「ナイトプール」ブームは実は7年前から 人気の秘密はインスタ映えだけじゃない!

若い女性客であふれる「ナイトプール」。インスタやツイッターで人気。

『若者の○○離れ』と形容され、若者は何かと消費しない世代と思われている。しかし、世の中の事象をつぶさに見ていくと、いくつかのヒット商品にたどり着く。ナイトプールもその一つだ。東京都の遊園地、としまえん(練馬区)では、今年、30年ぶりに夜間のプール営業「ナイトプール」を始めた。品川プリンスホテル(港区)では、去年から雑誌CanCamとコラボした屋外ナイトプール「GARDENPOOL2017」を開始。20代の女性を中心に大盛況だ。ナイトプールを営業するのは都内の有名ホテルが多いが、神戸ポートピアホテル(神戸市)など関西圏やリゾート地でもじわじわと増えてきており、全国的なブームの兆しを見せている。これらのナイトプールに共通しているのは、屋外にあり、ラグジュアリー感があり、大人がメインの客層となっているというところだろうか。大人向けであることを実感させるのは、価格設定だ。以下に、都心部の主なナイトプールの入場料を記載した。

都内の主なナイトプール2017

※施設名(最寄り駅)/金額(ビジター、大人料金)/営業時間(8月)

  • ホテルニューオータニ(赤坂見附)/8,000円(週末は10,000円)/18:00~22:00(日曜休業)
  • 京王プラザホテル(新宿)/4,000円(土日指定日は5,000円)/~20:00
  • 品川プリンスホテル(品川)/3,700円(土休日5,500円)/18:00~21:00
  • ANAインターコンチネンタルホテル東京(六本木一丁目)/5,000円(土日祝祭日お盆は14,000円)/~22:00
  • 東京プリンスホテル(御成門)/女性4,200円、男性6,000円/18:00~21:00
  • グランドニッコー東京 台場(台場)/5,200円(土日祝および8月11日~20日まで12,000円)/~21:00

ホテルのプールは宿泊者向けが多いが、一般客(プールのみの利用客)にも解放されていて、夜間営業があるものをピックアップするとこのようになった。平日でも3,700円~8,000円ほどの利用料となっており、プールサイドでドリンクやフードなどを頼むことも考えると、1人あたり5,000円~10,000円ぐらいの消費が生まれていることになる。まさに、モノ消費からコト消費。消費しないと思われている若者が1万円近くの費用を平日の夜に支払っているのである。

ナイトプールの営業は2001年から。2010年頃から入場客が激増した(ニューオータニ)

まさに都会のオアシスといったところ 画像提供:ホテルニューオータニ
まさに都会のオアシスといったところ 画像提供:ホテルニューオータニ

ホテルニューオータニは、2001年からナイトプールの営業を始めた。いわばナイトプールブームの仕掛け役と言えるかもしれない。担当者に話を聞いた。

「お客様の定員が250人なのですが、2010年あたりからは定員いっぱいまでお客様に利用いただいて、日によっては待ち時間が出ます。デイタイムはホテルの宿泊者が中心ですが、ナイトプールは近隣の女性客などが多いですね。男女比は7:3で女性が中心です。お仕事を終えられた7時~7時半頃からお客様が増えます。カップルでいらっしゃるお客様も多いですが、それより多いのは女性同士のお客様です。幕張や大阪でも行っていますが、東京の利用客が圧倒的に多いですね」(広報 湯本さん)

やはり、利用客は若い女性が多いようだ。ただし、僕がホテルニューオータニのナイトプールを実際に利用してみた印象では、若い女性はもちろん、宿泊客と思われる家族連れや、少人数ではあるが男性客もおり、男性でも居心地が悪くなるような瞬間はなかった。

若い女性に受けているのはインスタグラムなどSNSでナイトプールの幻想的な写真を投稿したいという需要に寄るものだろうか。

「ご来場いただくお客様の中には、もちろんインスタグラムやツイッターなどでハッシュタグ付きでつぶやかれる方も多いです。ただ、それだけではないように思います。例えば、都会の女性にとって、海よりホテルのほうが気軽で、衛生的で、日焼けをしないで済むということもあるのだと思います。また、昨今は海の家でもお酒の提供が難しくなっていますが、ナイトプールではお酒を飲むことができるのもの、ポイントかもしれません」(同)

確かに、水着さえ用意してくれば利用できる気軽さは魅力的だ。実際に、僕も水着だけ持っていって利用することができた(あと、ビーチサンダルぐらいはあるといい)。若い女性にとっては少し高額だが、海水浴に行く交通費やパラソルなどレンタル代を考えると、意外に安上がりなのかもしれない。女性のブームを取り上げるときには、「カワイイから」といった理由で安直にくくられがちだが、「日焼けしたくない」という意見はかなり合理的と言える。

女子会の延長。高価なフレンチよりも格安でラグジュアリー体験

インスタグラムなどSNSがブームの一翼を担っていることは間違いなさそうだが、それだけがブームの理由でもなさそうだ。ナイトプールの利用客に聞いた。

「友達と2人で利用しました。女子会の延長って感じですかね。女子会でいい店に行くと7,000円とか使っちゃうので、同じぐらい支払うならナイトプールは悪くないかなと思います。かわいい水着を買ったけど着る機会がなかったから、ちょうど良かったです。あと、単純に水着の写真をインスタグラムに載せると反響が大きいですね」(20代・女性)

「完全に女子会って感じですね。ホテルだから、ご飯がおいしいんです。だから、おなかいっぱい食べて飲んで、泳いで涼めて、友達のかわいい水着姿も見れて、『一石三鳥』って感じですね」(20代・女性)

プールサイドでオーダーできるメニューの一部(画像提供:ホテルニューオータニ)
プールサイドでオーダーできるメニューの一部(画像提供:ホテルニューオータニ)

確かに女子会の代替と考えてもそれなりに悪くないように思える。場所によるが、一般的なナイトプールの営業時間は夜の9時か10時頃までとなっており、閉園まで利用しても次の日の仕事に響くこともない。週末・土日は友達づきあいや恋愛で忙しい女性でも、平日の夜であれば気の合う仲間と気軽に集まれる。

SNS上でのナイトプールの印象は、キラキラ女子が集うチャラチャラした場所という印象もあるが、ただそれだけがブームの理由ではないようだ。それに、ホテルや施設などからしても、人件費などはかかるだろうが、昼間に開けているプールを一般開放することで、宿泊者ではない新しい需要を取り込むことができる。実は必然的なヒットと言えるかもしれない。

<ナイトプール・ヒットの理由>

  • インスタ映え、SNSで見栄えのよい写真を公開できる。
  • モノ消費ではなく、コト消費である。
  • 都心で気軽に行けるが非日常を味わえる。
  • 海水浴など夏らしいイベントを謳歌したいが、日焼けしたくない女性客にウケている。
  • ラグジュアリーな女子会をすることを考えると高くはない。
  • 施設も、設備を新設する必要なく新しい需要を作れる。