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【F1】2年ぶりのモナコGP。ホンダはアイルトン・セナ以来29年ぶりの優勝を狙う!

辻野ヒロシモータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト
1992年 モナコGPを走るアイルトン・セナ(写真:渡辺正和/アフロスポーツ)

5月は「世界三大自動車レース」に挙げられるビッグイベントの内、2つが開催される。「F1モナコGP」(=5月23日決勝)と「インディアナポリス500マイルレース」(=5月30日決勝)だ。

最近はこの2つの有名レースが同じ週末に開催されることが多く、2017年にはフェルナンド・アロンソ(当時マクラーレン・ホンダ)がF1モナコGPを休んでまで出場したことがあった。幸いにも今年は1週ズレており、見る側にとってはありがたい。

2019年モナコGP
2019年モナコGP写真:ロイター/アフロ

特に新型コロナウィルス感染拡大の影響で2020年の大会が中止された「F1モナコGP」は2年ぶりの開催である。今回はF1モナコGPの名勝負を振り返りつつ、今年のプレビューをお届けしよう。

歴代最多モナコ優勝はセナ

「モナコの優勝は3勝分の価値がある」

誰が言い出したのかは不明だが、F1モナコGPはそんな風に表現されることが多い。モナコ公国のモンテカルロ市街地のストリートサーキットはドライバーたちに速さと極限の集中力を求め、(かつては)ドライバーが疲労困憊でマシンから降りてくるほど過酷なレースだったからだ。

モナコGP
モナコGP写真:ロイター/アフロ

また、F1モナコGPはごく稀にレースが荒れて伏兵が優勝することもあるが、コース幅が狭く、ほとんど抜きどころがないコースであるため、予選で見せる一発の速さが重要。そういう意味では本当に速いドライバーが勝利するレースである。

F1の歴史を振り返ると、モナコで速さを見せ、毎年のように優勝を飾るドライバーが時代ごとに居た。1950年代はスターリング・モス(通算3勝)、1960年代はグラハム・ヒル(通算5勝)、1970年代はジャッキー・スチュワート(通算3勝)、1980年代〜90年代はアラン・プロスト(通算4勝)、アイルトン・セナ(通算6勝)、ミハエル・シューマッハ(通算5勝)など名ドライバーの名前が並んでいる。

アイルトン・セナ
アイルトン・セナ写真:渡辺正和/アフロスポーツ

そんな中で6勝を挙げたアイルトン・セナはモナコGPを語る上で欠かせない伝説的ドライバーと言えるだろう。F1デビュー年の1984年に弱小チームのトールマンのマシンで雨の中激走を見せ2位表彰台。モナコでの活躍を機にトップチームのロータス入りを果たし、そこからトータル10年ちょっとのキャリアの間になんと6回もモナコGPの優勝を果たしたのだ。

特に1992年のF1モナコGPでレース終盤に展開されたアイルトン・セナ(当時マクラーレン・ホンダ)vsナイジェル・マンセル(当時ウィリアムズ・ルノー)のテールトゥノーズの優勝争いはF1史上最高の名勝負である。

1992年のモナコGP
1992年のモナコGP写真:渡辺正和/アフロスポーツ

フェルスタッペンはモナコで未勝利

セナの連勝を支えていたのはマクラーレンのエンジンサプライヤーだったホンダ

第2期F1活動(1980年代〜90年代)では6年連続でモナコGPの優勝を果たしたこともあったが、1992年が最後のモナコ優勝だ。1996年にオリビエ・パニス(当時リジェ・無限ホンダ)が完走7台のサバイバルレースを制して優勝した例があるが、これはホンダワークスではなく無限の時代である。ホンダとしてはF1を去る今年、ワールドチャンピオンの座と共に手に入れたいのがモナコGP優勝という結果だろう。

ホンダパワーユニット勢のエース、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がルイス・ハミルトン(メルセデス)と名勝負を繰り広げている今季、あのセナvsマンセルのようなビッグバトルを往年のファンも期待しているはずだ。

今季、一騎打ちを展開するフェルスタッペンとハミルトン
今季、一騎打ちを展開するフェルスタッペンとハミルトン写真:ロイター/アフロ

しかし、ハミルトンがモナコGPで3勝をマークしてすでにモナコ・マイスターであるのに対し、フェルスタッペンはモナコで一度も優勝経験が無い。それどころか、実はモナコGPで表彰台に上がったことすら無い。さらに予選でフロントロー(2番手以内)になったこともなく、データ上も印象の上でもフェルスタッペンはモナコであまり輝いたことがないのだ。

