【4輪モータースポーツ】2017年の10大ニュース(10位~6位)

大きな話題を呼んだフェルナンド・アロンソのインディ500参戦(5月)(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

2017年はあなたにとってどんな1年だっただろうか?今年もモータースポーツ界では様々なニュースがファンを楽しませてくれたり、落胆させたり、一喜一憂のシーズンだった。モータースポーツニュースの中から10個を選択するのは非常に困難だが、Yahoo!ニュースオーサーとして「2017年の10大ニュース」を選んでみたい。まずは「4輪モータースポーツの10大ニュース」10位から6位までを紹介。

10位:NAKAJIMA RACING 最後の鈴鹿1000kmウイナーに

8月26日(日)に鈴鹿サーキットで開催された「SUPER GT第6戦・インターナショナル鈴鹿1000kmレース」はメモリアルな大会になった。近年は「SUPER GT」の1戦だった伝統の「鈴鹿1000km」だが、鈴鹿サーキットは2018年から新しい耐久レースとして「鈴鹿10時間耐久レース(SUZUKA 10H)」を独自イベントとして開催することを発表。「SUPER GT」での鈴鹿1000kmが見納めということもあってか、決勝レース日だけで4万5000人の観客が詰めかけた。2016年は3万4000人だったので前年比約32%増の大入りとなった。

最後の鈴鹿1000kmレースのウイナーになったNAKAJIMA RACINGのEpson Modulo NSX-GT 【写真提供:MOBILITYLAND】
最後の鈴鹿1000kmレースのウイナーになったNAKAJIMA RACINGのEpson Modulo NSX-GT 【写真提供:MOBILITYLAND】

最後の鈴鹿1000kmで優勝を飾ったのは中嶋悟監督率いるNAKAJIMA RACINGの「#64 Epson Modulo NSX-GT」(松浦孝亮/ベルトラン・バゲット)。レクサスを中心にランキング上位勢がポイントに応じたハンデウェイトを積み重ねていたのに対し、64号車は比較的ウェイトが軽く有利な状況ではあったが、勝てるビッグチャンスを逃さず、NAKAJIMA RACINGにとって2007年以来10年ぶりとなるSUPER GTでの優勝を成し遂げた。

久しぶりの優勝というエモーショナルな部分もあったが、最後の「SUPER GT/

鈴鹿1000km」は約6時間もの間、ひっきりなしにビッグバトルが展開され、至る所で波乱が起きるドラマティック満載の展開となり、6時間があっという間に感じてしまう面白さがあった。2017年のベストレースと言っても過言ではない歴史に残る名レースでライバルを振り切っての優勝。表彰式ではファンがメーカーの垣根を超えてNAKAJIMA RACINGの優勝を祝福していたのも印象的だった。

選考理由まとめ

・鈴鹿1000kmレースの開催がラスト

・2018年からは「鈴鹿10時間耐久レース(SUZUKA10H)に

・NAKAJIMA RACINGにとって10年ぶりのGT500優勝

・観客動員数は前年比32%増

・1000kmレースの中で史上稀に見る激戦だった

9位:アロンソがインディ500に参戦

2017年、世界中のモータースポーツファンをビックリ仰天させたニュースと言えば現役F1ドライバーのフェルナンド・アロンソの「インディアナポリス500マイルレース(インディ500)」参戦だろう。佐藤琢磨のインディ500優勝もあってか、すっかり影が薄くなってしまった感があるが、発表があった4月12日の当時、度肝を抜くインパクトを持ったニュースだった。

インディ500に参戦したフェルナンド・アロンソ【写真:本田技研工業】
インディ500に参戦したフェルナンド・アロンソ【写真:本田技研工業】

アロンソは日程が重なるF1モナコGPを欠場(代役はジェンソン・バトン)し、「インディ500」にはホンダがエンジンを供給する「アンドレッティ・オートスポーツ」から参戦。カラーリングはかつてインディ500で優勝したマクラーレンがまとったオレンジを使用。このプロジェクトの首謀者はマクラーレンのエグゼクティブディレクターに就任したアメリカ人のザック・ブラウン。いろんな利害が一致し、偶然が重なって実現に至ったミラクルな参戦だった。

アロンソは予選で5番グリッドを獲得。彼にとってスーパースピードウェイのレースはもちろん初めてだったが、F1とは別次元の平均時速370km以上で走る「インディカー」にいきなり順応。決勝レースでも華麗なオーバーテイクを見せるなどトップ争いを展開し、ルーキーながら優勝も充分狙える走りを披露していたが、残り20周でアロンソのホンダエンジンが悲鳴をあげエンジンブローでリタイア。F1から続く負の連鎖は戦いのフィールドを変えても止められなかった。

