「働かせ方改革」ならぬ「働き方改革」のためには、「残業代ゼロ法案」の撤廃と「休息時間確保権」の保障を

首相官邸HPより

3月28日、安倍総理を議長とする「働き方改革実現会議」は、「働き方改革実行計画」を決定した。

今後、この計画に基づき「スピード感をもって」法整備を進めていくことが、この実行計画では謳われている。

時間外労働の上限規制に関し「100時間」をめぐる攻防が話題になったこの「働き方改革実行計画」について、筆者は3月31日のTBSラジオ「荻上チキ・Session-22」に佐々木亮氏、常見陽平氏、坂口孝則氏とともにスタジオゲストとして参加した。当日の様子は音声配信でご確認いただける。

頭の回転の速い各氏のよどみないやり取りの中で十分には語れなかったことを、こちらに整理しておきたい。

1つは「働き方改革実現会議」のメンバー構成や会議の様子からこの会議の性格を把握したうえで、既に国会に提出されている労働基準法改正案(残業代ゼロ法案)の成立に向けた動きに警戒する必要性である。

もう1つは、努力義務としてこの実行計画に含まれることになった「勤務間インターバル制度」(休息時間の確保のための制度)を普及させていくことの重要性である。

「働き方改革実現会議」は「働く人の視点」に立っているか?

決定された「働き方改革実行計画」は、冒頭に「1 働く人の視点に立った働き方改革の意義」という見出しを掲げ、次のように謳っている。

安倍内閣は、一人ひとりの意思や能力、そして置かれた個々の事情に応じた、多様で柔軟な働き方を選択可能とする社会を追求する。働く人の視点に立って、労働制度の抜本改革を行い、企業文化や風土を変えようとするものである。(p.2)

しかし果たしてこの会議は、「働く人の視点」に立って設けられたものだろうか。メンバー構成を見ると、多いに疑問がわく。

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全24名のうち、政府関係者が9名、有識者が15名である。有識者15名のうち、〇印をつけた通り、実に7名が産業界から選ばれており、労働界から選ばれた者は●の通り、連合の神津会長ただ1人だ。これで「働く人の視点に立った働き方改革」を検討するにふさわしい人選と言えるのだろうか?

「働き方改革」を謳いながらも、この人選では「働かせ方改革」ではないのだろうか、という疑問がわく。

「働き方改革実現計画」に盛り込まれた内容すべてが議論の末に合意されたわけではない

決定された「働き方改革実行計画」には、「本プランの実行」として、次のような記述がある。

(3)本プランの実行 (コンセンサスに基づくスピードと実行)

働き方改革実現会議は、総理が自ら議長となり、労働界と産業界のトップと有識者が集まって、これまでよりレベルを上げて議論する場として設置された。同一労働同一賃金の実現に向けて、有識者の検討報告を経てガイドライン案を提示し、これを基に法改正の在り方について議論を行った。長時間労働の是正については、上限規制等についての労使合意を経て、政労使による提案がなされるに至った。さらに全体で9つの分野について、具体的な方向性を示すための議論が行われた。本実行計画はその成果である。働く方の実態を最もよく知っている労働側と使用者側、さらには他の有識者も含め合意形成をしたものである。

労働界、産業界等はこれを尊重し、労働政策審議会において本実行計画を前提にスピード感を持って審議を行い、政府は関係法律案等を早期に国会に提出することが求められる。

スピードと実行が重要である。なかでも罰則付きの時間外労働の上限規制は、これまで長年、労働政策審議会で議論されてきたものの、結論を得ることができなかった、労働基準法 70 年の歴史の中で歴史的な大改革である。 今般、労働界と産業界が合意できたことは画期的なことであり、いまこそ政労使が、必ずやり遂げるという強い意志を持って法制化に取り組んでいかなければならない。 (p.3)

「コンセンサスに基づくスピードと実行」「労働界と産業界のトップと有識者が集まって」「労働側と使用者側、さらには他の有識者も含め合意形成をしたもの」「労働界、産業界等はこれを尊重し」など、「合意形成」された内容に強い拘束力を持たせようとする表現が、繰り返し使われている。

しかし上述の通り、確かに労働界のトップ(神津連合会長)と産業界のトップ(榊原経団連会長)がメンバーに加わっているとはいえ、産業界(7名)と労働界(1名)のアンバランスさは隠しようもなく、公労使三者が同数ずつで参加する労働政策審議会のように、バランスが取れたメンバー構成の中で合意された内容ではない(また、後述の通り、合意されていない内容も含まれている)。

