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エンジェルスが本拠地で6年続けてギネス世界記録を達成。そのスタートは松井秀喜にまつわるものだった

宇根夏樹ベースボール・ライター

5月5日、ロサンゼルス・エンジェルスの本拠地、エンジェル・スタジアムでギネス世界記録が達成された。ただし、プレーとはまったく関係ない。エンジェルスがメキシコ・プエプラ州の祝日「シンコ・デ・マヨ」に合わせて配布したソンブレロを、2万5111人の観客がかぶった。

エンジェル・スタジアムでは、6年前からこういった試みが行われている。2010年はフリース・ブランケット、2011年はレスリングのマスク、2012年はカウボーイ・ハット、2013年はラリー・ウィッグ(鬘)、2014年はサンタの帽子。いずれも、ギネス世界記録として認定された。

どのチームも集客のためにさまざまなプロモーション・デーを催しており、ボブルヘッド人形をはじめとするグッズを配布する日も多い。そのなかでも、エンジェルスのこのプロモーションでは、観客はグッズをもらえるだけでなく、世界記録を達成したメンバーにもなれる。なかなかのアイデアだ。

2010年のプロモーションでは、前月にNBAのクリーブランド・キャバリアーズの試合で打ち立てられた記録を更新した。それよりも前から企画していたのかもしれないが、アイデアをパクッたと言われても仕方がない。けれども、そもそも収容人員が違うので、NBAはとうていメジャーリーグには敵わない。この時にエンジェルスが配ったフリース・ブランケットには、当時チームにいた松井秀喜のネームと背番号「55」が記してあった(始球式で投げたのは、マラソン・ランナーの高橋尚子だった)。

さて、来年は何をかぶるか、何を着るのか。鱒(トラウト)が立体的に突き出ているキャップや、天使(エンジェル)の輪などであれば、いかにもエンジェルスらしい。チームには、前年にリーグMVPを受賞した――それよりも、現在最高のメジャーリーガーと呼ぶべきか――マイク・トラウトがいる(偶然ながら、かつてエンジェルスにはティム・サーモン=鮭もいた)。けれども、普遍性のないグッズは、ギネス世界記録として認められないのかもしれない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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