レノファ山口:J2クラブライセンス交付。順位要件満たせば昇格確定へ

Jリーグのクラブライセン交付第一審機関(FIB)は9月29日、来シーズンのJ1、J2クラブライセンスの判定結果を発表。明治安田生命J3リーグで現在首位のレノファ山口FCは「J2クラブライセンス」が決定した。成績面などの条件が整えば11月のJリーグ理事会を経てJ2昇格が確定する。

クラブライセンス制度は第三者機関のFIBが財務やスタジアムなどの面で審査するもので、J2リーグ以上のカテゴリーに所属するには必ずライセンスを保持する必要がある。FIBは、成績面などを満たせばJ1に所属できる「J1クラブライセンス」を37クラブに、J1昇格はできないもののJ2への所属を可能にする「J2クラブライセンス」を7クラブにそれぞれ交付する。山口は6月末に取得に向けて申請。J3カテゴリー以下の新規クラブが一足飛びに「J1」を手にすることはできないため、今回の審査ではJ2クラブライセンスが決定した。

河村孝社長が記者会見

山口は29日午後3時過ぎから記者会見を開き、河村孝社長が判定結果を説明。ライセンス以外での山口の主なJ2昇格要件が、最終成績が優勝か2位になった際の入れ替え戦で勝利▽来季の広告料収入1億円以上の確定▽1試合平均3千人以上(年間合計6万人以上)の来場――などであるとし、このうち広告収入について今季が約1億5千万程度となり、来季についても「問題ありません」と話した。入場者数はすでに平均3千人を大幅に上回る水準で推移し、前節のYS横浜戦消化時点で合計6万5481人が来場している。

河村孝社長
河村孝社長

河村孝社長の記者会見での主な説明内容と質疑応答は下記のとおり。

「今日ご報告させていただきたいのはJ2のライセンスのことですが、レノファ山口は2016年シーズンですが、J2ライセンスをJリーグから交付されたことを皆様にご報告させていただきたいと思いまして記者会見の場を持ちました。一番皆さんのほうが、順位が首位を走っていて、ライセンスの方は大丈夫かというのが気になられたと思いますが、本当にチームが勝つことで、レノファ山口に関わる全ての方々に感謝を申し上げるとともに、J2ライセンスを交付いただいた中で、必ず来季、順位も今の位置をキープして、一番いい形でJ2リーグに参入できればと考えています。去年もそうでしたし、今シーズンもそうですが、サポーター、ファンのみなさん、ここに集まっていただいている報道関係の皆様、ホームタウンになっていただいている山口県、山口市、宇部市、山陽小野田市、下関市の方々の皆様、あとは本当にチームを支えていただいているスポンサー各社の皆様に感謝申し上げたいと思います。まだチームが戦っている状況で7試合残っています。J2に行ける状況が決まってはないですが、心配いただいていた財務のところ、競技場のハード面のところを、山口県、山口に関わる全ての方とクリアできたことはクラブにとってもすごくプラスになりますし、J1という大きな目標に向かって一歩前進するところにやって来られたのかなと思います。何回も申し上げますが、関わる全ての方々に感謝する中で、残り7試合全力を尽くして優勝してJ2に上がりたいと、チームに携わるみんながそういうふうに捉えています」

Q:率直な感想を聞かせて欲しい。

「やっとここまできたかなと、そう思います。何回も言いますように、私もそうですし、クラブのフロント、現場、ここに集まっていただいている皆さんにも感謝したいですし、レノファ山口というのは、スタッフにも言っていますが、ひとつの公共事業と思っていますし、これを育てていくことによって山口の方々に元気、勇気、希望とか、そういうものを若い世代からお年寄りまで、ここに来ればみんなと一緒になって一つのものを応援したりとか、そういうものを感じるものにしていきたいと思います。J2ライセンスが我々に付与していただいたことはすごく次のステップとしては励みになりますし、よしやったという気持ちですね」

Q:財務面は課題だったということだが、クリアできたポイントは?

