<新スタ始動>「クラブの転換期になる」。ギラ・柱谷幸一監督が強化誓う

中央の駐車場が建設予定地の大部分を占める(2014年7月撮影)

来年4月着工、2017年供用開始へ

北九州市は7月15日、小倉駅北側に新設する仮称・北九州市立スタジアムの建設や当面の管理を行う事業の入札結果を発表。応札したのは九電工を中心とした1グループのみで、約107億円で同グループが落札した。市が発表しているスケジュール通りに進めば8月にも仮契約を締結。下半期には基本設計などに移り、来年4月に着工する。供用開始は2017年3月の予定。

スタジアムはサッカーJ2・ギラヴァンツ北九州の新しいホームスタジアムになるほか、ラグビートップリーグやコンサートなどの会場としての利用も想定。交通の要衝・小倉駅から徒歩10分圏内の好立地で、商業施設が集まる同駅南側なども含めた小倉都心部のにぎわいづくりの一環にもなる。スタジアムはJリーグが定めるクラブライセンス制度で「J1基準」を満たす座席数1万5066席で建設。将来的にバックスタンドを増設するなどして2万席規模に拡張できるような構造にする。

(筆者ページにおいては不定期的に新スタジアムに関連した動きも記していくが、今回はギラヴァンツ北九州首脳陣のコメントを得られたため本稿後半で紹介する)

小倉駅至近の良好なアクセス

Jリーグクラブのホームスタジアムとしては屈指の良好なアクセス環境となる。また臨場感もトップクラスだ。球技専用での設計となるため陸上トラックがなくピッチとスタンドは至近距離。最前列では高低差もほとんどなくピッチと同レベルでプロのプレーを観戦できる。飲食ブースをまとめて配置できる「にぎわいプラザ」を設けたり、VIPやスカイボックスなどのシートを備えるなど、さまざまなニーズに応えうる施設となりそうだ。

本城陸上競技場はハード面で「J1基準」を満たしていない(2013年11月撮影)
本城陸上競技場はハード面で「J1基準」を満たしていない(2013年11月撮影)

この施設を2017年のシーズンから使うことになるギラヴァンツ北九州。現在の本城陸上競技場が席数でJ1基準を充足していないため、クラブにとっては待望のJ1規格のスタジアム誕生となる。アクセスが良くなったり、本城にはない大型映像装置による演出が可能になったりとあらゆる部分で改善され、苦戦している集客面でも追い風にもなりそう。リーグのチーム数が現状のままの場合、J2では毎年21試合を同スタジアムで開催。J1であればリーグ戦17試合に加えてヤマザキナビスコ杯(Jリーグ杯)のホーム戦を行うことになる。

スタジアムは2007年に北九州市サッカー協会とラグビー協会が同市体協を通じて新設を陳情。市スポーツ振興審議会の提言なども踏まえて08年の市総合計画に盛り込まれ、具体的な動きが始まった。大型事業となることから第三者委員会を設置して審議したり、市民への説明会を開いたりと慎重に検討を重ね、2013年6月に北橋健治・北九州市長が整備着手を発表。事業者向けの説明会、入札などを経てこのたびの業者決定に至った。

施設は民間のノウハウを活用して効率的な施設運営を行うPFI手法を活用。落札した事業者グループは建設だけでなく、その後の運用までも一貫して行う。北九州市立スタジアムの場合、完成後15年間にわたって管理、運営することになる。

魅力あるクラブへ、柱谷監督などコメント

ホームスタジアムとして2017年シーズンから利用することになるギラヴァンツ北九州。クラブの横手敏夫社長は7月15日、「100億円超の事業費をかけてスタジアムが建設されることに改めて身の引き締まる思い」とコメントを発表したほか、柱谷幸一監督もJ1昇格に向けたチーム作りに気持ちを新たにしていた。

クラブが発表した横手社長のコメントは次のとおり。

『新スタジアム事業者が決定しほっとしています。北九州市の財政が大変厳しい状況の中で、100億円を超える事業費をかけてスタジアムを建設されることに改めて身の引き締まる思いです。新スタジアムは交通アクセスが良く、「街なかスタジアム」として日常的に人が集まり、街の賑わいを生みます。また躍動感、臨場感あふれる劇場型スタジアムとして地域のシンボルとなります。その新スタジアムを通じてギラヴァンツ北九州は子どもたちに夢と感動を与えられるよう、そして北九州が一体となり、誇りと活力のある街「北九州」へ貢献できるよう、地域に根ざしたクラブを目指し、全力で取り組んで参りますので、今後ともご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます』

7月17日のチーム練習後、ギラヴァンツ北九州の柱谷幸一監督も取材に応じた。柱谷監督は「いよいよ見えてきたという印象。スタジアム完成はクラブの転換期になると思う。3年はすぐに来る。できてからではなく今から備えていかなければならないし、スタジアムを満員にできるようにならなければ」と話し、魅力あるクラブづくりに言及。また、「(所属選手として)保有する選手を増やしていき、さらにベースを上げていければ2017年に勝負を掛けられると思う」と述べ、チームのJ1昇格にも改めて意欲を見せた。

市民が育てるスタジアムへ

2017年の完成に向けて、メーンの利用者となるギラヴァンツ北九州は地域とのいっそうの連携や集客力向上などに取り組むことになる。本城での集客は今シーズンも苦戦しており、アクセスや環境の改善だけで入場者数が2倍、3倍に飛躍するという保証はない。クラブ自身が試合やイベント、ブランド力を磨いて魅力を高めていくことはもちろん、北九州市民にもクラブやスタジアムを自分たちのものとして育てる心意気が必要となりそうだ。