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金メダルの鍵は攻撃型オーダーとリーダーの存在!東京五輪「侍ジャパン」野手選考

上原浩治元メジャーリーガー
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 野球日本代表「侍ジャパン」メンバーを考える。前回の投手編に続いて、今回は野手について書く。

【投手編はコチラ】

https://news.yahoo.co.jp/byline/ueharakoji/20210519-00238618/

 野手に関しては、遊撃手は坂本勇人選手(巨人)が復帰できるかが鍵を握る。カバーできるのは、12球団随一の守備力がある源田壮亮選手(西武)だろう。捕手に関しては強肩も魅力の甲斐拓也選手(ソフトバンク)は当確だろう。捕手を2人にするか、3人にするかだが、阪神の梅野隆太郎選手は今季の得点圏打率も高く、アピールを続けている。三塁が岡本和真選手(巨人)、二塁は浅村栄斗選手(楽天)、一塁にはチームの4番に成長した村上宗隆選手(ヤクルト)を回してオーダーを組んではどうだろうか。

 攻守でどうバランスを取るかにチームの色が出るのだろうが、私なら攻撃型オーダーを優先する。五輪やワールド・ベースボール・クラシック(WBC)などの国際大会に出場した経験上、「野球は点を取らないと勝てない」という側面があったからだ。二塁は総合力で浅村選手を推したが、複数ポジションを守れる山田哲人選手(ヤクルト)、菊池涼介選手(広島)も控える布陣なら、試合展開によって攻守にいくつもオプションが持てそうだ。内外野が守れる代走のスペシャリストでもある周東佑京選手(ソフトバンク)、捕手を兼任できて打撃が魅力の森友哉選手(西武)を24人の枠を使って入れるかは首脳陣の判断になるだろう。

 外野はセ・リーグ首位打者の佐野恵太外野手(DeNA)とパ・リーグMVPの柳田悠岐選手、侍ジャパンの主軸を担ってきた鈴木誠也選手(広島)がいて、昨年、NHKの「サンデースポーツ」に出演したときには外野のベストナインに選んだ吉田正尚選手(オリックス)もいる。DHを含めて4人とも先発で使いたい存在だろう。

五輪はアテネ、北京と2大会を経験したが、宮本慎也さんという素晴らしいリーダーがいた。プロのトップが集まる代表チームだけど、その中で声を出せる存在が慎也さんだった。実績のある選手にはチームをけん引する役割も担ってほしい。

 これだけの選手がそろう日本代表は、やはり日本に野球の広いすそ野と土壌があってこそだと思う。このコラムで何度も触れているが、野球人口の減少には歯止めがかかっていない。五輪の金メダルが回復の一助につながればという願いも持っている。もちろん、代表発表までにはまだ時間がある。今回、名前を挙げたのはあくまで私の独断であり、代表発表にはサプライズもあるかもしれない。残された時間は少ないが、代表レースのサバイバルを勝ち抜く戦力がもっともっと出てくることで代表の底上げが図られることを楽しみにしている。

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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