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大谷翔平からメジャーリーグを観ようと思っている人へ【その2】アストロズはプレーオフで最も負けた王者に

宇根夏樹ベースボール・ライター
ダラス・カイクル(左)とアレックス・ブレグマン Nov 3, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 メジャーリーグのプレーオフ(ポストシーズン)は、ワイルドカードのチーム同士が対戦する「ワイルドカード・ゲーム」から幕を開ける。これはシリーズではなく、1試合で決着する。

 ワイルドカード・ゲームで負けたチームはここで姿を消し、勝ったチームは「ディビジョン・シリーズ(地区シリーズ)」へ進む。このシリーズは、先に3勝したチームが勝者だ。ア・リーグもナ・リーグも2シリーズずつ行い、一方はレギュラーシーズン最高勝率のチームとワイルドカード・ゲームの勝者、もう一方は残る地区優勝2チームが対戦する。

 ディビジョン・シリーズの勝者は「リーグ・チャンピオンシップ・シリーズ(リーグ優勝決定シリーズ)」へ進出する。このシリーズで先に4勝したチームが、リーグ・チャンピオン(リーグ優勝)となる。

 そして、最後はア・リーグ優勝チームとナ・リーグ優勝チームが「ワールドシリーズ」で対戦する。こちらも先に4勝した方が勝者、すなわちワールドチャンピオンに輝く。

 ワールドチャンピオンになるまでには、地区優勝チームの場合、プレーオフで11勝する必要がある。3勝(ディビジョン・シリーズ)+4勝(リーグ・チャンピオンシップ・シリーズ)+4勝(ワールドシリーズ)だ。ワイルドカードのチームは、12勝を要する。

 一方、プレーオフで8敗したチームがワールドチャンピオンということも、あり得る。2敗(ディビジョン・シリーズ)+3敗(リーグ・チャンピオンシップ・シリーズ)+3敗(ワールドシリーズ)だ。昨年のヒューストン・アストロズは7敗し、2011年のセントルイス・カーディナルスと並んで「プレーオフで最も多く負けたワールドチャンピオン」となった。

 3地区制が導入された1994年以降――1994年はストライキによってプレーオフが開催されなかったので実際は1995年以降、プレーオフで無敗のワールドチャンピオンは出てない。1999年のニューヨーク・ヤンキースと2005年のシカゴ・ホワイトソックスは、どちらもリーグ・チャンピオンシップ・シリーズで1敗した。

 また、1995年以降にリーグ優勝したチームのレギュラーシーズン勝率は、1位が15チーム、2位が12チーム、3位が8チーム、4位が7チーム、5位が3チーム、7位が1チームだ(6位はなし。順位はタイを含む)。順位の高さとリーグ優勝の多さは、ほぼ一致する。ただ、ワイルドカードからのリーグ優勝は12チームを数え、そのうち半数はワールドチャンピオンの座についた。

 ア・リーグの最高勝率チームとナ・リーグの最高勝率チームが対戦したワールドシリーズも、ワイルドカードの2チームによるワールドシリーズも、1995年以降に2度ずつ。前者は1995年と2013年、後者は2002年と2014年がそうだ。過去2年は、いずれも別々のチームながら、両年ともア・リーグ勝率2位のチームとナ・リーグ最高勝率のチームが対戦した。

大谷翔平からメジャーリーグを観ようと思っている人へ【その1】プレーオフ進出チームは全体の3分の1

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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