投手が野手からホームランを打つ。それをお膳立てしたのは平野佳寿!?
投手がホームランを打つ。野手が登板する。どちらもそう珍しくはなく、今シーズンもそれぞれ10度以上を数える。ただ、両方が一度に起きることは滅多にない。
7月11日に先発登板したヘルマン・マーケズ(コロラド・ロッキーズ)は、5回裏の打席で、本来は内外野を守るユーティリティ・プレーヤーのダニエル・デスカルソ(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)が投げた球を、外野スタンドまで弾き返した。投手が野手からホームランを打つのは、1986年6月23日に先発投手のマイク・ラコス――箱はかぶっていない――が、外野手のデイン・オージから記録して以来だ。ラコスもマーケズも、キャリア初のホームランだった。
3回裏が終わった時点で、ダイヤモンドバックスは11点差をつけられていた。もっとも、4回裏のマウンドに上がった平野佳寿が抑えていれば、デスカルソの登板はなかったかもしれない。平野は1アウトを取った後、続けて4安打を打たれ、二塁を守っていたデスカルソにマウンドを譲った。
5回より前に野手が登板するのは、投手が野手からホームランを打つ以上に珍しい。1979年8月29日のサル・バンドー以来だ。三塁を守っていたバンドーは、4回裏の無死一、三塁から登板し、3.0イニングを投げた。バンドーには及ばないものの、デスカルソも2.2イニングを投げた。こちらは、1988年5月14日のホゼ・オケンドー(4.0イニング)以来のロング・リリーフだ。オケンドーは16回表に、一塁からマウンドへ移った。
さらに、椿事は続いた。7回裏にはデスカルソと一塁を守っていたアレックス・アビーラが交代し(デスカルソは二塁手→投手→一塁手、アビーラは捕手→一塁手→投手)、アビーラは8回裏も投げた。同じ試合で、チームメイトの野手2人が登板してそれぞれ2.0イニング以上を記録したのは、1956年7月31日以来だ。ジョニー・オブライエンが6回表と7回表、エディ・オブライエンが8回表と9回表を投げた。控え野手だった彼らは、ただのチームメイトではなく兄弟。それも双子だ。