京都府生まれ。1981年関西学院大学社会学部卒。朝日新聞記者を経て、96年北海道大学医学部卒。都老人医療センターなどの精神科で、高齢者うつ、認知症の医療に従事。米Duke大学で電気けいれん療法研修修了。日本医科大学精神神経科、戸田中央総合病院メンタルヘルス科部長ののち、2022年東京さつきホスピタル勤務。北辰病院(越谷市)で高齢者専門外来。精神保健指定医。医学博士。日本老年精神医学会専門医・指導医。著書『高齢者うつを治す―「身体性」の病に薬は不可欠』『治さなくてよい認知症』(日本評論社)、『認知症そのままでいい』(ちくま新書)、訳書『精神病性うつ病―病態の見立てと治療』(星和書店)など。
記事一覧
- コロナ禍による高齢者の「身体能力低下」と「うつ」は別のもの――うつなら薬の治療で早い改善が望める
コロナ禍で注目される高齢者の「身体能力低下=フレイル」と、「うつ」は似ているが、病状も治療も大きく異なる。治療は、フレイルなら運動と食事、うつは休養と薬の服用であり、うつは「放置」するのは危険だ。
- うつが「ニセ認知症」を起こす――2つの事例でみる認知機能テストの“落とし穴”
物忘れでも認知症とは限らない。うつでも認知機能が低下し、回復可能な「ニセ認知症」になることがある。その場合、認知機能評価テストはあてにならない。元気がなく物忘れがある時は、先にうつを疑う。
- 高齢者は原因なしで「うつ病」になる―治療法は確立
うつ病はつらい出来事やストレスで起きると思われているが、高齢者には当てはまらない。高齢者は何も原因がなくてもうつ病になる。もともとうつ病は原因不明の脳の変調である。70代女性の例を挙げて説明する。
- アルツハイマー病新薬は効果不十分、本人・家族への「治れ圧力」を強めてはいけない
アルツハイマー病の新薬が米国で承認され、国内でも承認の見通しがある。しかし、効果は不十分で実用化に壁も多い。認知症が治ると思われ、社会の「治れ圧力」が認知症の人と家族を苦しめることがあってはいけない。
- 「うつ病」解釈が拡大した時代の混乱―大坂なおみ選手の「うつ病」を「うつ状態」に朝日新聞が変更
大坂なおみ選手の告白を「うつ病」と報じていた朝日新聞が「うつ状態」に変更した。なぜこんな混乱が起きるのか。背景にはこの20年の「うつ病」解釈の拡大があった。「うつ状態」こそ適切な表現であろう。
- 高齢者の「身体性うつ」克服記を読みとく―森村誠一著『老いる意味 うつ、勇気、夢』(追記あり)
高齢者うつの闘病を本に発表した作家森村誠一氏。典型的な高齢者の「身体性うつ」の病状と経過を読みとく。高齢者はほとんどが「身体性うつ」で、8~9割は治る病気だ。森村氏は身をもって「回復の証明」を示した。
- 2人死傷を招いた高齢者の意識障害はなぜ起きたか?ー医療が事故裁判から学ぶべき教訓ー
女子高生2人が死傷した事故の今月25日の控訴審判決で、被告男性(88)に一審無罪を覆す実刑判決が言い渡された。裁判では、認知症の有無、低血圧による意識障害が焦点となった。医学的観点から裁判を考えた。
- 身近にうつの高齢者がいたら―声かけ5つの基本
うつ病(身体性うつ)の高齢者には、正論アドバイスをしない。身体不調の訴えをわがままだと思わず対応する。怠けのせいではない、運動や外出はしなくてもいい、精神科で服薬すれば必ずよくなる、と言ってあげたい。
- 高齢者うつ 精神科こう診てほしい6ヶ条
高齢者うつの診察は、精神科医に6つの大事を診てもらいたい。身体疾患をチェックする、薬はまず1種類処方する、無理して運動や外出をしなくてよい、改善がなければ薬剤増量・入院・電気けいれん療法を行うなどだ。
- 高齢者の「身体性うつ」には服薬が不可欠
高齢者のうつ状態には3つあり、そのうち「身体性うつ」が従来から言われるうつ病である。「身体性うつ」すなわちうつ病は、大きな苦悩をもたらし、治療には薬物療法か電気けいれん療法という身体療法が必須である。
- 高齢者が物忘れしたら認知症なのか?――目立つ医師の「早まった診断(誤診)」
高齢者の物忘れなどが間違って認知症と診断される傾向が目立つ。本来第一に疑うべきは、身体疾患や内服薬の影響である。治らない認知症と違い、治る可能性が高いからだ。早期発見の風潮が医者の目まで曇らせている。
- 『恍惚の人』は認知症だったか? ―引きずっている偏見を正す―
社会に根強い認知症への偏見の要因は、1972年の有吉佐和子の小説『恍惚の人』だ。実はそこで描かれた言動はすべてが認知症ではなく、身体異常によるせん妄だった。誤った認識が45年間も偏見の元だった。
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