いよいよ梅雨明け! 猛暑を乗り切るためのウェアラブルクーラーの選び方とは?

ウェアラブルネッククーラーや首掛け式扇風機を装着した筆者(筆者撮影)

いよいよ全国ほとんどの地域で梅雨が明け、暑い夏がやってきました。気象庁によると今年は猛暑になるとのことです。巣ごもりの人は部屋のクーラーで暑さをしのげると思いますが、たまに外に出るときには対策が必要です。巣ごもりでない人は、暑い中マスクをしながら通勤したり、オフィスや現場で働いたりしなければなりません。最近、電子機能を備えたウェアラブルクーラーがたくさん登場しており、猛暑を乗り切るために購入を考えている人もいると思いますので、選び方についてポイントを述べたいと思います。

ペルチェ素子を用いたウェアラブルデバイス

まず最近よくニュースで目にするのがペルチェ素子を用いたウェアラブルデバイスです。首掛け型のネッククーラーが多いのですが背中を冷やすものなどもあります。結論としては、まだまだ発展段階の商品なので「様子見」がお勧めです。手近に実物があって実環境で試すことができて効果が確かめられている「アリ」だと思います。例えば、オフィスの温度設定が高いので自分だけ涼みたいという場合にはよいかもしれません。屋外で使うのはまだまだ難しいと思います。

ペルチェ素子を用いたウェアラブルクーラー(ペルチェクーラー)は10年ぐらい前から開発が行われています。ペルチェ素子は金属を貼り合わせたもので、電流を流すと熱が片面からもう片面に移動するという仕組みになっています。つまり、片面が冷たくなった分だけもう片面は熱くなるということです。電流を流す向きを逆にすると熱い面と冷たい面が入れ替わるのでクーラーからヒーターに早変わりします。「冷暖房」をうたった商品がいくつかあるのはそのような仕組みがあるからです。

市販のペルチェ素子の一例。20mm*20mm*4mmのもので、電流を流すと片面が冷たくなり、反対面が熱くなる。逆方向に流すと冷たい川と熱い側が逆になる。(筆者撮影)
市販のペルチェ素子の一例。20mm*20mm*4mmのもので、電流を流すと片面が冷たくなり、反対面が熱くなる。逆方向に流すと冷たい川と熱い側が逆になる。(筆者撮影)

ペルチェクーラーのポイント1: 涼しい場所で試してみてすごく冷たくなるからと言って、暑い場所では冷たくなりにくい点に注意が必要です。購入するときに涼しい販売店ですごく冷たかったからと言って、暑い現場では全然冷たくならないということはよくあります。そのため室内でクーラーの設定温度がやや高い場合に涼しみたいというときにはある程度の効果が期待できますが、炎天下の外で利用する場合には全く不向きです。また金属ですので触れた瞬間「ヒヤッ」としますがそれは熱伝導率の効果であって、しばらくすると冷たい感じはほとんどなくなっていきます。つけていてずっと「ヒヤッ」とするようなものではないということです。

ペルチェクーラーのポイント2: ペルチェの熱い面の放熱部の性能が重要です。結局、放熱する分だけ冷やせるので、放熱機構が十分なものでないと効果がありません。例えば、大きなファンをガンガン回さないと涼しくなりにくいということです。また、放熱部は熱や音を発するので、これらが邪魔にならない場所でなければなりません。静かなオフィスの中で後ろや周りに人がいる場合には放熱や音が嫌がられる可能性があります。

ペルチェクーラーのポイント3: 装着部位も重要です。一般に頸動脈を冷やすネッククーラーは血液の循環を通じて体全体を冷やす効果があります。わきの下や股間なども効果が期待できますが、それらの部位を冷やすペルチェクーラーは今のところ見当たりません。それ以外の大きな血管が通っていない場所では体全体を冷やす効果は期待できません。

NPOウェアラブル環境情報ネット推進機構(WIN)による2013年ごろのウェアラブルネッククーラーの試作機。ペルチェの熱を逃すため、水冷式で外部のラジエターで液体を冷ます仕組みになっている。(筆者撮影)
NPOウェアラブル環境情報ネット推進機構(WIN)による2013年ごろのウェアラブルネッククーラーの試作機。ペルチェの熱を逃すため、水冷式で外部のラジエターで液体を冷ます仕組みになっている。(筆者撮影)