現役ドライバーでモナコ最多勝(3勝)のルイス・ハミルトンにとっても今年は是が非でもモナコで勝ちたいはずだ。すでに7度の王者を獲得している彼でも、かつてはチームメイトにモナコマイスター、ニコ・ロズベルグが居たためになかなかモナコで勝てなかったのだが、車両レギュレーションが大幅に変わる来年に催促マシンを手にできる保証はどこにもないので、ここで勝利し、アラン・プロスト(4勝/歴代4位)の記録に並びたいところだろう。

ハミルトン3勝、フェルスタッペン1勝、両者14点差で迎える第5戦モナコGPはシーズンの流れを決定づけるレースになるに違いない。

2019年のモナコGP表彰式 優勝はハミルトン
2019年のモナコGP表彰式 優勝はハミルトン写真:ロイター/アフロ

ノリスら若手の活躍にも期待

現役ドライバーでモナコ優勝の経験があるのは、ルイス・ハミルトン(3勝)、セバスチャン・ベッテル(2勝)、フェルナンド・アロンソ(2勝)、ダニエル・リカルド(1勝)、キミ・ライコネン(1勝)の5人である。

抜きどころが少なく予選の順位が重要なモナコではやはり今季の中心となっている「メルセデス」、「レッドブル・ホンダ」の4人がポールポジション争いをし、フロントローに並ぶ可能性が高い。しかし、もし予選でそこに伏兵が割って入れるなら、かなり面白い展開のモナコGPになるだろう。

ランド・ノリス
ランド・ノリス写真:ロイター/アフロ

今季、大活躍中のドライバーといえば、やはり何と言ってもランド・ノリス(マクラーレン・メルセデス)だ。毎戦スタートからアグレッシブな走りを見せ、第2戦エミリア・ロマーニャGP(イモラ)では3位表彰台を獲得し、「ドライバー・オブ・ザ・デイ」も獲得した。勢いに乗るノリスだが、モナコではF2時代に3位表彰台はあるものの、F1で走った2019年はノーポイントに終わっている。その時に比べれば明らかにアドバンテージがある今季のマクラーレン・メルセデスで上位に食い込めるかは要注目。

2018年モナコを制したダニエル・リカルド(当時レッドブル・タグホイヤー)
2018年モナコを制したダニエル・リカルド(当時レッドブル・タグホイヤー)写真:ロイター/アフロ

さらに同チームで忘れてはならないのが2018年のウイナー、ダニエル・リカルド(マクラーレン・メルセデス)。今季はまだ表彰台に立てておらず、ノリスの後塵を拝している状態だが、リカルドは2018年のポールトゥウインをはじめポールポジション2回、表彰台通算4回というモナコを得意とするドライバー。今回のモナコGPでマクラーレン・メルセデスは往年のモータースポーツファンにとって思い出深い水色とオレンジのガルフカラーで走ることになっており、マクラーレン・メルセデスから目が離せない。

また、ここまで3戦連続でポイントを獲得しているピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)もモナコは2018年、19年とシングルフィニッシュを果たしており、2019年(当時レッドブル・ホンダ)はファステストラップも記録。相性は非常に良いコースだ。

アルファタウリ・ホンダ
アルファタウリ・ホンダ写真:ロイター/アフロ

一方で3戦連続でノーポイントに終わっている角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)はモンテカルロ市街地コースをF3、F2時代にも未経験。初のモナコでどれだけのパフォーマンスを披露するか注目が集まる。

F1の年間シリーズ戦の中で最も重要な1戦となるモナコGP。2年ぶりのモナコで輝くのはどのドライバーだろうか?

モータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト

鈴鹿市出身。エキゾーストノートを聞いて育つ。鈴鹿サーキットを中心に実況、ピットリポートを担当するアナウンサー。「J SPORTS」「BS日テレ」などレース中継でも実況を務める。2018年は2輪と4輪両方の「ル・マン24時間レース」に携わった。また、取材を通じ、F1から底辺レース、2輪、カートに至るまで幅広く精通する。またライター、ジャーナリストとしてF1バルセロナテスト、イギリスGP、マレーシアGPなどF1、インディカー、F3マカオGPなど海外取材歴も多数。

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