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103マイル以上を5球続け、そのうち2球は105マイル。ただし、アウトは奪えず

宇根夏樹ベースボール・ライター
ヤディアー・モリーナ(左)とジョーダン・ヒックス Apr 21, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月8日にアロルディス・チャップマン(ニューヨーク・ヤンキース)が投げた4シームは、103.3マイルを記録した。この球は打席にいたジャッキー・ブラッドリーJr.(ボストン・レッドソックス)の身体に当たったが、2日前にジョーダン・ヒックス(セントルイス・カーディナルス)が投げたシンカー/2シームの102.4マイルを抜き、今シーズンの最速球となった(球速はスタットキャストによるもの)。

 だが、2週間経たないうちに、チャップマンの103.3マイルはシーズン最速球の座から陥落し、一気に6位まで落ちた。5月20日にヒックスがオドゥーバル・ヘレーラ(フィラデルフィア・フィリーズ)に投げた5球は、いずれも103マイル以上。それぞれ、104.2マイル(見逃しストライク)、105.0マイル(ボール)、104.3マイル(ファウル)、105.1マイル(ファウル)、103.7マイル(空振り)を記録した(前の打者に投げた最後の球は100.3マイル、次の打者の1球目は100.6マイル)。

 5球目がワイルド・ピッチとなり、ヘレーラは振り逃げで一塁に達したものの、ヒックスは「1試合に105マイル以上を2球投げた初の投手(データが存在する2008年以降)」となった。4月に「ハードボーラーの世代交代!? チャップマンを凌ぐ21歳の豪腕が現れた」で書いたとおり、チャップマンの球速は上がってきたが、ヒックスはさらにその上を行く。

 なお、ヘレーラにとっては、ヒックスとの対戦がこの試合最後の打席となった。その前の3打席は、三振、内野ゴロ、三振。昨シーズンから続けていた出塁のストリークが、45試合で途切れた。こちらは、2016年にジェイソン・ワース(現シアトル・マリナーズ)とフレディ・フリーマン(アトランタ・ブレーブス)が46試合連続出塁を記録して以来の長さ。ちなみに、史上最長は1949年にテッド・ウィリアムズが作った84試合連続だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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