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婚活服は“おしゃれ”じゃない?婚活男性に不評な3つのNGポイントとは

植草美幸結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸

■婚活ファッションは目的意識とターゲットを明確に

先日、女性ファッション誌「美人百花」で婚活ファッションの監修をさせていただきました。その誌面を転載したつぶやきが5000いいねを超える反響を得ていて、転載については賛成できないものの、婚活ファッションに高い関心が集まっていることを感じています。雑誌は緻密なターゲット戦略で作られますが、昨今はSNSや雑誌のサブスクの躍進によって幅広い層に届けられることがあり、それが世論を動かす反響につながることもあります。

発端は、ある婚活女性アカウントの「男性にとって(掲載されているファッションは)好印象なの?」と素朴な疑問を書いたであろうツイートでした。それに同意する形で、「参観日のよう今どきじゃない、ちょっと古くさい?」「“芋っぽい”ほうがいいというような男性はお断り!」というコメントもあれば、反論する形で「読者として、好みの服装なので否定されると傷つく」「流行とは違うけれど私は好き」というコメントも。さらに、婚活男性らしきアカウントからは、「最高」「ジーパンTシャツで婚活にくる女性よりマシ」「顔が可愛ければなんでもよい」「○○のデザインはいらないけど好印象」と、おおむね好評な声も挙がっていました。

なお、様々な意見が飛び交っていたことの概要としてお伝えしましたが、特定のツイートを揶揄する意図はありません。むしろ、監修者としては、どれも想定内、納得の意見です。要は、目的意識の違いが表れているだけの話です。

■「おしゃれがしたいの? 結婚がしたいの?」

私は、婚活に迷う皆さんに「恋愛をしたいの? 結婚をしたいの?」と問いかけることがありますが、今回の件は、「あなたは、おしゃれがしたいの?結婚がしたいの?」ということです。

婚活服というのは、婚活のTPOに合わせたユニフォームであり、自分を売り込むマーケティングツールでもあります。個人的におしゃれだと思うかどうか、今季のトレンドに則っているか、ということは別軸の話で、ハッキリ言えば関係ありません。

私自身、「婚活服はトレンド服とは異なります」ということを申し上げてきました。2015年に出した書籍『いくつになっても、結婚できる女結婚できない女 』にも、《ファッションは「コスプレ」、ポイントは「白いフレアワンピース」に「7センチのピンヒール」、結婚したいなら「女優」になりなさい》と書いています。

なぜかというと、私が今まで結婚をサポートしてきた女性の多くが、30代半ばから40代半ばの働く女性で「仕事はできても結婚できない」という、仕事の鎧を脱げない方が非常に多かったのです。

人それぞれのお悩みがありますが、「いつもはパンツしかはいてないから、スカートなんて恥ずかしい」「30歳を過ぎてパステルカラーの服なんて持ってない」という声を聞くことが多く、自分とお相手の婚活スイッチを入れるための装置として、「男性のクローゼットにはない服」「ひと目で女性だと分かる服」をユニフォームやコスプレだと思って着てみましょうと申し上げてきました。

心理学でも第一印象は最初の6秒で決まりますが、その第一印象を覆すには2時間以上の時間がかかると言われています。洋服は体全体の70パーセントを占めますから、洋服で第一印象が決まると言っても過言ではありません。

婚活で重要なのは、中身を知ってもらう前の段階では、まず「お見合い写真」や「プロフィール写真」です。次に、初めてのデートや、お見合い当日の待ち合わせです。ちなみに、写真は最高の瞬間を切り取りますから、できれば初めて会う時は、プロフィール写真と同じ服装・メイク・髪型で行くのが効果的です。

周囲のみなさんや他の婚活女性が、オフィスファッションや普段着で来るなら、パッと見で「華やかな女性が来た!」という印象付けができる婚活服で行くだけで、頭ひとつ抜け出します。

■婚活男性に“おばさん見え”と言われる3つのNGファッションも

逆に、一歩間違えると逆効果になるファッションもあります。私は毎日、お見合い後の婚活男性に、女性にお会いした後の正直すぎる感想を聞いていますが、「こちらはスーツで行ったのに、相手女性は普段着にすっぴんで来て、おばさんみたいだった。異性として見れなかった」という感想を聞くことが非常に多いです。

詳しく聞くとすっぴんではなく会社用の時短メイクで、ベージュなどのくすみカラーの服、チュニックなど体のラインを隠した服、地味な服、もしくは、黒や紺のジャケットに大きなトートバッグなどオフィスライクな服装であることが多いのです。

ほかにも、男性ウケがとにかく悪い服装と、婚活男性のよくある感想を紹介します。

1.ベージュ系のくすみ色コーデ

膨張色でくすんだベージュカラーは、色選びやアイテム選びが難しく、上手に着こなせないと危険信号です。流行りのワントーンコーデのつもりが、婚活男性からは「おばさんの色」「全体がぼんやり太って見える」という反応をお聞きします。