初回の会合でメンバーの岩村教授(専門は社会保障法・労働法)は、この会議の性格を直接批判するものではないものの、次のように注意を促している。

(第1回働き方改革実現会議(2016年9月27)議事録より)

第2に、労働政策・労働立法は、これまで、審議会の場で、労使が一種の中央労使交渉のようなものを行い、その交渉の中で労使が時として激しい議論を戦わせて、その結果としての妥結内容をもとに組み上げてきたと思っております。このように、企業や産業における雇用、労働の現場をよく知る労使の交渉を経て、政策立案や立法が行われることによりまして、大きな混乱を引き起こすことなく、安定的かつ実効性のある政策遂行や立法が実現してきたと私は考えております。働き方改革も、混乱なしに現場で受け入れられる改革とするためには、労使の意見を十分に聞くことが大事であると考えております。改革を実際に個々の企業に導入していくに当たりましても、企業レベルの労使がきちんと話し合うことがとても大切だと思います。

また議事録を見ると、計10回の会議が開催されているものの、各回の時間は1時間しか確保されておらず、24名もいるメンバー各自が2分ずつ順番に話すだけで毎回の会議は閉じられており、個々のメンバーの問題提起や主張に他のメンバーが応じる、といったやりとりはない。毎回の冒頭には安倍総理や加藤大臣から「御議論ください」という挨拶があり、締めの挨拶では「御議論いただきました」と語られているが、実際には会議で行われていることは「議論」ではない(※1)。

にもかかわらず、実行計画が決定された3月28日には、安倍総理が改めて次のように念押ししている。

関係大臣におかれては、本実行計画に丁寧に書き込まれた内容に忠実に従って、関係審議会の審議を終え、早期に法案を国会に提出していただきたいと思います。安倍政権は、法案の成立に全力を傾注してまいります。

このような強調が何を意味するのか、私たちは注意しなければならない。

「残業代ゼロ法案」の早期成立は合意されていない!

というのも、この「働き方改革実行計画」の中には、明らかに労使で合意されていない内容が含まれているからだ。それは「残業代ゼロ」や「定額\使い放題」などと批判されている、「高度プロフェッショナル制度の創設」と「裁量労働制」の拡大(「企画業務型裁量労働制」の見直し)を含む労働基準法改正案を、国会で早期に成立させることをめざすとした次の記載である。

(意欲と能力ある労働者の自己実現の支援)

創造性の高い仕事で自律的に働く個人が、意欲と能力を最大限に発揮し、 自己実現をすることを支援する労働法制が必要である。現在国会に提出中の労働基準法改正法案に盛り込まれている改正事項は、長時間労働を是正し、 働く方の健康を確保しつつ、その意欲や能力を発揮できる新しい労働制度の選択を可能とするものである。

具体的には、中小企業における月 60 時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直しや年次有給休暇の確実な取得などの長時間労働抑制策とともに、 高度プロフェッショナル制度の創設や企画業務型裁量労働制の見直しなどの多様で柔軟な働き方の実現に関する法改正である。この法改正について、 国会での早期成立を図る。(p.15)

この法改正案は、「労働基準法の一部を改正する法律案」として既に2015年4月3日には国会に提出されている。

この法改正案の中身については、今回「荻上チキ・Session-22」でご一緒させていただいた佐々木亮弁護士の下記の記事がわかりやすい。

【もうすぐ通常国会】長時間労働を助長する「残業代ゼロ」法案は撤回を(佐々木亮) - Y!ニュース(2017年1月19日)

この法改正案については、当初から連合をはじめとする労働界の各団体や、労働関係の弁護士団体などの反対が強く、国会に提出されてはいるが、いまだ審議には至っていない。

●連合:「労働基準法等の一部を改正する法律案」の閣議決定に関する談話(事務局長談話)2015年4月3日

●全労連:【談話】労働法制の根幹崩す残業代ゼロ法案の撤回を求める(事務局長談話)(2015年4月3日)

●日本労働弁護団:「今後の労働時間法制等の在り方について(報告)」に断固反対する意見書(2015年2月18日)

●自由法曹団:過労死を激増させ、残業代をゼロにする労働基準法等「改正」案の廃案を要求する意見書(2015年4月24日)

