3得点完勝! 守備も集中 猛攻耐えクリーンシート/レノファ山口

ヘニキ(右)のゴールを喜ぶレノファの選手たち=筆者撮影、この記事の他の写真・図も

 J2レノファ山口FCは9月30日、維新みらいふスタジアム(山口市)でジュビロ磐田と対戦し、効果的にゴールを重ねて3-0で勝利した。

明治安田生命J2リーグ第23節◇レノファ山口FC 3-0 ジュビロ磐田【得点者】山口=小松蓮(前半3分)、ヘニキ(同23分)、高井和馬(後半4分)【入場者数】1129人【会場】維新みらいふスタジアム

レノファの先発布陣。前節と同じ顔ぶれで臨んだ
レノファの先発布陣。前節と同じ顔ぶれで臨んだ

 レノファは前節と同じメンバーでゲームに入った。前節のファジアーノ岡山戦は黒星を喫したとはいえ、確かに内容面では充実していた(前節のレビュー)。ただ中2日と厳しい日程。それでも同一メンバーで臨んだ賭けの吉凶は、想像以上に「吉」の側に転ぶ結果となった。個人の力に勝る相手を迎えたが、攻撃では3得点を挙げ、守備では集中力を維持。攻守の歯車が噛み合ったパーフェクトなゲームを展開していく。とりわけ得点をポイントとなる時間帯で重ねていき、ゲームの流れをレノファにもたらした。

理想的な流れでゴール奪取

田中陸のフィードにヘディングで合わせる小松蓮
田中陸のフィードにヘディングで合わせる小松蓮

 1点目はゲームの立ち上がりだった。前半3分、レノファは右サイドに開いた田中陸がボールを持つと、ハーフウェーラインを越えたすぐのタイミングでロングフィードを最前線へ。このボールに飛び込んだのが小松蓮だった。手前で浮田健誠が相手DFを引きつける中、するするとゴール前に抜け出て、ダイビングヘッド。鮮やかなシュートでゴールネットを揺らし、レノファが先制する。

 「どうやってジュビロさんから点を取るかを(試合前の)2日間ずっとやってきて、イメージ通りに取れた。あれで勢いに乗れた」と霜田正浩監督。小松の先制弾で「勢い」を得ると、それは守備にも伝わり、各ポジションで着実に相手のパワーを削っていく。

 相手の起点には得点を挙げた小松とトップ下の池上丈二が役割を分担しながらアプローチし、サイドの攻防でも球際に厳しい守備を継続。最終ラインはヘニキと眞鍋旭輝を中心にハイラインを保ちつつ、ゴール前はしっかりと締めて相手FWに自由を与えなかった。

 「監督がいつも要求しているラインを高くするということもできている。相手チームが自分たちのエリアに入るのが難しいと思うくらい自分の中ではコントロールできていると思う」(ヘニキ)

 同18分には流れの中からシュートを打たれるものの、GK吉満大介がゴールを死守。しばらくはセットプレーのピンチも続いたが、フィニッシュまで持ち込ませなかった。

 一連のピンチを耐えたレノファは同21分、手数を掛けずに相手陣に入り、浮田が左足でミドルシュートを放つ。これは相手のブロックに当たるが、右からのCKを獲得。ここから連続するCKの2本目がゴールにつながった。

ヘニキが高い打点でヘディングシュートを決めた
ヘニキが高い打点でヘディングシュートを決めた

 1本目は跳ね返されるが、2本目の池上のキックは狙い通りだった。ペナルティースポット付近に作った密集から選手が一斉に動き出す中、最も遠くから飛び込んだヘニキがひときわ打点高くヘディングシュート。GKに触られるがシュートの勢いが勝り、追加点を手にした。ヘニキの今シーズン初ゴールでレノファが2-0とリードを広げる。

采配的中。リードも守り抜く

 ヘニキの得点直後に飲水タイムが入り、その後は磐田がいくつかのシュートチャンスを作る。前半33分、磐田はゴール前に飛ばしたアーリークロスのこぼれ球から伊藤洋輝が左足でシュート。レノファ守備陣の出足が遅れたが、ボールは枠を捉えられずこの決定機を逃してしまう。同39分にはショートカウンターから松本昌也がゴールを狙うが、レノファの橋本健人がシュートブロックに入りゴールとはならず。前半終了間際に得たFKでは上原力也がタイミングを外してシュートを放つも、枠の外へと消えていった。

