2位福岡に惜敗 3戦連続無得点。クロスの好機生かせず/レノファ山口

試合後のレノファの選手たち=筆者撮影、この記事の他の写真・図も

 J2レノファ山口FCは11月15日、維新みらいふスタジアム(山口市)で2位アビスパ福岡と対戦。ゲームの主導権を握る時間帯もあったが、無得点で敗れた。

明治安田生命J2リーグ第34節◇レノファ山口FC 0-1 アビスパ福岡【得点者】福岡=増山朝陽(後半29分)【入場者数】3538人【会場】維新みらいふスタジアム

 4節前のザスパクサツ群馬戦から中盤3人を逆三角形に変更し、インサイドハーフの枚数を増やしているレノファ。今節も池上丈二と田中陸がインサイドハーフに入り、高宇洋がアンカーポジションで先発した。一方、2位のアビスパ福岡は前節から6人を入れ替え、レノファでプレーしたGK村上昌謙とMF福満隆貴もスタメンに入れた。

前半はレノファペースで展開

 福岡からも多くのサポーターが訪れ、スタジアムは一見すれば平時と変わらないような雰囲気に包まれた。声援こそないが、互いの太鼓の応援が響く中、試合はレノファのペースで進んでいく。

レノファの先発布陣
レノファの先発布陣

 レノファの狙いは明確で、「相手が取りに来られない。あるいは取りに来てもしっかり回せて、相手陣地でボールを握る時間を増やす。その中で、サイドアタックや中央突破からシュートを増やす」(霜田正浩監督)というものだった。ただ、前節もボールは持てていたがシュートまで結びつかなかったため、クロスからのシュートにこだわったゲームメークに重点を置いた。

 左右でボールの運び方は異なり、左サイドでは左ウイングに配置した田中パウロ淳一が得意のドリブルを生かしてサイドを攻め上がり、右サイドでは内側に絞る浮田健誠とタッチライン際をオーバーラップする川井歩の連係で、クロスを供給できるゾーンまで侵入する。

 前半20分頃まではロングボールで陣地を挽回する大味な部分もあったが、徐々に狙い通りにボールを敵陣へと進め、同23分に左から田中パウロ、同26分には右から川井がボックス内にボールを入れ、チャンスにつなげていく。また、クロスだけでなく、同32分の好機では川井と池上丈二のワンツーから川井がゴール前に飛び出す場面も作った。

ドリブルで駆け上がる田中パウロ淳一
ドリブルで駆け上がる田中パウロ淳一

 いずれもゴールには結実せず、最後のクロスの質と受け手の入り方は依然として課題になったとはいえ、上位チームを相手にレノファが自分たちのリズムでサッカーを展開。福岡の長谷部茂利監督は「今日はいつもよりもクロスを入れてきたのではないか。危ない場面が何度もあった」と話し、福岡目線では耐える時間の長い45分間となった。

ハーフタイムで明暗。後半は福岡のゲームに

 しかし、後半に入ると福岡が本来の持ち味を発揮する。長谷部監督はハーフタイムで「(前半は)みんなのプレーではない。今までやってきたこと、できることを後半は出していこう」と声を掛け、チームを落ち着かせる。レノファも前半と同じリズムでのサッカーを目指したものの、福岡のほうが上手(うわて)だった。

 後半の立ち上がりからシンプルに組み立てて福岡がゴールに接近。前寛之のパスが前線に通ったほか、運動量のある福満がピッチのさまざまな場所に顔を出してボールをつなぎ、チャンスを広げていく。後半11分には枠こそ捉えられなかったが、前半は動きを封じられていた山岸祐也が福満との連係からシュートを放ち、レノファのゴールを脅かす。

浮田健誠は地面に突っ伏して悔やんだ
浮田健誠は地面に突っ伏して悔やんだ

 劣勢になってきたレノファも同20分、左サイドでの細かなパスワークから池上が低いクロスを送り、相手DFとの駆け引きを制した浮田健誠が鋭くシュートを放つ。これがレノファにとってはこの日一番の決定機となったが、シュートは村上のファインセーブに阻まれてしまう。