「我々が会社を設立してから2年間かけてきてやってきた作業が3年目に黒字になった。要素としてはJFLから今年J3に1年で上がれたことと、チームが順位がトップで来ていることで入場者が増えて、入場者数が増えた。私が就任するときに、短期、中期、長期の計画を発表させてもらって、それが早く来ましたが予定通りというか、3年目に赤字を出せないことは分かりきっていて、昨年の時点では一番皆さんが心配されていたことと思いますが、クラブとしては(年数の)幅はありますが、予定通りに来たと思います」

Q:各種収入の見通しは?

記者会見には多くの報道陣が集まり関心の高さが伺えた
記者会見には多くの報道陣が集まり関心の高さが伺えた

「今の29日現在で、1千万から2千万の黒字が見込める状況。このまま順調に推移していけばもう少し増えるかなと思います」

Q:資本金についてと安定的な経営に向けての計画は?

「3200万の増資に関しては終わりました。来季に向けては4億5千から5億円の中で運営していきたいと思います。今季は2億5千万で考えていて、多少そのへんは出るところは出て、へこますところはへこまして、そうなってきています。来季以降は4億5千万から5億円で考えていますが、J2に上がってJ3に落ちればすごく大変になる。そのへんは我々も考えながら、キャッシュフローを年間5千万くらい作る中で、勝負できるときに出たいなと思います。来年1年は予算の部分だけで言えば慎重に考えています」

Q:予算の増える部分はスポンサー収入なのか?

「スポンサー収入も限界があるところもあると思います。一番はスタジアムで稼ぐ。それが一番、安定経営に繋がると思いますので。1億5千万くらいは。昨年のJリーグの下の方が7千万か8千万なので、それに近い、それ以上の入場料収入で。入場料とかも考えていきながらですが」

Q:広告収入が1億円以上ではないといけないということだが?

「それは問題はありません。1億に関しては来月中にやらないといけない作業ですが、ある程度終わっています」

Q:支出面で削った部分というのは?

「遠征費のところとかは、かなり。これは監督、現場とやり合いながら宿泊費や移動のことなど細かい数字を減らしていきました。今回もJ3に上がって勝利給をどうするか。一つ一つは大きい数字ではないかもしれませんが、何千円単位でも細かい作業が何百万という単位になってくるので削ったりしています」

Q:ハード面ついての整備の不足はあるか?

「一番は芝生の常緑化。これは全て取り組んでいただいています。それと記者席。その2カ所をやればOKということで。それは大前提になるので、来季のそこがクリアできていないとライセンスも出ないとか、(広告料収入の)1億円というのが来月末までに。そのへんは我々の中で。細かいことを言えば3千人はクリアしていますし、順位的に最後、優勝か2位になって入れ替え戦の中で勝つことができれば基本的には狙えるところです」

選手の多くがJFLからの移籍や大卒ルーキー。上位カテゴリーの経験者は少ない
選手の多くがJFLからの移籍や大卒ルーキー。上位カテゴリーの経験者は少ない

Q:一重に選手たちが成績を出してくれたからだと思うが、まだ今日はオフなので選手には話ができていないと思うがどう伝えたいか?

「仰っていただいたように選手が頑張ってくれているから皆さんに注目されていますし、関心を持っていただけている。それに関しては感謝していますし、首位をキープしたまま優勝できるようにサポートしたいと伝えたいと思います。まとめてくれている上野監督にも、これだけ無名の選手で上のカテゴリーの経験のない選手を集めながら、1年間戦ってくれていることにすごく感謝していますし、付いていってくれている選手、出ている選手も出ていない選手もいますが、今シーズンに関しては誰一人欠けてもダメだと思うので、携わっている選手、監督、現場スタッフ含め感謝したいと思います。今日は仰ったようにオフなので、改めてみんなにも報告したいと思います」

Q:これから課題があるとすれば何か?

