３月を迎えても、イチローの契約が決まらない。もしかすると、メジャーリーグでプレーする姿は、二度と見られないのかもしれない。そう願っているわけではないが、44歳の年齢を考えると、現実はかなり厳しいと思われる。

　昨シーズン、イチローは50本のヒットを打ち、メジャーリーグ通算安打を3030本から3080本とする過程で、ロッド・カルー（3053本）、リッキー・ヘンダーソン（3055本）、クレイグ・ビジオ（3060本）の３人を追い抜いた。歴代順位は、ベースボール・リファレンスの数え方では26位から22位へ。MLB.comでは25位から21位へ上昇した。

　今シーズン、メジャーリーグでプレーしなければ、イチローの順位は下がるだろう。エイドリアン・ベルトレー（テキサス・レンジャーズ）との差は32本しかなく、アルバート・プーホルス（ロサンゼルス・エンジェルス）も112本差に迫っている。

　ベルトレーのシーズン最少安打は、1998年の42本だ。プーホルスはこれまで、2013年の101本を除き、どのシーズンも140本以上を打ってきた。２人とも、長期欠場に見舞われない限り、今シーズンが終わるまでにイチローの3080本を上回る。ちなみに、現時点の年齢は、どちらもイチローより６歳若い。

　ベルトレーは、13年ぶりにイチローを抜き返す。イチローの３年前にメジャーデビューしており、2004年が終わった時点の通算安打は、イチローより25本多かった。

　プーホルスは、イチローと同じ2001年４月２日にメジャーデビューした。そこから2013年まで、イチローを上回るヒットを打ったシーズンは一度もなく――2003年は同数の212本――2013年が終わった時点では395本の差がついていた。

　偶然ながら、2011年が終わった時点のベルトレーとイチローの差も、同じく395本だった。ベルトレーもプーホルスも、その翌年からイチローとの差を縮めてきた。

　プーホルスはイチローを追い抜く前に、シーズン32本目のヒットを打った時点で、史上32人目の3000安打に到達する。こちらは、ベースボール・リファレンスもMLB.comも同じ人数だ。

　なお、過去の達成者のうち３組は、同じ年にメジャーデビューしたが、イチローとプーホルスのように月日まで同じ２人はおらず、同月すらいない。カール・ヤストレムスキー（3419本）とルー・ブロック（3023本）のメジャーデビューは、それぞれ1961年の４月と９月だった。デーブ・ウィンフィールド（3110本）とジョージ・ブレット（3154本）は1973年の６月と８月、ウェイド・ボッグス（3010本）とトニー・グウィン（3141本）は1982年の４月と７月にメジャーデビューした。