1試合に9ポジションを守った選手がマリナーズへ移籍
11月2日、アンドルー・ローマインがデトロイト・タイガースからシアトル・マリナーズへ移籍した。タイガースがローマインをウェーバーにかけたところに、マリナーズが獲得の名乗りを上げた。マリナーズのジェリー・ディポートGMがロサンゼルス・エンジェルスでGMを務めていた時、ローマインはエンジェルスでプレーしていた。2014年の開幕前にローマインをタイガースへトレードしたのは、他ならぬディポートだ。
今回の移籍から1ヵ月前、ローマインは球史に名前を刻んだ。と言っては少し大袈裟だろうが、9月30日のミネソタ・ツインズ戦で9ポジションすべてを守った。同じことをした選手は過去に4人いて、その他にバスター・ポージー(サンフランシスコ・ジャイアンツ)も大学時代に経験している。
この「余興」を演出したブラッド・オースマス監督――数日前にシーズン終了後の解任が決まっていた――は、シェーン・ホールターが史上4人目の全ポジション制覇を成し遂げた、2000年10月1日の試合に出場した。ホールターのポジション変更に伴い、オースマスも本職の捕手に加えて、遊撃を除く内野3ポジションを守った。ホールターとローマインは、どちらもタイガースで達成。ホームとアウェーは逆ながら、ツインズ戦ということも共通する。
ローマインは今シーズン、バッテリー以外の7ポジションで、それぞれ65イニング以上を守った。それまで捕手だけは経験のなかったローマインは、きっとこの日のためだろう、ニューヨーク・ヤンキースにいる弟のオースティンから中古のミットを譲ってもらった。ちなみに、弟はマイナーリーグを含めても、捕手と一塁手しか務めたことがない。彼らの父、ケビンは外野手だった。
新天地でも、ローマインはスーパー・ユーティリティとして働き、マリナーズがまたしてもポストシーズンを逃せば、まだ誰も記録していない2試合目の全ポジション出場をやってのけるかもしれない。ただ、まずはロースターに入る必要がある。マリナーズには内外野を守るテイラー・モッターとショーン・オマリーがおり、ローマインは彼らとロースター枠を争うことになりそうだ。3人とも打撃はあまり期待できず、ローマインとオマリーはスイッチヒッターという点もかぶっている。