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球宴ホームラン・ダービーにはこの打者を! 本塁打の出にくい球場でアーチを量産し、新記録を樹立する勢い

宇根夏樹ベースボール・ライター
クリスチャン・ビヤヌウェイバ(サンディエゴ・パドレス)May 6, 2018(写真:ロイター/アフロ)

 サンディエゴ・パドレスが本拠地とするペトコ・パークは、ホームランの出にくい球場だ。

 球場がオープンした2004年から昨シーズンまでに、パドレスの選手がホーム・ゲームで「打った本塁打」と「打たれた本塁打」は合計1904本。これを下回るのは、サンフランシスコ・ジャイアンツ(1662本)とピッツバーグ・パイレーツ(1872本)だけだ。また、ペトコ・パークで1シーズンに20本以上のホームランを打った選手はいない。2016年にウィル・マイヤーズが記録した18本が最多だ。パドレスにスラッガーがいなかったわけではなく、先日、ニューヨーク・メッツから解雇されたエイドリアン・ゴンザレスは、2007年から4年続けて30本塁打以上を放ち、2009年は40本に乗せた。だが、どのシーズンもアウェーの方が多く、ペトコ・パークでは15本に達したことすらなかった。

 この球場の特性を踏まえると、クリスチャン・ビヤヌウェイバ――日本では「ビヤヌエバ」と表記されることが多い――のアーチ量産は、驚異的と言っていいだろう。リーグ3位の15本塁打中、ペトコ・パークで記録したホームランは9本を数える。6月はホームでもアウェーでもまだ0本だが、これは、自打球が左足首に当たった影響だと思われる。パドレスは69試合を終え、残りは93試合。故障者リスト入りはしておらず、左足首が万全になれば、マイヤーズの18本塁打を超え、ペトコ・パークのシーズン新記録を樹立できる。それとともに、本塁打王を獲得するかもしれず、新人王の受賞もあり得る。ビヤヌウェイバは26歳のメキシカンだ。昨年9月にメジャーデビューした。

 一方、今年のオールスター・ゲームに、ビヤヌウェイバがファン投票で選ばれる可能性は、皆無に等しい。ナ・リーグの三塁手にはノーラン・アレナード(コロラド・ロッキーズ)とクリス・ブライアント(シカゴ・カブス)がいる上、第1回の中間発表で、各ポジションの5位以内(外野手は15位以内)にパドレスの選手は一人もいなかった。だが、チームメイトの成績からして、ビヤヌウェイバのロースター入りはかなり有望だと思われる。他にパドレスから選ばれそうなのは、クローザーのブラッド・ハンドくらいだ。

 オールスター・ゲームに選ばれなくても、ビヤヌウェイバには、前日に行われるホームラン・ダービーに出場してほしい。過去には、そういった例も何度かある。5年前にホームラン・ダービーで優勝したヨエニス・セスペデス(当時オークランド・アスレティックス/現ニューヨーク・メッツ)は、その年のオールスター・ゲームに選出されていなかった。

 なお、ビヤヌウェイバはすでに、メキシコ生まれの新人ホームラン記録を塗り替えている。これまでは、2002年にジェロニモ・ギルが記録した12本塁打が最も多かった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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