埋まらぬ「あと一歩」の差。光も見え、影も見えた3連敗/レノファ山口

厳しい結果となった=筆者撮影、この記事の他の写真・図も

 J2レノファ山口FCは8月29日、山口市の維新みらいふスタジアムでツエーゲン金沢と対戦し、1-3で敗れた。3連敗で順位は最下位のまま。

明治安田生命J2リーグ第15節◇レノファ山口FC 1-3 ツエーゲン金沢【得点者】山口=浮田健誠(後半19分)、金沢=加藤陸次樹(前半36分、同46分)、杉浦恭平(後半10分)【入場者数】1358人【会場】維新みらいふスタジアム

「安すぎる失点」の代償

 マンツーマンのディフェンスをしてくる金沢に対して、レノファは万全の準備で臨んだはずだった。プレスに臆せずボールを運び、前線ではイウリや高井和馬が背後を狙う。前線からのプレスも徹底し、相手からボールを奪おうと試みた。

レノファの先発布陣
レノファの先発布陣

 ただ、試合の立ち上がりはレノファも金沢もサッカーの質が上がらず、相手陣地に運ぶ回数は限定的。金沢・柳下正明監督は「前半の20分くらいは準備ができてない選手がいたが、山口の選手にも準備できていない選手がいて助かった」と表現し、どちらも自分たちのミスや迫力不足からサッカーが小さくなってしまう。

 ダイナミックな動きが出るようになったのは前半20分以降。選手たちが試合に慣れてくると、まずはレノファが相手よりも先にゴールに接近する。

 この時間帯からは相手のボランチにマークされていた池上丈二が、巧みに左右に動いてそれをはがしたり、右サイドの森晃太が積極的にボールを引き出したりして、相手陣地でサッカーを展開。前半21分には池上から右サイドへとボールを振り、回収した森のクロスから高井がシュートを放ったほか、同25分には高井のクロスに森が反応してゴール前に飛び込んだ。

池上丈二がボールに触れるかがカギを握る
池上丈二がボールに触れるかがカギを握る

 これらのチャンスでゴールネットを揺らすことはなかったが、レノファは前線からのプレスにも積極的になり、相手のパス精度を下げることにも成功する。

 ところが、レノファが流れをつかみかけた時間帯で1点も決められないでいると、リズムは当然のように金沢へ。同36分、金沢の下川陽太がふわりと浮かせた縦パスをDFとGKの間に落とし、これに合わせた加藤陸次樹にゴールネットを揺らす。さらに前半のアディショナルタイムにも金沢が追加点。先制点同様に縦パスに加藤が反応、ディフェンスラインの背後へと抜け出し、あっさりと2点目を決めきった。

浮田が今季4点目

 失点が重なるにつれてレノファはボールを簡単に失ったり、プレスをはがせなくなったりと、状況が悪化する。劣勢を跳ね返すべく、レノファは後半のスタートとともに左サイドバックを変更。霜田正浩監督は「もう少しサイドから行きたいというところで、推進力のある川井に代えた」との狙いで安在和樹から若手の川井歩にスイッチする。

 ただ、その効果が出てくるよりも先に、次のゴールが金沢にもたらされてしまう。

 後半10分。金沢は左からのCKを藤村慶太がゴール前に蹴り入れると、レノファのGK山田元気がクリアしたセカンドボールから二次攻撃を展開。窪田稜の低いクロスボールに杉浦恭平が軽いタッチで合わせてゴールに流し込んだ。

 これで0-3。重い3点のビハインドを背負ったレノファは同14分、一気に3人を入れ替え、古巣との対戦となった小松蓮と田中パウロ淳一、それに大卒ルーキーの浮田健誠を投入する。

 小松を最前線、田中パウロを左サイド、浮田を右サイドのアタッカーとしてピッチに立たせ、攻撃に集中。投入された選手たちは「0-3になり、絶対に相手にも隙は出てくる」(浮田)、「自分に付いている一人のマークをはがせればシュートチャンスは増える」(小松)とエンジンの再始動を誓ってゲームに入った。

左足のシュートを決める浮田健誠
左足のシュートを決める浮田健誠

 待望の追撃点は同19分。池上からのパスを受けた浮田が、右サイドからドリブルでペナルティーエリアに侵入し左足でシュート。「得意としていて、練習している形から取れた」と左隅への狭いコースを突き、浮田は今季4点目となるゴールを手にした。

 反撃ののろしを上げたレノファは後半20分以降、何度もシュートレンジにボールを運んでいく。しかし、同22分の田中陸のクロスに合わせた小松のヘディングや、田中パウロのスルーパスに反応した浮田のシュートは枠を捉えられず、飲水タイム後も複数回のシュートチャンスを作るが、2点目が入ることはなかった。

及ばぬ「あと一歩」との戦い

 1-3で敗れ、3連敗。ただ、8月に続いた敗戦の中では光の差した試合だったとも言える。スポーツナビに掲載されているチームスタッツからは、金沢よりもボールを支配し、パス成功率も高かったことが分かる。公式記録に記されたシュート数もレノファが上回った。

田中陸の攻撃参加がチャンスの質を高めている
田中陸の攻撃参加がチャンスの質を高めている

 ゲームの立ち上がりこそ安定しなかったが、もし失点した場面だけを取り除けるなら、レノファが前線からのプレスでボールを奪い、自陣から始まった攻撃ではセンターラインを構成する池上や高宇洋を軸にして好機を作った。浮田の得点シーンも、田中陸のボックス内でのランニングがシュートコースを開く助けとなっている。これらからはチームとしての連動性を見ることができる。

 それでも現実は3失点を喫しての敗戦。金沢がレノファの背後のスペースを狙っていたが、前半はその策にはまって失点し、後半は鬼門のセットプレーの流れからゴールを割られた。守備が完全に崩されたとは言えないものの、「非常に安い失点」(霜田監督)を繰り返しているのは事実だ。攻撃陣も決定機を決め切れず、「あとは決めきるというところだった」(小松)と天を仰ぐ。

 もっとも、あと一歩を引き寄せる特効薬がないのなら、結果を恐れず、地道に課題をクリアしていくしかない。

試合後に言葉を交わす小松蓮(左)と高宇洋(右)
試合後に言葉を交わす小松蓮(左)と高宇洋(右)

 試合後、ロッカールームに引き上げながら、小松と高はさっそく試合での反省点を話し合っていた。身振り手振りで話す高、うなずく小松――。彼らの向上心の炎はきっと消えていない。「いい形で攻撃はできていたが、最後を決められなかった部分はやり続けるしかない。このままやり続け、シュートを打ち続けて、とにかくゴールを狙いたい」。今季の15試合全てに出場している小松はそう語気を強めた。

 守れそうで守れない。取れそうで取れない。そのもどかしさを少しずつでも前進しながら乗り越え、レノファは前のめりに戦う姿を見せていきたい。

 レノファは9月2日にモンテディオ山形、同5日にアビスパ福岡といずれも敵地で対戦する。次のホーム戦は同9日午後7時キックオフの松本山雅FC戦。Jリーグは9月7日から応援手段として手拍子を容認するため、レノファの場合は松本戦から手拍子が可能になる。ホームの利を生かせる試合になりそうだ。