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夏はファン付きウェア、冬はヒーター付きウェア~ファッションワールド東京に見るガジェット服の波

塚本昌彦神戸大学大学院工学研究科教授(電気電子工学専攻)
10/27-29ビッグサイトで開催されたファッションワールド東京にて(筆者撮影)

暑かった今年の夏ですが、街やビルなどでファン付き作業服をよく見かけたのではないでしょうか。どうやら昨年あたりから「電動ファン付きウェア」が突然流行りだしているようです。気象庁によると、今年の冬は暖かかった去年の冬と違って「冬らしい寒さ」になるらしいのですが、実は冬の方も「電熱ヒーター内蔵ウェア」が流行りだしているようなので気になるところです。

今回は、2020年10月27日(火)~29日(木)に東京ビッグサイトで開催された「ファッションワールド東京」に行ってきて、これらの電気仕掛けのウェアがどのように進化しているかを見てきましたので、報告します。

電熱ヒーター内蔵ウェア

株式会社リブレのブースでは、株式会社神戸デジタルラボと共同で開発したアプリ連動の電熱ジャケットが展示されていました。カーボンファイバーを加工した布に電気を通すと熱源となり、胸に付けられた防水仕様のコントローラーで3段階に温度を調整できます。コントローラーを押して3段階調整もできるのですが、スマホアプリやApple Watchでの制御もできます(現行商品はApple Watch非対応)。カーボンファイバーを使うことで丈夫で効率の良いものとなっているとのことです。同じ仕掛けが入ったグローブなども展示されていました。

リブレブースで展示されていたスマホやスマートウォッチ連動のヒーター内蔵ウェア(筆者撮影)
リブレブースで展示されていたスマホやスマートウォッチ連動のヒーター内蔵ウェア(筆者撮影)

株式会社リブレ オフィシャルサイト

株式会社神戸デジタルラボのホームページ

本件に関連する神戸デジタルラボのリリース

電熱ジャケットや電熱ベストなど、バイク用や業務用で10年ぐらい前から商品は出ていましたが、モバイルバッテリーの普及でより手軽で安価に使えるようになり、今急激に商品が増えている状況のようです。今年の冬用に電熱ジャケットをさがしてみるのがよいかもしれません。

電動ファン付きウェア

株式会社三愛ブースでは、オリジナル企画に対応した電動ファン付きウェアが展示されていました。従来は作業服で定番のものが多かったのですが、定番にはないようなカラフルなデザインにしたり、会社名を入れたりなど、要望に応じて5着以上の枚数で販売しているとのことです。ファンやバッテリーもいろいろ種類があるので用途に応じて選べます。タイガースの応援服も展示されていましたので、作業服などの業務用だけではない、民生用を含めた用途の広がりを感じました。

三愛ブースで展示されていたオリジナル規格に対応した電動ファン付きウェア(筆者撮影)
三愛ブースで展示されていたオリジナル規格に対応した電動ファン付きウェア(筆者撮影)
三愛のオリジナル企画のファン付きウェアはファンやバッテリーもいろいろ種類があり選んで使えるようになっている。(筆者撮影)
三愛のオリジナル企画のファン付きウェアはファンやバッテリーもいろいろ種類があり選んで使えるようになっている。(筆者撮影)

株式会社三愛のホームページ

電動ファン付きウェアはすでに100億円市場を超えているとみられています。トップカンパニーと見られる株式会社空調服は東京ですが、三愛をはじめ作業服メーカーは備後地域を中心とする中国地方に多くあります。バッテリーやモーターの性能向上、低価格化に支えられながら性能が上がり、売り上げを伸ばしていると同時に民生などより広い用途へ広がりつつあるようです。

まとめ

この展示会は基本的にアパレルショップ向けの展示会なので、一般の人向けのものではありません。また新しい技術を展示するものでもなく、ショップ向けの新しい商品を見せて商談を行うことが展示会の主旨となっています。そのようなこともあってか、ガジェット系の出展は上記の2つ以外にはほとんど見当たらなかったのですが、両社の展示を見て話を聞いてみると、電気仕掛けのウェアという波がファッション業界に迫りつつあることを感じました。前者は特にスマホやウォッチと連携するという意味でデジタル化がすすんでおり、「ウェアラブル」と呼べるものだと思います。これらの「ガジェット服」は、昔は普通の服よりも重くて不便だったのが、技術の進歩によりむしろ「より軽くて便利なもの」に進化しつつあり、さらにはスマホなどと連動して「より賢いもの」となってゆくのかもしれません。マーケットリサーチで有名な矢野経済研究所では、最近これらそれぞれの動向調査を行っており、両者の急成長を正確に捉えようとしているものと思えます。夏はファン付きウェア、冬はヒーター付きウェアというウェアラブル化の兆候は今後広がっていくのか、注目すべきではないでしょうか。

矢野経済研究所

電熱ヒーター内蔵ウェア(ヒータージャケット)の市場実態と今後の成長

注目される電動ファン付ウェアの市場実態と今後の成長予測

また、本展示会はメガネ展と併催されており、隣の会場で全く同一機関に開催され、相互に行き来できるようになっていました。メガネのほうもデジタル化の波がちょうどやってきているようなのですが、展示会の中ではその兆候はわずかに見られた限りでした。そのレポートはすでに挙げていますので、そちらも併せて見ていただければと思います。

メガネのデジタル化は進んでいるのか~国際メガネ展IOFTより調光グラスやコロナ対策メガネなど

なお、ウェアラブル関連の大規模な展示会が年明けに東京ビッグサイトで開催されます。この分野にご興味をお持ちの方はぜひ見に行かれるといいのではないでしょうか。

ウェアラブルEXPO(2021.1.20水-22金 東京ビッグサイト)

名称:第11回ファッションワールド東京秋

会期/会場:2020年10月27日(火)~29日(木) 10:00~17:00 東京ビッグサイト

主催:リードエグジビジョンジャパン株式会社

参考情報:出展社数350社、来場者数:15,000名※出展社数(共同出展社を含む)・来場者数は最終見込み数字

ウェアラブルチャンネル(YouTube)でも近々ファッションワールドの様子を配信する予定です。

神戸大学大学院工学研究科教授(電気電子工学専攻)

ウェアラブルコンピューティング、ユビキタスコンピューティングのシステム、インタフェース、応用などに関する研究を行っている。応用分野としては特に、エンターテインメント、健康、エコをターゲットにしている。2001年3月よりHMDおよびウェアラブルコンピュータの装着生活を行っている。NPOを立ち上げ、ウェアラブル産業の普及・振興に努めている。参考:ウェアラブルチャンネル(YouTube) https://www.youtube.com/channel/UCA2MKr5OFn-ZuxeKUbSfbcw

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