レノファ山口:「裏天王山」を制す。レオナルド・ラモス、苦境救う2ゴール

来場者にプレゼントされたLEDライトが揺れる中、5試合ぶりの勝利を祝った

 J2レノファ山口FCは8月16日、維新百年記念公園陸上競技場(山口市)で22位ザスパクサツ群馬と対戦。ともにJ3降格圏に位置する「裏天王山」を制したのはFWレオナルド・ラモスの2得点などでゴールを重ねたレノファだった。他会場の結果、レノファの順位は21位のままとなったが、浮上の足掛かりを築く重要な白星となった。

明治安田生命J2リーグ第28節◇山口3-2群馬【得点者】山口=レオナルド・ラモス(前半45分、前半48分)、小野瀬康介(後半10分) 群馬=カン・スイル(前半25分)、岡庭裕貴(後半14分)【入場者数】5658人【会場】維新百年記念公園陸上競技場

 レノファは前節でゴールを挙げているFW岸田和人が累積警告のため出場停止。中4日の短いスパンで修正を大きく加えるのは難しかったが、前節に引き続いてFWレオナルド・ラモスを先発させ、MF小塚和季をラモスの近い位置に置いた。結果が必要だった試合で、この作戦が奏功する。

ラモス(後列左)が3戦連続で先発。鳥養(同左から2人目)はボランチで出場
ラモス(後列左)が3戦連続で先発。鳥養(同左から2人目)はボランチで出場

先制点許すも前半で逆転

 前半の立ち上がりからボールを動かしたのはレノファ。前節よりも落ち着いてボールを回し、少しずつサイドを広げてプレーエリアを拡大する。ランニングを得意とする加藤大樹がスタートからピッチに立って相手の隙を狙い、小塚和季は中央でボールを回収。ボランチに入った鳥養祐矢は「サイドを変えながら、じれることなくプレーする。チャンスは必ず来るので、その瞬間に全員がスイッチを入れられるように」と落ち着いてゲームをコントロールする。前半20分にはその鳥養を起点に、右サイドを上がった廣木雄磨がクロス。ゴールこそならなかったが、レオナルド・ラモスが飛び込みチャンスを作っていく。

 ところが、レノファが主導権を握ってボールを動かしていたものの、同25分にコンタクトプレーから相手にPKを献上。これをカン・スイルに決められ、今節も先制点を許すことになった。この失点を受けて、「少しチームとしてがっくりしてしまった様子があった」とカルロス・マジョール監督。メンタル的なバランスが崩れ、その後の10分間は群馬に攻め込まれるようになる。ただ悪い時間帯でも追加失点を許さずに我慢を続けると、同41分に放った小野瀬康介のミドルシュートを嚆矢に攻撃が再度活性化。ついに45分、相手のミスからラモスがボールを奪い返してドリブルで突破、GKも交わしてシュートを放ち、同点に成功する。

ラモスは加入後4試合で4得点
ラモスは加入後4試合で4得点

 息を吹き返したレノファは手を緩めず、アディショナルタイムには右サイドでボールを受けた鳥養が、裏に抜けようとした小塚を走らせる縦パスを供給。小塚は巧みなステップでボールをコントロールすると、すぐにゴール前にパスを流し、最後はラモスが冷静に流し込んだ。「自分はいるべき場所にいようと思っていた。鳥養選手からの素晴らしいパスと、小塚選手の走り込みとコントロールからのパスが良かった」とラモス。早いパスワークで相手守備陣が硬直、そのタイミングを逃さなかったレノファが一気に攻め込んでスコアをひっくり返した。

意思ばらけず、リード死守

得点を決め、手を挙げて喜ぶ小野瀬(右)
得点を決め、手を挙げて喜ぶ小野瀬(右)

 後半もレノファがゲームを動かす。同10分にはペナルティーアークのすぐ手前でフリーキックを獲得。このチャンスから前貴之が鋭いミドルシュートを放つと、GKの弾いたところに小野瀬康介が詰めて2点差とした。

 だが、追加点直後の同14分に群馬の縦への速い動きでゴール前に持ち込まれ、MF岡庭裕貴に追撃点を許してしまう。ゴールのあとに守備が緩くなるというここまでの課題を繰り返してしまった形で、ゲームの行方はまだ決しなかった。ただ失点したことで引き締まったのも厳然たる事実で、レノファは中盤も厳しくディフェンスに行く。群馬はFW高井和馬、FW石田雅俊と次々に攻撃的なカードを切り、前線への人数を増やしていくが、レノファの集中のほうが勝った。

 1点のリードで迎えた終盤、今節こそチームの意思がばらけることはなく、勝ちきるという一点に注力。はたして勝ち点3を掴み取った。ここ数試合、終盤の時間の使い方で前線とディフェンス陣で考え方にズレがあったが、今節ははっきりとしていた。

マジョール監督(左)は守備での集中を勝因の一つに挙げた
マジョール監督(左)は守備での集中を勝因の一つに挙げた

 「裏天王山」を制したレノファ。20位カマタマーレ讃岐も勝ったため降格圏からの脱出はお預けとなったが、マジョール監督は「相手の時間帯になってもうまくコントロールできた。最終的な結果として上回ることができたのは良かったと思う」と話して選手を称え、2試合連続で先発したGK吉満大介は「今日の勝ちで満足せずに、次、その次と結果を残せるように頑張りたい」と次節に目を向けていた。

連勝へ。浮上の銅鑼を鳴らす

加藤(右)の先発も奏功。スピードを生かしてゲームを動かした
加藤(右)の先発も奏功。スピードを生かしてゲームを動かした

 小塚が高い位置でボールを受けることで、レノファ本来の流動的なパス交換が蘇ってきた。ドリブルで独走したり、スペースへ走り込んだりするラモスの特長も生かせるようになり、小塚は「練習では(ラモスと)あまり組めていなくてぶっつけ本番という感じだったが、結果を残せて良かった。また勝利できるように頑張りたい」と手応えを口にした。

 他方、これで先制点の献上は6試合連続。得点した直後に失点したり、チーム全体がふわっとしてマークが緩くなる時間もあったりと、ディフェンス面では修正すべきポイントは多い。「3点目を取ったあとはもっと楽に進められるチャンスはあった。すぐに失点して自分たちで首を絞めた。1点を取ったあとの5分というのは集中しなければならない」。MF佐藤健太郎はそう引き締めた。

 連敗を脱出しレノファはもう一度、浮上への銅鑼を鳴らした。レオナルド・ラモスは出場4試合で4得点と絶好調。チームも10試合連続で得点中と、いくつでもポジティブな要素が見つかる。次節は昨季までレノファのキャプテンだった島屋八徳が所属する徳島ヴォルティスと対戦する。狙うは上昇基調を確実にする今季2度目の連勝だ。キャプテンを引き継いだ鳥養は「一つでも高い順位を狙っている。そこを目指し、ファン、サポーターのみなさんに一つでも多く勝利を届けていきたい」と力を込めた。苦しんできたイレブンに、光は差そうとしている。