にもかかわらず、上記の通りこの法改正案(残業代ゼロ法案)の早期成立を目指す旨が、「意欲と能力ある労働者の自己実現の支援」と、あたかも「働く人の視点に立った働き方改革」の一環であるかのように糖衣にくるみ「働き方改革実行計画」の中に位置付けられているのだ。そしてその労働基準法改正案を含んだ実行計画全体が、上述の通り「合意形成」されているかのように整理されているのである。

改めて確認するが、会議のメンバーである神津連合会長は、この労働基準法改正案(残業代ゼロ法案)の国会での早期成立に合意したわけではない。この実行計画が決定された3月28日に、連合はただちに事務局長談話を発表し、その中でその旨を明記している。

「働き方改革実行計画」についての談話(事務局長談話)(2017年3月28日)より)

長時間労働の是正については、3月13日の労使合意に基づき、罰則付き時間外労働規制の導入という、労基法70年の歴史の中での大改革に至った。加えて、「時間外労働の限度基準」の適用除外業務である自動車の運転業務や建設事業を規制対象とする道筋も示された。今後はこれら法整備とともに、個別労使が原則的な上限時間を踏まえて、時間外労働の削減に向けた不断の努力をはかることや36協定の適正化などが必要である。

他方、現在国会提出中の労基法改正法案について「早期成立を図る」とされたが、同法案に盛り込まれている高度プロフェッショナル制度や企画業務型裁量労働制の見直しは、長時間労働を助長しかねず、その是正が不可欠である。

整理すると、連合は国会提出中の労働基準法改正案については同意しておらず、一方、罰則付きの時間外労働の上限規制の導入については、3月13日に労使合意に至っている。「働き方改革実行計画」に添付された「時間外労働の上限規制等に関する労使合意」には、国会提出中の労働基準法改正案(残業代ゼロ法案)は含まれていない。

「働き方改革実行計画」に埋め込まれた、残業代ゼロ法案という「地雷」

上述の通り、決定された「働き方改革実行計画」の本文も、またこの実行計画に言及する安倍総理も、実行計画の内容全体があたかも労使トップによって合意形成されたかのように語っている。そのような強引な整理は、次のようなリスクを増大させるものだ。

(1)時間外労働の上限規制等の合意内容の法制化に社会やメディアの関心が集中し、高度プロフェッショナル制度の導入と裁量労働制の拡大を含む国会提出中の労働基準法改正案(残業代ゼロ法案)には関心が注がれないままに国会審議に入り、成立してしまう。

(2)高度プロフェッショナル制度の導入と裁量労働制の拡大を含む国会提出中の労働基準法改正案(残業代ゼロ法案)の成立を前提としてしか、時間外労働の上限規制等の合意内容の法制化に政府や産業界が賛同しない。

(3)高度プロフェッショナル制度の導入と裁量労働制の拡大を含む国会提出中の労働基準法改正案(残業代ゼロ法案)に、今回合意された時間外労働の上限規制等の規定を含ませた「抱き合わせ」の新たな労働基準法改正案が国会に提出され、その可決を迫られる(※2)。

これらのリスクは決して軽視できるものではない。なぜなら働き方改革実現会議の議事録を見ると、産業界の代表者は繰り返し、同法の早期成立を求める発言を行っているからだ。

例えばメンバーの金丸氏は会議の中で何度も、同法案の早期成立を求めている。そして高度プロフェッショナル制度の導入と裁量労働制の拡充、そして時間外労働の上限規制は「3点セット」であると強調しているのだ。

(第9回働き方改革実現会議(3月17日)議事録より)

罰則つき上限規制の導入とともに、高度プロフェッショナル制度と裁量労働制の拡充は3点セットで実現すべきであり、実行計画に盛り込んでいただきたい。

事業場数は428万、対象労働者数は5,209万人。労働基準監督官数は3,241人しかいません。

エグゼンプションやオプトアウトなどを導入して、保護すべき労働者の対象を明確にし、監督指導を集中しないと守るべき人を守れないのではないかと考えています。

したがって、適用除外等の取り扱いについては業種・業務の特性、グローバル競争の観点から抜本的に見直し、適切な適用除外を決定すべき。

なぜ「3点セット」であるのか。それは「3点セット」になることによって、「罰則つき上限規制」の適用除外となる対象を増やすことができるからだ。「高度プロフェッショナル制度」とは労働基準法の中の労働時間規制に関する条文が適用されなくなる(=適用除外)制度である。裁量労働制の場合も労働時間規制に関する条文の多くが適用されなくなる。このように「適用除外」の労働者を増やすことによって「守るべき人」を限定すべき、というのが結局は金丸氏の主張なのだと見ることができる。

