABCトリオは解散した。だが、インディアンズはこの夏、サンディエゴ・パドレスからブラッド・ハンドを獲得した。ハンドのファーストネームはBから始まる。勝利の方程式ABCの新バージョンが生まれるかもしれない。

 ただ、初代のABCのようになれるかどうかは不透明だ。鍵を握るのはミラーだろう。ハンドは2年続けてオールスター・ゲームのメンバーに選ばれ、アレンは防御率こそ4点台ながら、21度のセーブ機会で失敗は1度しかないが、ミラーはかつての制球難を再発させ、現在はシーズン2度目の故障者リストに入っている。

 ハンドを獲得したトレードで、インディアンズはアダム・シンバーも手に入れた。シンバーは右のサイドアーマーだ。今シーズンの開幕戦でメジャーデビューし、パドレスでは42試合に登板して防御率3.17を記録した。

 左右のリリーバーを同時に加え、インディアンズはブルペン全体の向上を図る。今シーズンのブルペン防御率は、昨シーズンの2.89(リーグ1位)から5.28(ワースト2位)へ悪化している。

 なお、2代目のABCが機能した場合でも、その期間は初代より短いだろう。ミラーとアレンは、オフに揃ってFAとなる。インディアンズが、2020年まで契約が残るハンド(2021年は球団オプション)とメジャーリーグ1年目のシンバーを獲得したのは、来シーズン以降も見据えた動きだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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