日本ハムが海外フリーエージェント(FA)権を取得している西川遥輝選手、国内FA権を持つ秋吉亮投手、大田泰示選手に対し、来季の契約を提示せず、保留手続きを行わないことを発表した。球団はノンテンダーという日本では聞き慣れない表現を使い、自由契約というネガティブな印象を避け、3選手への配慮がうかがえた。

 報道によれば、稲葉篤紀GMも「3選手と来季以降について協議した結果、選手が取得した権利を尊重した」と強調し、「選手側に制約のない状態で、移籍先を選択できることが重要と考えた結果」と説明に言葉を選んでいる。

 契約保留名簿から外すノンテンダーをどうみるか。評価は正直にいって難しい。選手側からみても、メリットとデメリットがあるだろう。

 まずはメリットからみてみたい。選手がFA権を行使した場合、国内FAはNPB12球団と、海外FAならメジャーも含めて交渉が可能になる。一方で、国内への移籍なら、3選手とも人的補償や金銭補償が移籍先球団に発生するとみられる。日本ハムと契約した場合も行使したFA権は消失する。

 一方、ノンテンダーはFA権を行使せず、メジャーを含めたすべての球団と交渉ができる。選択肢は広がるだろう。

 もちろん、メリットだけではない。なぜ、球団がノンテンダーを選択したのか。3選手の成績が年俸に対して「割高」と評価された点は否めない。他球団を含め、移籍先の選択肢が広がった半面、年俸などの待遇は交渉によっては、今季を下回る可能性がある。日本ハムは3選手との再契約の可能性を「閉ざしていない」(稲葉GM)としているが、現状の年俸とは違う評価になると考えるのが自然だ。

 今回のケースが、日本でFA権を取得している選手に対するノンテンダーが定着していくかの試金石になるかもしれない。球団、選手側の双方にネガティブな印象がなく、移籍もスムーズに決まれば、他球団がならうかもしれない。ただ、移籍先を国内を前提とした場合には、NPBは12球団で支配下登録も70人と受け皿は狭い。今後、同様の措置を行う球団が出てきた場合にも、高年俸で年齢的に中堅以上の選手の「放出」ツールというネガティブな印象を抱かれないように、丁寧な説明が必要だろう。

 日本ハムが今オフにノンテンダーを選択した背景に、新型コロナウイルス禍による球団経営への影響もあるのではないかと考えるのは、私だけだろうか。今季のペナントレースは、昨季のように試合数が激減することはなかったが、観客動員には制限がかかっていた。収入面でのマイナスは大きいだろう。プロ野球の選手会による調査では、今季の年俸は過去最高だった昨季とほとんど変わらない水準を維持し、球団の収入が減ったことによる大きな影響は見られなかったという。

 メジャーと比べて、日本球界の年俸は低く、現状の評価でいいのかという視点はもちろんあるだろうが、他業界と比べてコロナ禍の影響が反映されていないのも事実だ。球団もビジネスで経営している。ひずみがどこかに出ると考えるのが自然かもしれない。