 後半24分に飲水タイムが入り、再開後に試合は動く。ゴールを決めたのは、石津大介の負傷で前半のうちにピッチに送り込まれた福岡の増山朝陽だった。

セットプレーから失点。人数は足りていたが思わぬ形でゴールを許した
セットプレーから失点。人数は足りていたが思わぬ形でゴールを許した

 福岡は左のCKを獲得すると、エミル・サロモンソンがゴール前に供給。レノファのGK山田元気がキャッチに行くが、ボールがこぼれて、増山が回収する。増山はすぐさまシュートを放つも、一度は体勢を立て直した山田がセーブ。ただ、ボールは再び増山の前に落ち、二度目のシュートがゴールネットを揺らした。

 1点を追いかける状況となったレノファは浮田を最前線に置き、左に森晃太、右に古巣対戦となった村田和哉、インサイドハーフに高井和馬と河野孝汰を配置。3トップというよりは、5トップと表現しても差し支えないほどの布陣で逆転を図ろうとした。一方の福岡は守備側に人数を割き、実質的な5バックとして1点を守り抜く布陣に切り替える。

 5枚の矛と5枚の盾が正面からぶつかり合う最終盤はレノファがボールを握り、高を中心に盾の中にボールを入れようとするが、リーグ最少失点のブロックに風穴を開けることはできなかった。

 0-1で敗れたレノファは前節後と変わらず暫定22位。攻撃力を売りにするチームとはいえ、3試合続けて無得点に終わり、悔やまれる敗戦となった。

レノファらしさと「無得点」の狭間

 ここで記すのは、あくまでもピッチサイドで写真を撮りながら記録していった数字だが、レノファがシュートに結びつきそうなクロスやスルーパスを入れた回数は90分で計8本。このうちセカンドボールを拾っての二次攻撃を含め、シュートで終わったのは5本に上る。ただ、パサーとレシーバーのタイミングがぴたりと合って決定的なチャンスとなったのは1本にとどまった。

 シーズン終盤になって、サイドアタックからの攻撃が、ゴールの一歩手前までのシーンを作れるようになってきたのは事実だ。それでも、まだ出し手と受け手のタイミングは噛み合わない。

 霜田監督は11月12日の練習後に「個人のクオリティーと言うと話が終わってしまう」と語り、チーム戦術でのチャンスメークに取り組み続ける姿勢を示した。特定のターゲットに頼らないサッカーの構築は心強いが、3戦連続無得点は大きな課題と言わねばなるまい。

クロスに飛び込む小松蓮。FW陣に共通して「あと一歩」という場面は多い
クロスに飛び込む小松蓮。FW陣に共通して「あと一歩」という場面は多い

 レノファは秋以降、セットプレーも得点源になってきていたが、今節もヘニキやヘナンなどフィジカル勝負に勝てる選手を起用せず、よりレノファらしい地上戦での勝負に切り替えた。最終ラインにビルドアップに長けた楠本卓海を置き、インサイドハーフの選手も増やして、前線からのプレスを再び強化。敵陣でボールを持てる回数や時間は増してきている。

 それらの成果と言える8本を数えたチャンスの卵を、ゴールに結びつけるにはどうすればいいのか。おそらくは待つしかないのだろう。若いFWたちが気持ちよくゴールに振り抜ける瞬間が訪れるまで辛抱しなければならない。

 しかし、クロスさえ合えば8点を取れてしまうかもしれない可能性も秘めている。ドバドバと点が取れるのが次の試合なのか、来年にお預けなのか――。チームの成長の証がいつ現われるかは分からないのだから、やはり無得点でもスタジアムでその瞬間を見届けたい。もっとも、誰しもとぼとぼと帰途にはつきたくないもの。次戦こそは、卵からいくつかのゴールを見てみたい。

 レノファは次戦はアウェー戦で11月22日午後2時から、敵地で東京ヴェルディと対戦する。ホーム戦は同25日午後7時キックオフ。みらスタにジェフユナイテッド千葉を迎える。