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防御率1点台の平野佳寿はオールスターに選ばれるのか。他の日本人選手は絶望的

宇根夏樹ベースボール・ライター
平野佳寿(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)Jun 2, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4人の日本人投手が故障者リストに入り、牧田和久(サンディエゴ・パドレス)はマイナーリーグのAAAにいるが、平野佳寿(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)は好投している。12ホールドを記録し、防御率は1.67。5月6日以降の15登板は失点がなく、前の投手から引き継いだ走者は、シーズンを通して9人とも生還させていない。

 今年のオールスター・ゲームに選ばれる日本人選手がいるとすれば、平野以外にいないだろう。大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)はDHとしてファン投票で選出される可能性があるものの、そうなっても試合には出場できないことが今から予想されるため、票は伸びないと思われる。野手と違い、投手のファン投票は行われない。

 平野の12ホールドは、チームメイトのアーチー・ブラッドリー(17ホールド)とワシントン・ナショナルズのブランドン・キンツラー(13ホールド)に次ぎ、他2人と並び、ナ・リーグで3番目に多い。一方、防御率1.67は救援20イニング以上の12位だ。平野より上位には10セーブ以上の投手が2人いるので、彼らを除くと10位となる。1位から9位までの9人のうち、アダム・オッタビーノ(コロラド・ロッキーズ)、ジョシュ・ヘイダー(ミルウォーキー・ブルワーズ)、ダン・ウィンクラー(アトランタ・ブレーブス)の3人は、10ホールド以上を挙げていて、防御率は平野よりも低い。

 クローザー以外のリリーフ投手にとって、オールスター・ゲームは狭き門だ。昨年は両リーグ合わせても、5人しか選ばれなかった(うち1人は故障者の代替)。今年も同様に各リーグ2~3人であれば、現時点では、平野は選出されない可能性の方が高い。

 オールスター・ゲームのロースター34人には、ファン投票選出を含め、各チームから少なくとも1人という規定がある。昨年、ナ・リーグのメンバーに選ばれたクローザー以外のリリーフ投手は、2人ともチームで唯一人の選出だった。自身の好成績とともに、際立った成績のチームメイトがいなかったことも、彼らには追い風となった。

 だが、これは今年の平野には当てはまらない。ダイヤモンドバックスでは、5年続けて選出されているポール・ゴールドシュミットが例年に比べて不調で、他に選ばれそうな野手も見当たらないが、先発投手のパトリック・コービンが防御率2.87を記録している。また、前述のとおり、ブラッドリーのホールドは平野よりも多く、防御率も2.35と優秀だ。引き継いだ走者も、13人中3人しか生還させていない。

 平野がオールスター・ゲームに選ばれるとすれば、好投の継続は前提条件として、チームメイトに故障が相次ぐか、選手や監督に強い印象を与えるかだろう。ヘイダーは4月末の試合で2.2イニングを投げ、打者9人と対戦して8三振を奪い(与四球1)、その名を一躍知らしめた。平野の場合、ロング・リリーフはしていないので、ヘイダーのような奪三振ショーは望めないが、無失点のストリークが20登板を超えれば、少しは耳目を集めるかもしれない。

 なお、自責点ゼロの登板を最も長く続けたのは、2016年のザック・ブリットン(ボルティモア・オリオールズ)だ。5月5日から8月22日にかけて、3失点の試合が1度だけあったものの、43登板にわたって自責点を記録しなかった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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