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レノファ山口:福岡に「自滅的」敗戦。クオリティー低く、ミス頻出

上田真之介ライター/エディター
3試合ぶりの黒星となった=13日、山口市(筆者撮影。この記事の他の写真も)

 J2レノファ山口FCは10月13日、維新みらいふスタジアム(山口市)でアビスパ福岡と対戦し、3試合ぶりの黒星を喫した。早い時間で失点したレノファは後半こそ押し込んだものの、パスの質が上がらずブロックを崩せなかった。

明治安田生命J2リーグ第37節◇山口0-1福岡【得点者】福岡=松田力(前半10分)【入場者数】7015人【会場】維新みらいふスタジアム

レノファはメンバーを変更せず、2連勝した顔ぶれで臨んだ
レノファはメンバーを変更せず、2連勝した顔ぶれで臨んだ

PKのピンチは跳ね返したが…

 レノファは前節と同じメンバー、同じフォーメーションで臨み3連勝を目指した。対する福岡は岩下敬輔を11試合ぶりに先発させたほか、「途中から彼のパワーを生かしたい。本人としては本意ではなかったと思うが、山口さんを考えたときにドゥドゥが前のほうがより効果的」(井原正巳監督)と2戦連続ゴール中の城後寿をベンチスタートに変更。ドゥドゥと石津大介を2トップとする4-4-2を組んだ。

 序盤で優勢だったのは福岡。タイミングこそ合わなかったものの左からのクロスに石津が合わせようとするなど、左サイドハーフの松田力の仕掛けや2トップの強さを生かしてゴールに接近する。前半8分にはレノファのパスミスからショートカウンターに出て行き、これがPKのビッグチャンスにつながった。

PKを止める吉満大介。タイミング良く身体を飛ばした
PKを止める吉満大介。タイミング良く身体を飛ばした

 福岡にとっては絶好の先制のチャンス。レノファとしては絶体絶命のピンチとなったが、勝ったのはGK吉満大介だった。「駆け引きすれば当たると思った」と左に飛び、どんぴしゃりのタイミングで石津のキックを跳ね返した。

 ビッグプレーが流れを一変させる可能性はあった。だが同10分、その吉満のキックを福岡の鈴木惇がカット。再びのショートカウンターを今度は松田がしずめ、福岡が1点をリードする。

 レノファはこれらの場面が象徴するように、単純なパスでのミスが頻出してリズムが作れず、シュートまでが遠かった。早めに手を打ったのはレノファの霜田正浩監督。同42分、「スイッチを入れたかった。ハーフタイムを待ってからでも良かったが、最後の5分でしっかりゲームに入れれば、後半は頭からスムーズに入れる」と高井和馬からFWの岸田和人にスイッチ。特徴のはっきりした岸田とオナイウ阿道を前線に置いて、逆転を狙った。

フィニッシュ前後の質が上がらず

 後半に入ると福岡はブロックを築き、レノファが相手陣内でボールを動かすようになる。この展開は想定していたもので、どう崩すかはトレーニングで確認してきた。霜田監督は11日の練習後に「ブロックの外で回しているのだけでは効果的な攻撃にならない。マークがフリーになるのは一瞬しかなく、その一瞬をボールホルダーが逃さないかどうか。レシーバーがその一瞬で取り続けられるかどうか」がポイントになるとコメント。レノファイレブンは練習同様、ボールを動かしながらその一瞬を探った。

 だが、タイミングをなかなか見つけることができず、やっと通ったパスもシュートが精度を欠いた。岸田からオナイウへのスルーパスがわずかにずれたり、三幸が岸田を裏に走らせた縦パスはオフサイドになるなど、縦への動きからはチャンスを広げられなかった。「イメージがなかなか合わなかったり、外を崩すのに人数を使いすぎて中に人数がいなかったり。人数を使って崩すのであればもっとビッグチャンスになるような崩しをしないといけない」(三幸)。ブロックをかいくぐれないまま時間だけが過ぎていった。

左ウイングバックの瀬川和樹は高い位置でプレー。ユ・インス(左)の動きにも影響を与えた
左ウイングバックの瀬川和樹は高い位置でプレー。ユ・インス(左)の動きにも影響を与えた

 こうした中で楠本卓海や三幸から左ウイングバックの瀬川和樹にはボールが何度も入っていた。

 瀬川は「高い位置を取ればユ・インスが戻って守備をすることになる。ユ・インスが推進力を持って出られなかったのは、先手を取れたからだと思う」と相手のストロングを抑えると同時に、攻撃にも出られる位置を確保。福岡のサイドバック、駒野友一との競り合いも制して、左の高い位置からクロスを送る。動きは効果的だったが、三幸が指摘したように中央で受けられる選手が不足し、サイドからの攻撃もシュートまでは持って行けなかった。