「課題は本当にこれからいろいろ出てくると思います。来季、まじめにJ1を捉えて、最短で最低予算で上がりたいというのは昨年も話しましたが、現実的にはハード面を含めたら難しいのかなと。右肩上がりで来ていますが、ずっと続くわけじゃないというのは自分の中で捉えている部分もあります。うまくいかなかったときに皆さんから叩かれることも覚悟しているんですが、ずっといいことばかりじゃない。人生と一緒なので、そこも温かく見守っていただきたいと思います。逃げているとかではなくて、いろんな形で自分たちだけで物事を進めていくのは非常に難しくて、特に山口の皆さんはマスコミの方々にしても温かくクラブを見守ってくれているとどこに行っても聞くし、いろんなチームの実行委員の方も、山口はサポーターの方も温かいと。それをずっと続けていっていただきたいですし、私どももそういうふうにずっと思ってもらえるようなクラブ作りをしていく中で、何回も言いますが、山あり谷ありという状況は出てくると思うので、クラブを信じて、一緒にクラブを育てるという思いで携わって欲しいなと思います。いい状況のときに次の準備をしたいですから、観客動員ももっと増やすことに対して貪欲になっていきたいと思います」

Q:J2に上がると全員がプロ契約になるのか?

「そういうふうにする予定です。(引き抜きに合うような)選手が出てくるかもしれませんが、クラブを取るか選手を取るかとなったときに、無理をしていったら経営していく中でクラブは成り立たない。それで失敗しているクラブもかなりあると思う。そういうものもインプットされているので、限られた予算でやることが大前提なので、クラブが傾いたからと選手の給料を未払いというわけにはいきませんので、そこは誠心誠意交渉しますが、ある意味、どうしてもその部分で折り合いがつかなければ難しいかなというのも実際です。ただ、先ほども言いましたように、山口のスタジアムで1年ぶりにこの前、富山戦で負けましたが、何か雰囲気があると思います。それは選手が、我々以上に一番感じている部分なので、そのへんは選手自身が感じている部分で、お金、報酬だけじゃない。とは言っても選手寿命が短い中での駆け引きは絶対にあると思いますが、自分たちは誠心誠意その部分を伝える中で、来季の契約更改をしていかなければいけないなと思います」

Q:今日はレノファ山口にとってどんな日になったか?

「あくまでも僕個人としては、前回(JFLからJ3)もそうですが、今回も、通過点と思っています。みんなで良かったなという話も特別にしたわけではないですし、ただクラブにとっては一つ一つの積み重ねと思いますので、次に向けてのステップアップの日かなと思います」

Q:ライセンスとしてはクラブが頑張って取り、チームも成績を収めつつある。サポーターも平均3千人をクリアした。サポーターへの思いを聞かせてほしい。

維新百年記念公園陸上競技場の平均入場者数は4300人超
維新百年記念公園陸上競技場の平均入場者数は4300人超

「携わっていただいているボランティアの方もそうなんですが、本当に感謝しています。顔を見たら、特にアウェーで挨拶に行ったときには、勝ったときには喜んでくれて、負けても『次があるから』と。涙が出るくらいに嬉しくて、町田戦(9月20日)もゴール裏だけを見ればどちらのホームか分からないくらいに来てくれていて、今週(維新公園で)勝ったときも、ボランティアの方も本当に最後の最後まで一生懸命片付けしていただいたり。その毎週毎週の積み重ねがいいふうに選手に伝わる中で来ていますので、これは本当に我々の財産だと思いますし、財産を大事にしていくことで、財産を広げていく中で、みなさんに、いつも言っていますが、感動とか喜びとか楽しむということを一緒に共有していっていただければと思います。言葉では感謝していますと簡単に言っていますが、現場で感じるものは、言葉で現せないというか、すごく本当に感謝しています。ありがたいことです」

Q:上野監督とは将来のビジョンについて話をしているか?