ほかにも防水性・防滴性、電池の持ち、価格など一般的なポイントが数多くありますが、自明なので省略します。おそらく最終的に最も重要なのは価格で、1万円以上するものも多数あります。値段が高い分冷却力に関しては過度に期待しがちですがそれは間違いです。商品によってはネットの口コミで「値段のわりに効果がない」「値段に合わない」というものがよく見られますので、購入前に良くチェックしてください。

ソニーの"着るクーラー" REON POCKET インナーシャツ型で背中にデバイスを入れる。

出典:Yahoo!ニュース・ねとらぼ

富士通ゼネラルの首に装着するウェアラブルエアコン「コモドギア」

出典:Yahoo!ニュース・ITメディア

ペルチェ素子付きの首掛けクーラーの試用記事

出典:Yahoo!ニュース・ASCII

ファン付きのウェアラブルデバイス

ウェアラブルクーラーとして古くからあるのはファン付きの服・デバイスです。ファン付きのマスク、ファン付きのジャケット、首掛け扇風機などが売られています。これらは価格が安いものが多いので、費用対効果としてはそれなりのものが望めます。しかしこれらもつけ位置や大きさ、モーター性能などによって冷却効果はかなり異なりますし、バッテリの持ちや重量、安全性などにも注意する必要があります。

首掛け扇風機のポイント: 昨年から流行している首掛け扇風機は、概して評判も良く、今年も低価格でたくさん販売されるものと思います。首の後ろ、頚椎直撃部分にバッテリがある場合が多いので、転倒や超高温、汗などで万が一事故でもあると大変です。購入時には安全性に関する保証や製造元の信頼性、口コミ等に、使用時には発熱や異臭、ふくらみなどによく注意して下さい。

昨年急にはやりだした首掛け式扇風機の一つ。ネットで1000円~2000円程度で購入できる。USBでチャージできるバッテリーを備える。LEDできれいに光るような商品もある。(筆者撮影)
昨年急にはやりだした首掛け式扇風機の一つ。ネットで1000円~2000円程度で購入できる。USBでチャージできるバッテリーを備える。LEDできれいに光るような商品もある。(筆者撮影)

ファン付きマスクのポイント: マスクに関しては、ファン式のものはウイルス防御に関する効果に注意する必要があります。無電源で呼吸をするときにだけファンが回る、あるいは弁が開くというものがありますが、これは息苦しさを軽減するもので冷却効果を直接狙ったものではありません。ファンではなく素材や保冷材で冷やすものもありますので、冷却効果とともに本来の目的であるウイルス防御の両方の効果をよくチェックしてください。

ファン付きジャケットのポイント: ファン付きのジャケットは10年以上前から工場などで広く使われていますので、性能的には十分よいものが多いようです。暑い場所でジャケットを着ないといけない状況では一定の効果がありますが、その必要がないならはジャケットを着ずにTシャツなど薄着をする方が涼しいと思います。雨の日のレインコートなどには向いていそうです。これもペルチェや保冷剤と組み合わせるなどして、根本的に「冷やす」ということをするものもよさそうです。

結果としてファン付きのデバイスについては、一定の冷却効果があるものが多いと思います。今後、帽子やズボンなどバリエーションがふえていくのではないでしょうか。

AOKI、空調服の共同企画による空調ファンを備えたベスト「クーラーベスト」

出典:Yahoo!ニュース・BCN

アイリスオーヤマ ファン付きジャケット「クールウェア」

出典:Yahoo!ニュース・PHILE WEB

ワークマンの空調ウエア「空調風神服(R)長袖ジャケット」「ハイブリッド空調服」

出典:Yahoo!ニュース・LIMO

はるやま ミズノのファン付きジャケット「エアリージャケット」

出典:Yahoo!ニュース・Impress Watch

アシックスファン付きウェア「AIR CONDITION WEAR」

出典:Yahoo!ニュース・FASHONSNAP.COM

結論としては…

全般的に商品ごとに冷却効果は全く異なります。状況に応じて使い分ける必要がありますので、よく調べてから購入するのがよいと思います。ペルチェを用いたものについてはまだまだ発展段階にありますので、購入には注意が必要ですが、ビジネスをやっている人にとってはビッグチャンスです。現状の技術的な問題点を踏まえて、よいデザインをすれば大きな可能性があると思いますのでぜひチャレンジしていただきたいと思います。

クーラーは部屋に取り付けるのではなく、個々人に取り付けたほうがエネルギー的には効率的です。いつか皆がウェアラブルクーラーを身に着けて暑い夏を過ごす日がやってくるかもしれませんね。