 福岡は後半34分、駒野を下げて實藤友紀を投入。1点を守り抜くために瀬川の動きを封じるカードを切る。これがレノファにとっては手痛い交代になってしまった。アディショナルタイムは6分と長かったものの、結果的にレノファは左サイドではフレッシュな選手に制限されてしまい、右サイドも十分に押し上げられず、追加時間で放てたシュートは丸岡満のクロスに飛び込んだ岸田の1本にとどまった。

避けすぎたリスク。レノファらしさなく

 0-1で敗れ、レノファは暫定10位。プレーオフ圏との勝ち点差は11に拡大した。

オナイウ阿道は前節の試合でJリーグ100試合出場を達成。101試合目はゴールとはならなかった
オナイウ阿道は前節の試合でJリーグ100試合出場を達成。101試合目はゴールとはならなかった

 霜田監督は失点を「自滅」とし、「しっかりボールを動かして練習でやってきたことをそのまま試合に出す。いいシーンはあったが、最後のクオリティーが足りない」と振り返った。しかし、最後の精度だけでなく自陣からのパスクオリティーも低く、ミドルサードでも満足できる質ではなかった。

 自滅に直結した瞬間だけにフォーカスすれば、ボールを失ったパサーに責任があるのかもしれない。だが、決定的なピンチを招いたのは吉満と楠本だったが、いずれもショートパスもロングフィードも得意なプレーヤー。落ち着いて自陣からボールをつないでいくか、あるいは一息に高い位置に飛ばすこともできただろう。ところが、この局面や彼ら二人に限らず、試合を通してイレブンが繰り出したパスはアメフトを見ているようで、サッカーにはなりきれていなかった。

積極的にボールを回収した前貴之
積極的にボールを回収した前貴之

 相手に主導権がある時間帯では、マイボールになったとしても陣地の回復のほうを優先していたように見える。上述したように後半はウイングバックに付ける長いボールが中心。それ以外は横パスばかりが続き、前貴之のサポートでかろうじてロストを防いでいるような状態だった。

 チームとしてリスクを背負うのを嫌ったのかもしれないが、レノファらしい攻撃だったかと言えば疑問符が付く。つなげるのであればGKやセンターバックからでもはっきりとつないでいくべきだったし、何よりそれが福岡が嫌っていたプレーであっただろう。

 最後の質に言及すれば、枠を捉えるチャンスはあったが、言うまでもなく決めきれなかった。高井和馬も前半41分、相手GKのパスミスを突いてシュートを放つが、ボールは再びGK杉山力裕の手中に消滅。オナイウや山下敬大のシュートもネットを揺らすことはできなかった。

前半の途中から出場した岸田和人。裏に飛び出してゴールにあと一歩までは迫った
前半の途中から出場した岸田和人。裏に飛び出してゴールにあと一歩までは迫った

 ただ、敗戦理由をFWのシュートクオリティー=決定力だけに求めるのは戦術への思考停止を生み、危険だ。霜田監督もそこだけには固執していない。決定力不足はキッカーの技術に加えて、コースを作ったり、マークを引きつけたりする周りの動きにも問題があり、前線の特徴に合わせた供給ができているかにも関わってくる。広く捉えれば、リスクを避けたサッカーの副作用が、決定力不足という症状として現れたとも言える。

 もちろんワイドレシーバーやタイトエンドがいるわけではなく、積み重ねてきた愚直なサッカーで質を上げるしかない。ゲームメーカーの三幸は「惜しいシーンは多いが、惜しいままで終わらせてはいけない。最後のタイミングなのか、クオリティーなのか。どこでセンタリングを上げるのかは中と外で合わせないといけないし、チャンスのときももっと走らないといけない」と力を込めた。

 レノファは中3日のタイトスケジュールで、17日にFC町田ゼルビアと対戦する。町田も堅守にストロングがあり、レノファには隙を見逃さない決定的なパスと、焦らずにつなぐ高質なポゼッションが求められる。修正期間は短くやれることに限りはあるが、福岡戦でできなかったサッカーを取り戻したい。「数字上の昇格可能性があるまでは、目標を下方修正する必要はない」(霜田監督)。未来を信じて、ミッドウィークでの勝利を目指す。

ライター/エディター

世界最小級ペンギン系記者・編集者。Jリーグ公認ファンサイト「J's GOAL」レノファ山口FC・ギラヴァンツ北九州担当(でした)。

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