2.小花柄やペイズリー柄などの細かい柄

大人世代が避けた方がいいのは、広範囲の細かい小花柄です。ファッションに詳しくない男性には「花柄はおばさんの服」と刻み込まれているのです。細かい柄は普段着としては合わせやすいですが、反面、華やかさに欠ける印象も。婚活男性から「スーパーで売っていそうな洋服を着ていた」という意見が出たこともありました。

3.スモックやチュニックなどウエストカバーしたゆったり服

ウエストがハッキリわかるようにするのも、若さを感じさせるポイントです。ぽっちゃり体型の人はウエストを隠しがちですが、バストのボリュームなど全身のバランスを考えると、くびれを作った方がスタイルよく見えることもあります。ケバく見えるのもご法度ですが、バスト・ウエスト・ヒップのうちの1か所~2か所のラインはわかるようにするのがおすすめです。

ある30歳の婚活女性が、素髪のボブへアに花柄チュニックでお見合いに行ったら、40歳の相手男性から、「30歳にはまるで見えないし、写真よりずっと太って見えた。部屋着みたいな格好で手抜きをされた」とクレームに発展したこともありました。ファッションのコツやヘアスタイリングをお伝えしたところ、別の相手男性からは「おしゃれでスタイルがいい」と全く別の感想が届きました。

ほかにも、流行のオーバーサイズの服はブカブカでサイズが合っていない、だらしない……と不評なことも。辛口すぎると思うかもしれませんが、相手の事を知らないからこそ表面的なところが目に付いてしまうのは、お互い様です。それがわかっているのであれば、あらかじめ対処しておくのが賢い選択です。

■好きな人に大事にされる自分を演じるのが、婚活ファッション

海外旅行をしていると、日本の女性を見るとすぐにわかる、ということはありませんか? 日本にはファッションで独自のマーケットがあり、独特なトレンドがあります。日本女性同士の価値観で、「それかわいいね」と女子会のように盛り上がる目的であれば、存分におしゃれを楽しんでいただければいいのですが、婚活服の目的はそうではないはずです。

私の結婚相談所では、活動している会員さんが最高のパフォーマンスで活動していただくため、写真撮影やお見合い用のデート服をレンタルすることもありますが、「白地に大花柄のノースリーブワンピース」は清楚×華やかのハイブリッドで、何年経っても婚活男性から大人気のデザインです。ほかにも、ファーが付いている羽織もの、袖にリボンやフリルが付いているトップス、リボン付きの小物も好評で、「この日のためにおしゃれをしてきてくれて、嬉しかった」と男性から高評価が届きます。

婚活男性はトレンドファッションかどうかよりも、「女性らしい・かわいらしい」と思うスイッチを押してくれる服装かどうかを重視しています。

それに一度ポイントが分かれば、トレンドに左右されることがないので、女性にとっても効率的です。私が婚活服を指導するうえでモデルとしているのが60年代ファッションで、人物でいうとオードリー・ヘプバーンです。女性をきれいに魅せるために考えられた、ウエストがキュッと締まったフレアワンピ、サブリナパンツやミニスカートが生まれた時代です。スタイルが良く見えて、上品でかわいらしく、時代に左右されない普遍的な女性らしさ、華やかさ、品格を備えています。結婚はお相手のご両親との関係性も重要ですから、年代を超えた好印象を作れる技術は身に付けておいて損はないはずです。

また、デート中に男性がエスコートしたくなる服装でもあります。ヒールを履いていれば長く歩けませんから「タクシーを呼ぼうか?」と気遣いたくなりますし、ノースリーブのワンピースなら、「風が当たって寒くない?」と聞きたくなります。真っ白なワンピースの女性を油が飛んだり掃除が行き届いていないようなお店に連れていくことはありません。

もちろん3回目以降のデートでアクティブなおでかけ、流行のアウトドアやキャンプデートに行くときはTPOに合わせて思いっきり楽しみましょう。相手に会う前のプロフィール写真、そして初対面から2回目のデートで、品格を高めておいて損はありません。

ハイクラスな男性ほど、コーデやメイクをちゃんとしているかをよく見て、どういうところに連れていけるか、どんな相手に紹介できるかを考えているものです。相手から大切にされるための服装が婚活ファッションなのです。

結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸

千葉県出身。青山学院大学卒業。結婚相談所マリーミー代表、恋愛・婚活アドバイザー。1995年に、アパレル業界に特化した人材派遣会社、株式会社エムエスピーを創業。そこで培ったコーディネート力を活かし、2009年、結婚相談所マリーミーをスタート。以後10年以上にわたり年間約1,000組の恋愛・結婚に対するアドバイスを行い、業界平均15%と言われる成婚率において、約80%の成婚率(※)を記録している。『結婚の技術』『婚活リベンジ!』など、著書は計14冊。メディア出演の他、地方自治体をはじめとした講演依頼も多数。(※) 成婚退会者数÷全体退会者数で算出。

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