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篠原涼子さん離婚で考える「歳の差結婚」に必要な覚悟と落とし穴

植草美幸結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸
(写真:2018 TIFF/アフロ)

■「笑顔の円満離婚」に疑問視?おしどり夫婦離婚の裏

俳優の篠原涼子さん(47歳)と市村正親さん(72歳)が離婚を発表されました。コロナ禍の感染予防目的で、1年以上の別居生活をしていたことを報じられています。

市村さんは子煩悩で知られ、お子さんの学校行事に参加する姿が評判を呼んでいました。一方で篠原さんは、2020年だけでも連続テレビ小説『おちょやん』(NHK)、主演ドラマ『ハケンの品格』(日本テレビ)・『金魚姫』(Netflix)など話題作に次々と出演。小中学生のお子さんの親権を、70代という高齢で夫側の市村さんが持つことがあかされたこともあり、「笑顔の円満離婚」を疑問視する声も上がっていました。

お二人のご家庭や夫婦間の実際のところはわかりませんが、今回は二回りを超える「超・歳の差結婚」に関して、結婚や婚活の観点で覚悟すべきことをまとめていきます。

■婚活現場での「超・歳の差結婚」は珍しくない

まず、「25歳差」という親子ほどの年の差について。実は婚活現場では意外にも珍しくない印象です。婚活の場合、夫が50代、妻が30~40代くらいでご成婚される例は少なくないですし、私の結婚相談所でも最大30歳差のカップルがいらっしゃいます。

そもそも「夫・妻の平均婚姻年齢」(2021年/厚生労働省調べ)が夫30.4歳と妻28.6歳と男性が2歳年上となっていて、男性が5歳程度年上というのもよくあるケース。「自然と年上の男性に惹かれる」「過去に付き合った恋人は年上ばかり」という女性は多く、「頼りがいがある、成熟していて人間力がある、同年代よりも収入や資産を持っているということであれば、10歳、20歳年上でも構わないという意見もあります。

しかし、実際に夫婦になって子育てをしてみると、「プラスの面」ばかりではないところも見えてきます。ある程度の覚悟を持っておくことで、離婚のリスクを軽減することにもなるのです。

■1:「オトナ」という魅力が短所に?

子どもがいない夫婦の場合、2人で生きていくことさえ決めていれば、環境の変化が少ないので迷いはありません。しかし、子育てをすると子供の周りのコミュニティで“知ること、気づくこと”が出てきます。

結婚前は「オトナっぽい、成熟している」という魅力だった部分が、「老けている」という短所として目に付くようになることもあるのです。結果的に、大きく年の差があると、一緒に過ごしていくうちに同世代の夫婦よりも早く「異性として見れない」「相手の老いを目の当たりに感じる」ということが起こりえます。

逆に言えば、家族としての関係を重視するのか、男女間のカップルという関係を継続させたいのか? という価値観の不一致。これは覚悟の上で事前に確認したいポイントです。

■2:「働き方」の意見の食い違い

篠原さんと市村さんは、40代と70代の25歳差。ともに俳優業で理解しあえる部分も多かったとは思いますが、仕事への姿勢がすれ違いやすい年代でもあります。

人生100年時代ですが70代になれば、落ち着いて趣味や家庭での時間を楽しみたい、という方も多くなります。一方で、40代は男女ともに働き盛りで「チャンスを逃したくない、今が頑張りどき」ということも出てきます。

また、世代差があればなおさら、女性側の「出産後の働き方」について結婚前から具体的に話し合っておくことが重要です。会社員であれば「子どもが何歳までは時短勤務ができるが、何歳以上になったらフルタイムに戻るつもり」という話をし、「週に2回の習い事の送迎は夫にしてほしい」など夫側への要求も伝えます。これによってお互いの言質を取って、結婚観を一致させるのが望ましいでしょう。

■3:「子育て」に対するジェネレーションギャップ

私が以前担当した夫が72歳・妻が42歳カップルは、お互いに、お子さんがいらっしゃる再婚同士で「子育てのための結婚ではない」と決めておられました。お互いの人間力を重視したことで、穏やかにスムーズに成婚されていました。子どもがいる場合、世代が違うと子育てに関する意見が食い違う可能性も高まります。ジェネレーションギャップで育ってきた環境や時代背景の違いから喧嘩になり、父として母としてこうしてほしいという理想のすれ違いも発生し、離婚に至る夫婦も少なくないでしょう。

■「年の差結婚」の婚活カップルに聞いた“覚悟”

一般に、「年の差結婚」は年の差が大きいほど離婚リスクが高いとも言われています。婚前契約ほどの効力はなくても、リスクやすれ違いのタネを口頭で確認することだけでも、お互いの覚悟を確認できるのではないでしょうか? 婚活現場では、こんな事例がありました。

女性は33歳、男性は57歳の24歳差でご成婚されたお二人です。男性は経営者で資産もあり、会社も安定していらっしゃいましたが、40代で離婚。バツイチでお子さんはいませんでした。「すぐにでも子どもが欲しい」とおっしゃって入会されました。

女性側はご両親が10歳差で、もともと年上好きというのもあり、お見合いが成立します。多くの場合、歳の差が10歳、20歳と大きすぎるとご両親が反対されるケースもあるのですが、「本人がよければいい」と了解を得たそうです。

とんとん拍子でお話は進みかけていましたが、婚活アドバイザーとしてお二人には次の確認をしました。

まず、男性側には「もし子供が出来なくてもお互い向き合って。彼女はまだ若いので、将来のことが想像できていないこともあるでしょう。年上のあなたが先回りして想像してあげられますか?」。

女性側には「20年後に旦那様は70代です。今はオトナっぽくて素敵、という印象かもしれませんが、結婚生活はそれだけじゃ成り立たないことも多いでしょう。お子さんが成人するまで結婚生活を続ける覚悟はありますか?」とお聞きしました。結果、おふたりとも覚悟をもって「もちろんです」とお答えいただいたので、安心して送り出すことができました。

結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸

千葉県出身。青山学院大学卒業。結婚相談所マリーミー代表、恋愛・婚活アドバイザー。1995年に、アパレル業界に特化した人材派遣会社、株式会社エムエスピーを創業。そこで培ったコーディネート力を活かし、2009年、結婚相談所マリーミーをスタート。以後10年以上にわたり年間約1,000組の恋愛・結婚に対するアドバイスを行い、業界平均15%と言われる成婚率において、約80%の成婚率(※)を記録している。『結婚の技術』『婚活リベンジ!』など、著書は計14冊。メディア出演の他、地方自治体をはじめとした講演依頼も多数。(※) 成婚退会者数÷全体退会者数で算出。

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