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いしだ壱成さん3度目の離婚へ 離婚歴は不利になる? 再々婚以上の婚活実例も

植草美幸結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸
(写真:アフロ)

■いしだ壱成さんが3度目の離婚を発表

俳優のいしだ壱成さん(47歳)が3度目の離婚を発表されました。離婚理由は、いしださんが病気のため定職につけず、困窮したこととされています。石川県のアパートに暮らし、収入は24歳年下妻の5万円程度のパート代に頼っていたなど、芸能人夫婦のイメージとかけ離れた生活も報道されました。

“またも離婚”と批判的に捉えられている今回の報道ですが、婚活の観点では前向きに考えられるポイントもあると考えます。また、3回目の結婚と離婚についての考察、再々婚以上の婚活について実例を紹介します。

■3度の離婚は、結婚の経験値が3回分あると同義

20歳ほどの歳の差夫婦の場合、貧困を理由に離婚するというのは珍しいケースでもあります。逆にいえば、貧困の高齢者で結婚できる例が少ないとも言えます。ただ、離婚の回数について批判するのはナンセンスです。

父の石田純一さんが2回離婚をしていることに関連付け、「親が離婚していると、子も離婚する」という報道も目にしますが、後付けのレッテル貼りでしかありません。

また、「3回も結婚に“失敗”した」のではなく、結婚の経験が3回あり、3回も結婚にチャレンジしたとも捉えられます。いしださん自身は「結婚に向いていない」とコメントされていましたが、離婚はひとつの経験であり、離婚しないように結婚に踏み切らず付き合いを続けるよりも潔い決断でもあります。

同じく三度結婚して3度とも離婚したマリリン・モンローの名言に、「お互いに愛し合っていれば、その人が何歳だろうと私には関係ない」「私が結婚するのはたったひとつの理由からよ。それは、愛。」という言葉があります。何回目の結婚・離婚、年齢差という数字に惑わされず、愛するタイミングで結婚する選択もあるのです。

■幸せになるための離婚も、結婚と同じく尊重

一方、元妻の飯村貴子さんの立場でも、離婚を選択したことは尊重されるべきことです。今の時代、結婚はしなくてはいけないものではなくなったからこそ、「幸せになるための結婚でない」と感じたら、離婚を選択してもいいのです。

結婚期間が約3年とはいえ、19歳だった結婚当時と、出産後の今の状況は違います。ホワイトカラーの会社員や公務員であれば、経済面もライフスタイルも安定感を持って将来を見据えることができますが、芸能人や会社経営者などの場合はそうはいきません。ご夫婦ともに芸能関係でいらっしゃるという点で、分かち合えるものがある一方、上がるも下がるも当人次第ですから、夫婦の価値観や方向性の分かれ道が訪れやすい傾向はあるでしょう。

また、いしださん夫婦の話とは別ですが、結婚相談を受けていると、前妻・前夫との間の金銭問題のほか、DVやモラハラ、不倫などがあっても、離婚に踏み切れず、体も心もボロボロになった方もいらっしゃいます。

とくに今の40代の親世代である60~70代は、1970年代の第1次ベビーブームに結婚した世代で、当時は日本の婚姻率・出生率が最も高かった時代です。専業主婦家庭が主流でもあったので、経済的にも妻が離婚を選択することが難しく、離婚歴に対し悪い印象を持つ世代でもあります。

婚活に苦戦しながらも親の先入観とのはざまにも苦しむ方も。成人したのであれば、「初婚の相手でないと、親にうるさく言われる」という価値観は改めたいところです。

■結婚相談所で「離婚経験者」がモテる?

結婚相談所の婚活では、離婚経験がある再婚・再々婚の方は成婚率が高い傾向があり、初婚の会員にとってもお相手の離婚歴がマイナスに働かないケースも増えてきています。

結婚相談所ではお相手の希望をシートに記入していただくのですが、「初婚・再婚以上」という項目もあります。はじめは初婚希望を選択されても、「良い方であれば相手次第でOK」「再婚以上でも子供がいない方ならいい」「年齢が若い方ならいい」という風に柔軟に考える方も多くいらっしゃいます。

実際にお見合いを経てみると、経験値で、包容力がある、気遣いができるという人間力の高さで、結果的に再婚の方をご希望される方も多くいるほどです。

私がお手伝いするケースでは、成婚するカップルの半数は初婚同士ですが、逆に言えば、再婚以上の方の成婚が半数あります。割合として多いのが再々婚、つまり3度目の結婚です。

過去に2度結婚できる人は、内面や経済力を含めた魅力があり、マッチングしやすく、ご成婚までスムーズに進まれる方も多いのです

■経験の差……50代再々婚同士の婚活実例も

実際の婚活事例もありました。一流企業に勤める52歳の女性は離婚歴が2回。年収800万円で前夫とお子さんは持たず、10歳は若く見える活力のある方でした。相手男性も再々婚希望の57歳、商社にお勤めで年収1900万円、前妻との間に成人したお子さんがいらっしゃいました。

初々しい会員さんの場合、デートの日程調整に苦戦されるケースもありますが、この2人は「仕事終わりに会いましょう。お待たせしたら恐縮なので、よかったらこのお店に入っていてくださいね」とスムーズな言い回しができる方々でした。通常、婚活では2~3人同時進行で交際を進めますが、このおふたりはすぐに1人に絞って向き合い、デートの時はもちろん会えないときのコミュニケーションの深め方も非常にスマート。男性のお子さんの話や、仕事の話をしたり、ほめたりいたわったりという気遣いの相性が合っていたようです。

再婚以上の方々に関しては、前の結婚の経験から判断が早く、洞察力が鋭い傾向にあります。

例えば、初婚の場合は収入の希望を挙げるのが一般的ですが、再婚以上の場合は「お金の価値観、お金の管理方法が自分と合う方」というふうにおっしゃる例があります。実際の結婚生活の経験があるからこそ、許せること、許せなかったことがはっきりしていて、それが具体的な条件や基準につながっているのです。

着目すべきは、離婚の回数ではなく、経験値。50代以上の再々婚で幸せをつかむ芸能人は少なくありませんから、いしださんの今後の幸せをお祈りいたします。

結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸

千葉県出身。青山学院大学卒業。結婚相談所マリーミー代表、恋愛・婚活アドバイザー。1995年に、アパレル業界に特化した人材派遣会社、株式会社エムエスピーを創業。そこで培ったコーディネート力を活かし、2009年、結婚相談所マリーミーをスタート。以後10年以上にわたり年間約1,000組の恋愛・結婚に対するアドバイスを行い、業界平均15%と言われる成婚率において、約80%の成婚率(※)を記録している。『結婚の技術』『婚活リベンジ!』など、著書は計14冊。メディア出演の他、地方自治体をはじめとした講演依頼も多数。(※) 成婚退会者数÷全体退会者数で算出。

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