「監督は歩くのが大好きなので、1時間くらい歩く中でそういう話をしています。具体的なことはまだシーズン中なので言えませんが」

Q:残り7試合、サポーターにメッセージを。

「勝負に絶対はないと思います。星計算を頭の中でしたりしますが、1試合1試合皆さんに力をもらう中で、選手は頑張ってくれている。特にホームは絶対にアドバンテージがあると思います。ほかのチームのホームよりアドバンテージがある中で、結果としても(維新公園では)1敗しかしていないわけですから、残り4試合のホーム戦があるんですが、絶対に落とせないし、勝つために皆さんに力をもらいたいと思います。アウェーも一戦一戦、負けなければいいじゃないですが、ホームを勝つことで、次のアウェーの勢いをもらうという形でやっていきたいので、残り4試合ホームがありますので、ホームには足を運んでもらって選手と一緒になって戦ってほしいと思います。ぜひスタジアムに足を運んでもらって喜びを共有して欲しいと思いますのでよろしくお願いします」

上野監督と平林主将もコメント

上野展裕監督とキャプテンの平林輝良寛選手のコメントをクラブが発表している。

上野展裕監督(2015年6月撮影)
上野展裕監督(2015年6月撮影)

上野展裕監督

「山口県の皆さんのおかげでJ2クラブライセンスが取得できたこと、本当にありがたい限りです。選手、スタッフみんなで喜んでいます。我々チームサイドとしては結果を出すだけだと思っています。これからも試合、ベストを尽くして結果を出していきたいと思います。これからも応援よろしくお願いします」

平林輝良寛選手

「J2クラブライセンスが取得でき本当に嬉しく思います。レノファ山口を支えていただいているたくさんお方々のご理解、ご協力があり成し遂げたことだと思っています。この方々の思いをしっかり受け止め、選手は一丸となって残り7試合、結果にこだわり、優勝そして自動昇格に向けてやりきりたいと思います。これからも応援よろしくお願いします」

条件面を支えたサポーター力

志士たち「志」宿るスタジアムに新しい熱風
志士たち「志」宿るスタジアムに新しい熱風

(解説) J2昇格には1試合平均3千人の集客も要件となっている。山口のホームゲーム数に換算すれば年間合計で6万人を集める必要があるが、山口は9月13日の第28節富山戦で合計6万971人となってその条件を早々とクリアした。第31節終了時点でのホーム平均は4093人で、維新百年記念公園陸上競技場(山口市)に限れば4300人強。J3では長野の4720人に次いで2番目に多く、4千人台が多いJ2の動員規模に達している。

その入場者数に占めるゴール裏サポーターの多さも特徴的だ。また、今シーズンはいわゆるタダ券(無料招待券)をほとんど配らなかったため、「入場者数は1.5倍くらいになっているが、入場料収入は4~5倍」(広報)と好調に推移。河村社長は「スポンサー収入も限界があるので一番はスタジアムで稼ぐ。それが一番、安定経営に繋がる」と話している。2年前の中国リーグ時代は観戦そのものが無料。それが昨季のJFLからは一転して有料になった。当初は来場を心配する声も聞かれたが、チームの好成績も重なってお金を払って見たり支えたりするスタイルにうまく転換できた。もっともJ2の上位、あるいはJ1では1万人を超えるサポーターが選手たちを後押しする。「山あり谷ありという状況は出てくると思うので、クラブを信じて、一緒にクラブを育てるという思いで携わって欲しい。いい状況のときに次の準備をしたい」と河村社長。記者会見でも慎重に言葉を選び、背伸びをせずにクラブを築いていく考えを示した。

残すはほぼ成績面のみ。残り7試合のうち下関陸上競技場の1試合を含む4試合がホーム開催となる。サポーターの力を励みに優勝でJ2へと飛び込みたい。