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最も入れ替わりの激しいポジション。ジャイアンツの開幕レフトは過去11年とも異なる選手

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から、G.ヘルナンデス、D.スパン、H.ペンス Jun 8, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 過去11年、サンフランシスコ・ジャイアンツはどの開幕戦も、異なる選手をレフトに起用してきた。2006~07年のバリー・ボンズを最後に、2年続けて出場した選手がいないだけではない。間をおいて2度、あるいはそれ以上という選手すらいない。

 また、レッドソックスのレフトも、10年続けて異なる選手が開幕戦に出場している。現在、どのチームにおいても、投手を含む全ポジションのなかで、この2ポジションより長く入れ替わり続けているところはない。過去すべての開幕戦を調べたわけではないが、これはかなり珍しい記録ではないだろうか。

筆者作成
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 ともにレフトであることは偶然の要素も大きそうだが、共通点がないわけではない。両チームとも、稀代のスラッガーがチームを去ったところから、入れ替わりは始まった。

 ボンズは2007年限りでユニフォームを脱ぎ、マニー・ラミレスは2008年の夏に三角トレードでロサンゼルス・ドジャースへ移った。1993年から2007年までの15年間に、ボンズが開幕戦でジャイアンツのレフトを守らなかったのは、故障で長期欠場した2005年だけだ。マニーは2002年から2008年まで7年続けて、開幕戦にレッドソックスのレフトとして出場した。

 ジャイアンツのレフトは、外野陣に故障などのアクシデントがない限り、今シーズンの開幕戦も異なる選手が出場するだろう。過去2年の開幕戦ではライトを守ったハンター・ペンスが、今シーズンはレフトへ移る。1月にピッツバーグ・パイレーツから加入したアンドルー・マッカッチェンが、ライトに入るためだ。ペンスは今シーズン終了後にFAとなるので、入れ替わりはさらに続くかもしれない。

 一方、レッドソックスのレフトは、入れ替わりが止まりそうだ。昨シーズンの開幕戦に出場したアンドルー・ベニンテンディは、23歳と若く、まだメジャーリーグ2年目を終えたばかり。昨シーズンに「20-20」を記録して新人王投票で2位に入ったのはまぐれではなく、マニーのようにフェンウェイ・パークでグリーンモンスターを背にして守り続ける可能性は高い。

 この2チームのレフトとは対照的に、同じ選手が10年以上にわたって開幕戦の先発出場を続けているポジションもある。セントルイス・カーディナルスでは、ヤディアー・モリーナが2005年から13年続けて開幕戦でスタメンマスクをかぶり、レッドソックスでは、ダスティン・ペドロイアが2007年から11年続けて二塁を守っている。

 ヤディの開幕スタメンは、今シーズンも不動と思われる。ただ、ぺドロイアは昨年10月に左膝の手術を受けた。開幕戦には間に合う見込みだが、ペドロイアに代わってエデュアルド・ヌニェスが二塁を守ることになるかもしれない。ヌニェスは昨シーズン、ジャイアンツの三塁手として開幕戦に出場した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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