このように議事録を確認すると、時間外労働の上限規制という「規制強化」と、「残業代ゼロ法案」の早期成立という「規制緩和」の綱引きが、水面下で展開されていたことを確認することができる。この点を見逃してはならない。

なお、塩崎厚生労働大臣が語っている「主として成果で評価される自律的な働き方」も、この高度プロフェッショナル制度の対象者や裁量労働制の適用対象者を指しているものと考えられる。

(第6回働き方改革実現会議(2017年2月1日)議事録より)

労働時間法制の検討に当たりましては、主として時間で評価をされる働き方、主として成果で評価される自律的な働き方など、多様性を踏まえることが肝要だと思います。

つまり私たちは、時間外労働の上限規制が労働政策審議会で今後検討され、法案になって法律として制定されていくプロセスだけを注視していればよいわけではなく、そのプロセスの背後に残業代ゼロ法案という「地雷」が埋まっていることを忘れてはならないのだ。その「地雷」は丁寧に除去し、撤回させなければならない。

努力義務として合意された「勤務間インターバル制度」

3月31 日の「荻上チキ・Session-22」の番組前半で語りたかったことは以上。続いて番組後半の「今、本当に必要な働き方改革」で筆者が取り上げたのは、「勤務間インターバル制度」の普及だ。

「勤務間インターバル」とは「休息時間」とも呼ばれる。前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定のインターバル(=休息時間)を必ず確保するというものだ。

この問題に詳しい濱口桂一郎氏によれば、1993年に制定され、2000年に一部改正されたEU労働時間指令では、24時間につき最低連続11時間の休息時間を求めているという。

●濱口桂一郎「勤務間インターバル規制の意義-EU労働時間指令と日本」(『労働の科学』2015年10月号)

この「勤務間インターバル制度」について、3月13日の労使合意を踏まえ、「働き方改革実行計画」では次のように努力義務として書き込まれている。

(勤務間インターバル制度)

労働時間等の設定の改善に関する特別措置法を改正し、事業者は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保に努めなければならない旨の努力義務を課し、制度の普及促進に向けて、政府は労使関係者を含む有識者検討会を立ち上げる。また、政府は、同制度を導入する中小企業への助成金の活用や好事例の周知を通じて、取り組みを推進する。(p.12)

健康の維持のためには、月あたりの時間外労働の上限規制よりも、日々の休息時間の確保が重要

月あたりの時間外労働の上限規制と「勤務間インターバル制度」を比べた場合、「勤務間インターバル制度」の方が様々な面で優れている。

まず、健康の維持のためには日々の睡眠が必要だ。たとえ残業が月あたり45時間であっても、二晩眠らずに働き続ければ、人は容易に体調を崩してしまう。だから、日々の終業と始業の間に適切に休息時間を確保するのが重要なのだ。

また、月あたりの時間外労働が累積で何時間になっているかを、普通の労働者は把握していないだろう。時間外労働の累積時間の管理は、人事部門にゆだねられがちだ。それに対して、日々の休息時間については、個々の労働者が把握しやすい。5時間しか眠れなかったときにそれが容易に自覚できるように、11時間など一定時間の休息時間が日々確保されているかどうかは、個々の労働者がすぐにわかることだ。

さらに、休息時間の確保は、休息を取ることを働く者の権利として自覚させる。たとえば情報労連は、「時間主権の確立」の促進に向けた取り組みの中で勤務間インターバル制度の導入を推進してきたという。そして情報労連傘下のKDDIにおいて労働組合が勤務間インターバル制度を根付かせて行く過程においては、「しっかり休む」という意識変革が重要であったという(※3)。

一方で月あたりの時間外労働の上限規制であれば、会社は「法違反を避ける」という意識になり、「抜け道探し」に走ることを促してしまう恐れがある。法違反にならないよう形だけを整えようとすれば、36協定による上限時間を長くしたり、残業時間の過少申告を促したり、持ち帰り残業を求めたり、裁量労働制を拡大させたり、そのような方向に走ってしまう恐れがあるのだ。

筆者は、電通とその幹部が書類送検された2016年12月28日に電通が行った記者会見の様子を忘れることができない(※4)。その記者会見の中で電通の中本副社長は「36協定を違反して仕事した人にも対価をきちっと払ってきました」と語っていた。また、残業時間の過少申告については、「私事在館」(社内にいたが業務外という届け)という表現を使い続けた。労働者が36協定に「違反」していたとか、「私事」で社内にとどまっていたとか、そのような言葉遣いの中に、筆者は会社として「法違反を避ける」という姿勢をうかがうことはできても、社員の健康を守るという姿勢をうかがうことはできなかった。

