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戦力外通告、異例の秋… 最強の98年組も残り2人「自分が納得できるまで」

上原浩治元メジャーリーガー
2006年のWBCでは私や松坂など98年組が7人も日本代表入りした(写真:ロイター/アフロ)

 新聞に無機質な活字で記された名前を見ると、顔ぶれが脳裏に浮かぶ。巨人時代とチームメートで先発も中継ぎも器用にこなした久保裕也投手、メジャー時代に東京都内で行っていたオフの自主トレに参加してくれたヤクルトの田川賢吾投手、今さら実績を紹介するまでもないソフトバンクの内川聖一選手の名前もある。新型コロナウイルスの感染拡大による日程変更の影響で従来のような第1次、2次と分けられていたプロ野球の戦力外通告が今季は2日から始まり、規定で日本シリーズ終了翌日(移動を伴う球団は翌々日)までとなっているそうだ。

あれから22年が経過した。プロ野球のドラフト会議で指名されたのが1998年秋。当時は逆指名制度があり、私は巨人からの指名が事前に決まっていた。指名直後の記者会見で球団マスコットのジャビットの人形を持ってほしいというカメラマンからの要望を拒否。当時からやらされることが嫌いで、「クセのある選手が入ったなあ」と思われたかもしれない(笑)。そんな1998年のドラフトは胸を張って「当たり年」だといえる。西武の1位が松坂大輔投手、阪神の1位は藤川球児投手、ロッテは1位がクローザーとしてメジャーでも活躍された小林雅英さん、2位が捕手のサト(里崎智也氏)、中日は1位が福留孝介選手で、2位が岩瀬仁紀さん、日本ハムには高校時代のチームメートでもある建山義紀、さらに広島の6位には新井貴浩がいた。

 巨人の2位は二岡智宏で、当時は「巨人史上最も地味な1位、2位」とささやかれた。東京では無名の大阪体育大から来た私と、メディアに対してあまり口を開かない二岡だったが、その後の成績で前評判を覆したときには気分が良かった。

 長い年月の中で、ほぼすべての選手が現役から退いた。藤川球児投手が今季限りでの引退を表明し、日本のプロ野球に残っているのは大輔(松坂)と孝介(福留)の2人だけになった。ドラフト会議で毎年、各球団に10人近い選手が入れば、同じ数だけの選手がユニホームを脱ぐ。最終的には世代交代には抗えない。そして、孝介も来季の阪神の戦力構想から外れ、現役続行を目指して退団が決まった。

 本来ならポストシーズンに突入していくこの時期に、選手に関する進退報道が相次ぐことは避けて欲しい。球団からの戦力外、選手がそのことによって決意する退団は、「人事」に関することで世間の関心が高く、チームの戦力構想から外れた選手は現役、引退に関係なく「次」を探さないといけないことは理解している。ただ、希望を言えば、日本シリーズ終了後まではグランドのプレーにファンも注目できる環境を整え、すべての日程を消化してから来季に向けた動きがスタートしてほしいという思いがある。

 選手の進退については、自分が納得するまでやってほしい。特に孝介のような選手は自分で進退を決められる立場にある。「まだやれる」「他球団ならできる」「もう限界」「年齢には勝てない」。ポジティブなこともネガティブなことも周囲は色々言うが、決めるのは自分だ。そしてこれまでに残した実績は色あせることは絶対にない。「現役が華」。ユニホームを脱いで、今なおこのことは間違いないといえる。頑張れ、孝介!

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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