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イチローが歴代2位に浮上するであろう、あまりうれしくない記録

宇根夏樹ベースボール・ライター
イチローのポストシーズン出場は2001年と2012年 OCT 12, 2012(写真:ロイター/アフロ)

 今シーズン、イチロー(シアトル・マリナーズ)は35試合に出場すると、ケン・グリフィーJr.の通算出場2671試合に並び、「ワールドシリーズに出場していない選手のレギュラーシーズン出場試合」で歴代2位タイとなる。その上にいるのは、2831試合のラファエル・パルメイロだけだ。

 1903年以降、2500試合以上に出場した選手は56人しかいない(ワールドシリーズは1903年に始まった)。これはかなりの偉業だと思うが、それだけに一度もワールドシリーズに出場していない6人は際立つ。パルメイロ、グリフィー、イチローの後ろには、アンドレ・ドーソン(2627試合)、アーニー・バンクス(2528試合)、フリオ・フランコ(2527試合)が続く。

 グリフィーの同名の父は、ワールドチャンピオン・リングを2つ手にした。アダルベルト・モンデシー(カンザスシティ・ロイヤルズ)のように、レギュラーシーズンの出場経験がないまま、ワールドシリーズでメジャーデビューした選手もいる。なお、2015年のワールドシリーズにはラウル・モンデシーとして出場。父と兄も同じファーストネームのラウルであることから、今シーズンよりミドルネームを名乗る。

 もちろん、イチローはこれから、ワールドシリーズに出場するかもしれない。そうなれば、このランキングから名前は消える。ただ、1977年の創設以来、マリナーズがワールドシリーズまで進んだことはなく、ポストシーズン進出も2001年が最後。現時点では、どの球団よりも長くポストシーズンから遠ざかっている。今シーズンに関しても、ポストシーズン進出の可能性はそう高くない。同地区にヒューストン・アストロズがいることを考えると、ワイルドカードをゲットできるかどうかだろう。

 これまで、ワールドシリーズ初出場までにレギュラーシーズンの試合に最も多く出場したのは、クレイグ・ビジオだ。2005年に初めてワールドシリーズの舞台に立った時、通算出場は2564試合に達していた。イチローの出場試合はすでにビジオを上回っているので、ワールドシリーズに出場すれば、この記録を塗り替える。

 あるいは、ワールドシリーズと縁がないままにあと数シーズンを過ごせば、イチローはパルメイロを追い抜く。1月に「40代メジャーリーガーが激減!? 現時点で球団が決まっているのは1人だけ」で紹介したとおり、パルメイロはカムバックしたいと考えているらしいが、53歳の彼と契約する球団は現れていない。

 ちなみに、ワールドシリーズ優勝を味わっていない選手の最多出場は、カール・ヤストレムスキーの3308試合だ。ヤズはボストン・レッドソックス一筋にプレーし、1967年と1975年のワールドシリーズに出場したが、レッドソックスはどちらのシリーズも3勝4敗で敗れた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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