「休息時間確保権」の保障を

時間外労働の上限規制が単月では休日労働を含んで100時間未満という、過労死ラインに達する時間数でしか合意に至らなかった状況の中で、今後は法律の制定と共に個々の労使の取り組みが求められていくが、その際にはぜひ、月あたりの時間外労働の上限をどう定めるかだけでなく、日々の休息時間をどう確保するかを問い、勤務間インターバル制度の導入を積極的に推し進めていただきたい。

3月31日の「荻上チキ・Session-22」の中で、パーソナリティの荻上氏は、「睡眠権」や「休息する権利」という表現を使いながら、概念を作って共有していくことの大切さを語っていた。同番組を聞いていただいた方からは、「インターバル権=休息獲得権」というアイデアもいただいた。

筆者としてはそれらの意見を参考にした上で、「休息時間確保権」という言葉を提唱してみたい。いかに罰則つきの時間外労働の上限規制に違反しないかという点だけにとらわれるのではなく、いかに日々の休息時間を確保していくか、いかに「休息時間確保権」を保障していくか、という発想の転換が重要と考える。

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(※1)しかも、各会議の終了時には加藤担当大臣より会議メンバーに対し、プレスに対して会議の様子を語らないようにとの旨が伝えられている。毎回の最後には同様の念押しが繰り返されていたことが、議事録から確認できる。

本日の会議の概要につきましては、私から記者に説明することとしております。 お帰りになりますと、記者の皆さんが皆さん方からいろいろとお聞きになると思いますけれども、御自身の発言については、どうぞ対外的にお話しいただきたいと思いますが、それ以外については、御遠慮いただければと思っております(第1回実現会議(2016年9月27日)議事録より)

(※2)既に4月7日には「時間外労働の上限規制について」を議題とする労働政策審議会労働条件分科会の開催が予定されている。濱口桂一郎氏は上限規制については既に労使の合意ができていることから、すぐに法改正案がつくられるのではないかとの見方を4月1日に示している。

hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)「労政審と三者構成原則」(2017年4月1日)より)

これはもう殆ど中身のある議論の余地なく、すいすいと建議になり、法改正案になり、もしかしたら今国会に提出されてしまうということになるのでしょうか。

(※3)春川徹「勤務間インターバルの確保に向けた環境整備に向けて」(連合総研『DIO』 2017年3月号)

(※4)北健一『電通事件』(旬報社、2017年)の「エピローグ」参照

■4月3日追記■

現在国会に提出されている労働基準法改正案(残業代ゼロ法案)は労働時間規制をどのようにはずしていくものであるのか、詳しくは下記の2つの記事もあわせて参照されたい。

【余白が怖い】残業代ゼロ法案を図示するとこうなる(渡辺輝人)- Y!ニュース(2015年4月6日)

高度P制(残業代ゼロ)法案は参院選の重要争点です(渡辺輝人)- Y!ニュース(2016年6月27日)

■4月19日追記■

4月19日の時事通信によれば、政府・与党は「高度プロフェッショナル制度(ホワイトカラー・エグゼンプション)」の導入と裁量労働制の拡大をねらう労働基準法改正案(残業代ゼロ法案、2015年4月より国会に提出されていたもの)の今国会での成立を断念し、残業時間の上限規制導入に向け、秋の臨時国会に提出する予定の別の労基法改正案と一体で審議する方針のようだ。

労基法改正案、今国会断念=残業規制と秋に一体審議―政府・与党(時事通信、2017年4月19日)

4月7日の毎日新聞の記事によれば、「政府は、同一労働同一賃金の実現に向けて労働契約法なども改正する方針で、労基法改正案とともに「働き方改革関連法案」として秋の臨時国会に提出する方針だ 」と報じられていたため、上記の記事とあわせると、(1)同一労働同一賃金の実現に向けた労働契約法改正、(2)時間外労働の上限規制のための労働基準法改正、(3)高度プロフェッショナル制度と裁量労働制の拡大をねらう労働基準法改正が、いずれも一括して「働き方改革関連法案」として秋の臨時国会に上程されてくる可能性がある。

労政審  残業上限規制 法改正に向け分科会で議論開始(毎日新聞、2017年4月7日)

もしそうなれば、選り分けての審議と採決ができなくなる。このような「抱き合わせ法案」の提出は、認められるものではない。