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防災で知ってほしい3つの心理

海原純子博士(医学)・心療内科医・産業医・昭和女子大学客員教授
大阪北部地震直後のJR鶴橋駅(写真:アフロ)

防災で知ってほしい3つの心理

楽観バイアス

 大阪北部地震の影響でJR西日本の路線や私鉄が一時軒並み運転を見合わせました。山陽新幹線では5時間以上車内に閉じ込められた乗客も。また水道管が破裂し断水が起こりスーパーには買い物客が殺到してミネラルウォーターが売り切れ状態。こうした報道を見てあなたは、ご自分も地震に備え何かしなくては、と思ったでしょうか?「自分は大丈夫」と思っている方も多いのでは。これまで自分や家族や親しい人が自然災害を経験していない場合、自分が被害にあう確率は低い、と考える傾向があることが2000年にアメリカの竜巻による被災地調査で分かっています。こんな心理は「楽観バイアス」と呼ばれています。「楽観バイアス」は不安から心を守るための心理といえます。つまり根拠がない安心感は心が傷つくのを防衛してくれるのですが防災への備えをおろそかにしてしまう傾向があるのです。「自分は大丈夫」という楽観バイアスは行政にも通じるのではないでしょうか?これまでの数々の災害、震災で問題になってきた教訓が生かされてきたのか、今また改めて点検しなければならないと思います。

自分の「防災スクリプト」をつくる

 防災対策ではスクリプト、つまり行動の台本を作ることが大事です。私たちは普段買い物に出掛けたり病院に出掛けたりするとき頭の中で手順をイメージしますね。何を持つか、何を着るか、どの交通機関を使うか。それと同じように地震が起きたときの台本を作ってはと思います。部屋のドアを開け避難通路を確保して火をとめる。机の下などに身を隠す。揺れがおさまったら火元確認。ラジオ、テレビをつけ情報を得る。などというように。また家族との連絡手段、連絡場所などもスクリプトに入れることが必要です。まず自分のスクリプトを書き、それを頭の中でイメージしておくと緊急時に役立つはずです。

非常口の心理

 緊急時、非常口の表示があっても人は普段そこを使ったことがない場合やその非常口がどこに出るか知らない場合、その非常口を使わないという心理があるとされています。そのため緊急時は自分が知っている通路を通ろうとすることでリスクが高くなる場合があります。普段から非常口がどこにありどこに通じているか、などを知っておくと緊急時の対策になります。

博士(医学)・心療内科医・産業医・昭和女子大学客員教授

東京慈恵会医科大学卒業。同大講師を経て、1986年東京で日本初の女性クリニックを開設。2007年厚生労働省健康大使(~2017年)。2008-2010年、ハーバード大学大学院ヘルスコミュニケーション研究室客員研究員。日本医科大学医学教育センター特任教授(~2022年3月)。復興庁心の健康サポート事業統括責任者(~2014年)。被災地調査論文で2016年日本ストレス学会賞受賞。日本生活習慣病予防協会理事。日本ポジティブサイコロジー医学会理事。医学生時代父親の病気のため歌手活動で生活費を捻出しテレビドラマの主題歌など歌う。医師となり中止していたジャズライブを再開。

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