プロ野球オリックスの山本由伸投手が18日の西武戦で史上86人目の無安打無得点試合を達成した。「ノーノ―」は今季、完全試合を果たしたロッテの佐々木朗希投手を含め、ソフトバンクの東浜巨、DeNAの今永昇太投手に続いて4人目。報道によれば、同一シーズンに4人が達成したのは1950年の2リーグ制以後では初めてだという。他にも、佐々木投手が8回まで、中日の大野雄大投手が延長10回2死まで走者を出さなかった試合などもあり、「投高打低」のシーズンを象徴している。

 打者の平均打率がセ・パともに低下し、投手の防御率は両リーグとも向上しているのが近年の傾向である。その流れの延長線上に今季の「ノーノー」続出があるのかもしれないが、私は「新型コロナウイルス禍」も影響しているのではないかと思う。

 日本国内でコロナ禍が深刻化した2020年以降、オープン戦の中止・縮小、レギュラーシーズンの試合数削減や延長を実施しないシーズンが続いた。「実戦機会」の減少により、打者が投手の「生きた球」と対峙する機会が減少した。打撃マシンや打撃投手相手による個人練習で補うのは難しい。やはり、実際に投手の「生きた球」を打つのとは全く違う。調整への影響は大きいのではないだろうか。キャンプ中の「柵越え」数が参考にならないといわれる所以である。野手は限られた練習時間の中で、打撃だけに練習を割けるわけではない。守備も走塁も必要になる。

 投手もコロナの影響を受けるだろうが、一人でもウエートやコンディショニングのトレーニングは行え、体を作ることができ、投球フォームを固めることも可能だ。ブルペン捕手さえいれば、投げ込みも可能で、極端に言えばネットがあれば投球練習はできる。もちろん、打者との駆け引きという意味で実戦機会の減少は投手にも影響するだろうが、私は、打者のほうが影響大きいと思う。短期間ならともかく、コロナ禍の3年で蓄積したマイナスの影響がボディーブローのように今季の「投高打低」という形に表れたのではないだろうか。

 もちろん、投手の技術の進化が影響した一面もあるだろう。トラックマンなどの導入によって、ボールの回転数や投げるときの手首の角度によってどういう変化をするかなどもデータとして集めることができる。打者も投手の映像を見て研究することができるだろうが、実戦機会が限られてしまうと攻略のヒントが得にくくなってしまうだろう。

 もちろん、要因は一つではないだろう。近年、変化球の精度も高まり、種類も増えている。日米ともにいえることだが「フライボール革命」によって、打率よりも「一発」を求める傾向が顕著になっていることも挙げられるのではないか。

ただ、コロナ禍の影響を受けたのはプロだけではない。これからプロ入りしてくる高校生や大学生も同様に練習に制限がかかっていた。失われた実戦機会の影響がどこまで続くかはわからないが、「投高打低」の傾向は短期間には解消されないのではないだろうかと思う。