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エースが3人、相次いで打球に直撃される。開幕投手の行方は?

宇根夏樹ベースボール・ライター
マディソン・バムガーナー(サンフランシスコ・ジャイアンツ)Aug 9, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 開幕投手と目されていたエースが3人、相次いで強烈な打球に襲われた。3月23日はクリス・アーチャー(タンパベイ・レイズ)とマディソン・バムガーナー(サンフランシスコ・ジャイアンツ)、その翌日はクリス・セール(ボストン・レッドソックス)が、それぞれ右腕、左手、左腰に打球を受けた。2月26日にはフェリックス・ヘルナンデス(シアトル・マリナーズ)も、右腕に打球を喰らった。4人とも、その時点で降板を余儀なくされた。

 彼らのうち、バムガーナーが開幕戦のマウンドに立つ可能性は消えた。小指の中手骨を骨折して手術を受け、6~8週間は出遅れる見込みだ。開幕投手の連続記録は、4年でストップする。

 ジャイアンツでは、右肩を痛めたジェフ・サマージャの開幕DLも決まっている。バムガーナーに代わって開幕戦に投げるのは、ジョニー・クエイトだろう。クエイトは2012年から2015年まで、シンシナティ・レッズで4年続けて開幕投手を務めた。

 一方、アーチャー、セール、フェリックスの3人は、今後の経過を見守る必要はあるものの、予定どおりに投げられそうだ。アーチャーの開幕投手は4年連続4度目、セールは2年ぶり4度目(過去3度はシカゴ・ホワイトソックス)、フェリックスは10年連続11度目となる。

 これまで、同じチームで10年以上続けて開幕投手を務めたのは、ウォルター・ジョンソン(ワシントン・セネタース/1912~21年)、ロビン・ロバーツ(フィラデルフィア・フィリーズ/1950~61年)、トム・シーバー(ニューヨーク・メッツ/1968~77年)、スティーブ・カールトン(フィリーズ/1977~86年)、ジャック・モリス(デトロイト・タイガース/1980~90年)の5人しかいない。彼らは全員、殿堂入りしている。

 また、フェリックスの10試合と9年連続はすでにマリナーズの球団記録だが、アーチャーはレイズの球団記録にリーチをかけている。今シーズンの開幕戦に投げれば、ジェームズ・シールズ(現ホワイトソックス)の4試合に並び、シールズの3年連続を上回る。ちなみに、シールズはキャリア8度目の開幕投手を務める予定だ。

 開幕戦は3月29日。2人のクリス、アーチャーとセールは、同じ試合で投げ合う。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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