 磐田はチャンスを生かせず、レノファの視点で言えばゴール前での集中が途切れず、前半を2-0で終える。

タッチライン際を抜けていく村田和哉
タッチライン際を抜けていく村田和哉

 後半のスタートを前に、レノファは先制点の小松を下げて村田和哉を投入する。レノファのこの時点での狙いは追加点。3点目を目指して攻撃の活性化を図った。

 勝負を決めるゴールも後半の立ち上がりに決まる。後半4分、レノファは最終ラインの眞鍋から右に展開し、入ったばかりの村田がタッチライン際で回収。村田はすぐに磐田のサイドバックの伊藤とサイドハーフの藤川虎太朗に挟まれるが、狭い隙を突いて突破すると、センターバックとGKの間に低いクロスボールを供給する。

高井和馬が決勝点。難しいボールだったが冷静に合わせた
高井和馬が決勝点。難しいボールだったが冷静に合わせた

 これに飛び込んだのが「次の1点を(取ろう)とチームで話し合っていた」と話す高井和馬だった。クロスは処理の難しい高さだったが、力を入れすぎずに冷静に左足を当て、ゴールに流し込んだ。

 「和哉くんが突破してくれて、自分が指さしたところにいいクロスが来た。触るだけだった。チームを楽にさせる点が取れたので良かった」(高井)

 3点をリードしたレノファは、連戦の疲れもあり、攻撃はトーンダウン。それでも前半から続くレノファ守備陣の集中力は切れず、ペナルティーエリアに持ち込まれてもシュートブロックやGKのセーブでピンチを切り抜ける。

 一方、磐田は山田大記、ルキアンなどを投入し、前線に圧力を掛けていく。徐々にボールがレノファ陣内にとどまるようになり、レノファ守備陣がクロスやシュートを跳ね返したとしても、磐田はセカンドボールを拾って高い位置から攻撃をリスタートする。レノファにとっては厳しい状況で、磐田のアタックを遅らせる守備はできず、後ろ向きに走らされる場面が増えるようになった。

 後半21分には縦パスを入れられた流れから山田がゴール至近からシュート。これはGK吉満がセーブするが、その直後にもクロスからルキアンにシュートを打たれてしまう。

 ルキアンのフィニッシュは枠に飛ばなかったとはいえ、失点の足音がはっきりと聞こえるようなピンチの連続。もちろん1失点しても勝ち逃げできるだけのリードはあったが、霜田監督は「どうしても1点も取られたくなかった」と重点を守備に置き、最終ラインに経験豊富な菊地光将を配置。前線には4試合ぶりにイウリを入れて、ボールを追わせた。

前線まで走り込む橋本健人
前線まで走り込む橋本健人

 「3-0で勝っているチームの戦い方ではなかったと思うが、絶対に1点も取られてはいけないというつもりでアディショナルタイムまで戦った」(霜田監督)

 最終盤は3試合連続での先発となった橋本が積極的に前線に飛び出し、ファールを誘ってレノファがチャンスを再び獲得。4点目までは取れなかったが時間をうまく使い、3-0で勝利を飾った。

 クリーンシート(無失点)での勝利は8月16日の大宮アルディージャ戦以来、11試合ぶり。順位は一つ上がって19位。得失点差は依然としてマイナスだが、得点数だけを見ればリーグ中位クラスの26得点にまで伸びた。

 磐田は6戦勝ちなしとなり、12位。今節からはアウェーサポーター席が開設され、まだ少数ながら磐田サポーターも訪れた。しかし、アウェーチームにとってはゴールの遠い苦い試合となった。

若手が得た「勝ち方」の経験値

試合後に選手やスタッフをねぎらう霜田正浩監督(中央)
試合後に選手やスタッフをねぎらう霜田正浩監督(中央)

 レノファのスタメンは相手よりも平均年齢で3歳以上低い23.9歳。この若いチームにとって、タフな連戦とはいえ、大きな経験値を得た試合だった。効果的に得点を重ね、終盤は1点も取らせないという高いモチベーションで猛攻を耐え抜いた。ゲームの進め方や終わらせ方の成功体験を得たのは、今後の試合に生きてくるだろう。

 霜田監督は「疲労困憊(こんぱい)の選手もいるが、この流れを切らせてはいけない。勝ち点を取り、勝って帰ってきたい」と次戦の勝利を誓う。

 先発選手で唯一の30代だったヘニキも「チーム全体として日頃から取り組んでいたことが今日の結果につながった。先制点を取り、セットプレーで追加点を取り、3点目も取れた。自分たちがやりたかったことだし、今回できたことを次につなげたい」と力を込める。ただ、12試合連続出場のベテランにとっては、手応えも得つつ、一息つけるゴールと勝利になったかもしれない。試合後の笑顔には安堵(あんど)の色が浮かんでいるようにも見えた。

 3-0での完勝。若手にも、チームを引っ張る数少ないベテランにも、価値ある勝利となった。

 レノファは次戦以降はアウェーゲームが続き、まずはその初戦として10月3日午後6時から松山市のニンジニアスタジアムで愛媛FCと対戦する。磐田戦で得た内容と結果への自信をさらに深める試合にしていきたい。