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オランダに続き、アメリカもWBC決勝ラウンドにクローザーを追加。どちらも決め球はカッター

宇根夏樹ベースボール・ライター
マランソンは昨シーズン、パイレーツとナショナルズで投げた Oct 9, 2016(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

オランダに続き、アメリカもエリート・クローザーを加え、WBCの決勝ラウンドに臨む。オランダはケンリー・ジャンセン(ロサンゼルス・ドジャース)、アメリカはマーク・マランソン(サンフランシスコ・ジャイアンツ)だ。

ジャンセンの参加については「オランダがWBC優勝に向けてグレードアップ。8年前は捕手として出場した選手が、最終回のマウンドへ」で書いた。ジャンセンと同じく、マランソンもDPとして登録されており、ドルー・スマイリー(シアトル・マリナーズ)と入れ替わるようだ。

マランソンが過去3年に挙げた131セーブは、メジャーリーグで最も多く、ジャンセンの127セーブはそれに次ぐ。ともに右腕から投じるカッターを軸とし、PITCHf/xによると、昨シーズンのマランソンはカッターが投球の58.8%、ジャンセンは89.7%を占めた。球速はジャンセンが勝り、奪三振も多いが、マランソンは多くのゴロを打たせる。制球はどちらも優秀だ。

昨シーズン、2人は揃って両リーグ2位の47セーブを記録し、このオフはアロルディス・チャップマンとともに、FAの大物クローザーとしてストーブリーグを賑わせた。チャップマンは5年8600万ドルでニューヨーク・ヤンキースへ戻り、ジャンセンは5年8000万ドルでドジャースと再契約。マランソンは4年6200万ドルでジャイアンツに入団した。

彼らが所属する3球団は、かつて、ニューヨークを本拠としていた。ヤンキースはニューヨークに残っているが、ドジャースとジャイアンツは1958年より西海岸へ移り、今日もナ・リーグ西地区のライバルとして鎬を削る。2012年以降、この地区からポストシーズンへ進出したのは、ドジャース(4度)とジャイアンツ(3度)の2球団だけだ。

WBCの準決勝で、オランダはプエルトリコ、アメリカは日本と対戦する。その結果、決勝がオランダ対アメリカとなれば、今シーズンはライバル球団でクローザーを務める2人、ジャンセンとマランソンが投げ合う可能性も出てくる。付け加えると、舞台はドジャースの本拠地、ドジャー・スタジアムだ。

レギュラーシーズンにおいて、両チームのクローザーが同じ試合に投げることはあまりない。けれども、ポストシーズンやWBCのような短期決戦は違う。彼らは試合を締めくくるクローザーにとどまらず、相手の攻撃を鎮火するファイヤーマン(消防士)の役割も担う。昨年のワールドシリーズでは、7試合中3試合で、両チームのクローザーいずれもがマウンドに上がった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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