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史上25人目の300勝投手が誕生するのはいつ? 現役最多のコローンは43歳、あと60勝以上が必要

宇根夏樹ベースボール・ライター
バートロ・コローン May 29, 2016(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

先日、「イチローに続いて3000安打に到達するのは誰? 史上31人目と32人目は決まり。そして33人目は」という記事を書いていて、ふと思った。今後、新たな300勝投手は出てくるのだろうか?

「300勝クラブ」には、現時点で24人が入会している。最新メンバーのランディ・ジョンソンが300勝目を挙げたのは今から8年前、2009年のことだ。

現役選手では、バートロ・コローン(アトランタ・ブレーブス)の233勝が最も多い。コローンは5月に44歳を迎えるが、まだまだ元気だ。過去4年とも190イニング以上を投げている。狙えば、300勝は可能だろう。ただ、コローンはその前に引退しそうな気配だ。

昨年の夏、ニューヨーク・デイリー・ニューズのクリスティ・アッカートとESPNのアダム・ルービンがそれぞれ発表した記事によると、コローンのゴールはホアン・マリシャルが持つ「ドミニカン最多の243勝」、あるいはニカラグア出身のデニス・マルティネスが挙げた「ラテン・アメリカン最多の245勝」らしい。コローンは4年続けて14勝以上を挙げており、5年連続とすれば2人を追い抜く。

コローンに次ぐのは、223勝のCC・サバシア(ニューヨーク・ヤンキース)だ。こちらは36歳。コローンと比べれば若いとはいえ、近年は衰えが見え、勝ち星も3年続けて1ケタにとどまっている。ニューヨーク・ポストのケビン・カーナンによれば、サバシアは昨年3月に「あと4~5年投げたい」と語ったそうだが、それを実現しても300勝には届かないだろう。ヤンキースとの契約は2017年で終わる。

コローンとサバシア以外に200勝以上の現役投手はおらず、150勝以上に6人が並ぶ。176勝のジョン・ラッキー(シカゴ・カブス)、173勝のジャスティン・バーランダー(デトロイト・タイガース)、155勝のザック・グレインキー(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)、154勝のフェリックス・ヘルナンデス(シアトル・マリナーズ)、152勝のジェイク・ピービー、150勝のジェレッド・ウィーバーと続く。このなかでは、4月で31歳のフェリックスが最年少だが、300勝までは折り返し地点を過ぎたばかりだ。

20代では、3月に29歳となるクレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)の126勝が最も多い。100勝以上の20代は他に2人。28歳のリック・ポーセロ(ボストン・レッドソックス)と27歳のマディソン・バムガーナー(サンフランシスコ・ジャイアンツ)が、それぞれ107勝と100勝を挙げている。彼らは3人とも、300勝に到達するにしても、あと10年はかかる。

次の300勝投手が現れるまでに、10年以上を要した例は5度を数える。最近では、20人目のノーラン・ライアンが1990年、21人目のロジャー・クレメンスが2003年に到達した。最も離れているのは、12人目のレフティ・グローブと13人目のウォーレン・スパーンだ。グローブの300勝目は1941年で、スパーンはその20年後だった。24人目のランディから25人目までは、さらに長い歳月を待つことになるかもしれない。

ちなみに、「300勝クラブ」の会員で殿堂入りしていないのはクレメンスだけだ。2013~15年の得票率は40%に満たず、2016年は45.2%だった。殿堂入りには75%以上が必要。2017年の投票結果は、1月18日に発表される。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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