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いよいよプロ野球開幕! セは本命・巨人、対抗馬は脅威の野手3人を抱えるDeNAか

上原浩治元メジャーリーガー
(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

 約2カ月半遅れでようやくプロ野球が開幕する。

 レギュラーシーズンは約20試合少ない120試合で、オールスターも交流戦も中止。クライマックスシリーズはセ・リーグは実施せず、パ・リーグのみと判断が分かれた。まさに異例ずくしのシーズンだ。しかも、当面は無観客試合。それでも、スタジアムに球音が響く。まずは一歩、前に進んだということだ。

■パは捕手に注目

 超がつくほどの変則日程のパ・リーグは捕手のリードに注目したい。パは開幕2カード目から試合日程が発表された7月19日まで同一カードでの6連戦が続く。

 大変なのは捕手だろう。理由はリード面だ。強打者への初球の入りや、追い込んだ後のコース、ボール先行の場面など、様々な状況に応じてサインを変えていくが、配球の傾向に"癖"がある捕手は危険だ。何しろ、同じチームと6連戦。対戦を繰り返す中で"癖"を見破られてしまうと、容赦なく狙い打ちされてしまう。

 先発投手は6人。本格派や技巧派、長身の外国人投手など、それぞれに個性がある。うまく個性を生かしつつ、配球も一定にならないような工夫が必要だろう。捕手の力量が問われる日程と言える。

 6連戦は、すべてホームチームが後攻で、ビジターチームは先攻だ。「後攻有利」などの説もあるが、これは好みで分かれる。私は先発投手だったころ、先攻が好きだった。味方打線の1回の攻撃の間に球場の雰囲気をつかめるからだ。先に得点を取ってくれる確率も先攻のほうが高い。

■スペシャリストは

 選手の負担を考慮し、1軍の選手登録枠が29→31人に拡大され、出場可能なベンチ入りメンバーも26人と1人増えた。外国人の1軍登録も4→5人になった。増加枠は一芸に秀でた選手のチャンスを広げたとみている。侍ジャパンで注目を集めた周東佑京選手(ソフトバンク)のような足のスペシャリスト、あるいは代打の切り札、中継ぎや守備固めなど、各球団の「職人」たちの活躍が楽しみだ。若い選手は一芸を足掛かりに1軍で生き残るチャンスをつかみとってほしい。

 シーズンはこのあたりも含めて層の厚いチームが有利になる。

 セ・リーグの優勝争いは巨人が本命。対抗馬で面白い存在になりそうなのは外国人野手3人が脅威のDeNAだ。

■投手力より打線の力

 ソトは2年連続本塁打王で、昨季は打点王も獲得。昨季も31本塁打をマークしたロペスは練習試合も好調で、メジャー移籍した筒香嘉智選手(レイズ)が抜けた穴は、大砲候補のオースティンが埋めてくれそうだ。オースティンに関してはまだシーズンが始まっていないので確信はないが、練習試合までの成績をみても、正直、あそこまで打つとは思っていなかった。

 短期決戦は「投手力」、長丁場のシーズンは「打線の力」がチーム成績に影響するというのが私の考えだ。絶対的エースでも中5日での登板間隔なのに対し、打線は固定して戦えるからだ。つまり脅威の打線は毎日、脅威なのだ。もちろん、ある程度の投手力は必要だが、DeNAは投手力も安定している。

 本当なら球場に行って試合を見ることがベストだが、コロナ禍ではそうも言っていられない。まあ、こんなときは、プレモル(サントリーのプレミアモルツ)を飲みながら、スカパーで観戦するのがおススメやね。はい、サントリーさんもスカパーさんも、私を起用してくれている企業様ですが、なにか(笑)

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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