結局、マクラーレンとホンダの関係は今季をもって終了。来年のマクラーレンF1はルノーのパワーユニットを使用する。アロンソはマクラーレン・ルノーからF1に参戦するが、他にはル・マン6月の「ル・マン24時間レース」にトヨタからの参戦が期待されている(トヨタLMP1マシンはテスト済み)。今年インディ500を戦ったチーム「アンドレッティ・オートスポーツ」は結局、ホンダエンジンを選択したため、来季はインディ500ではなく、アロンソはル・マン優勝に集中といったところだろうか。

選考理由まとめ

・4月にアロンソのインディ500電撃参戦が発表

・マクラーレンが参戦を支援し、伝統のカラーで走った

・アロンソは初めてながら上位争いを展開

・エンジントラブルでリタイア

・来年はル・マン参戦か?

8位:F1が大幅にスピードアップ、鈴鹿でも最速更新

新オーナーの「リバティメディア」によって改革が進むF1。人気回復に向けての第一歩は見た目の改善と迫力あるアグレッシブなマシンにすることだった。F1は今季からボディとタイヤを大型化。ウイングなどの空力パーツも大きくなり、ダウンフォースが大幅に上昇した。そして、タイヤ幅が広くなり、さらにグリップ力を増したタイヤに変更。F1マシンはコーナリング速度の向上により各GPサーキットで目に見えるスピードアップに成功した。

F1日本グランプリのスタートシーン【写真:MOBILITYLAND】
F1日本グランプリのスタートシーン【写真:MOBILITYLAND】

F1日本グランプリの開催地・鈴鹿サーキットでもF1のスピードアップは顕著で、S字区間のコーナリングスピードは昨年までは国内最高峰のスーパーフォーミュラの方がF1よりも部分的に速いと言われるくらいだったが、今期のF1は強烈にクイックな動きを見せ、ファンを魅了。走りに「F1らしさ」が帰ってきた。

ルイス・ハミルトン(メルセデス)が自身初となる鈴鹿でのポールポジションを獲得すると共に1分27秒319のタイムでコースレコード(歴代最速記録)を更新。予選でのコースレコードタイム更新は2006年のミハエル・シューマッハの記録(1分28秒954)以来11年ぶり。決勝レースのレコードタイムはレース中の給油が許されていた時代の2005年以来更新されていないが、大幅にスピードアップしたF1でもハミルトンは最速を証明した。

ハミルトンは決勝でトラブルを抱えながらもマックス・フェルスタッペン(レッドブル)を振り切って日本グランプリで優勝。後に自身4度目のワールドチャンピオンの称号を手にした。

選考理由まとめ

・F1は5秒のスピードアップを目指し、大幅な規定変更を実施

・見た目もスピードもF1らしさを取り戻した

・ルイス・ハミルトンが11年ぶりに鈴鹿最速記録を更新

7位:小林可夢偉がル・マンでポールポジション獲得

トヨタにとって悲願の優勝が期待された2017年のFIA世界耐久選手権(WEC)「ル・マン24時間レース」。その公式予選で小林可夢偉(Toyota Gazoo Racing)が世界中のレースファンを魅了する素晴らしい走りを見せた。

ル・マンでポールポジションを獲得したToyota Gazoo racingの7号車
ル・マンでポールポジションを獲得したToyota Gazoo racingの7号車

最高峰LMP1クラス参戦2年目となる小林可夢偉は今季トヨタ7号車をドライブ。その速さでエース格に昇格し、開幕2戦でも同じトヨタの8号車を上回るスピードを見せていた。4つの異なるカテゴリーが一斉に走るル・マンの予選ではコース上でクリアラップを取るのが非常に難しい。そんな中、予選が赤旗中断から再開後、小林可夢偉はまさに飛ぶような勢いのアタックを敢行。2015年にポルシェのニール・ジャニが記録した3分16秒887のレコードタイムを大幅に更新する3分14秒791をマークしてコースレコードタイムを樹立。中嶋一貴に続く日本人2人目のポールポジションを獲得した。

2016年、優勝まで残りあと少しのところでル・マン優勝を逃した雪辱を晴らすべく3台体制で挑んだトヨタだったが、好天と熱波のヨーロッパでトヨタ、ポルシェ共に究極のハイブリッドマシンに相次いでトラブルが発生。一時格下のLMP2マシンに首位を奪われるサバイバル戦となるも、修復の後に走行を続けたポルシェ2号車が逆転して優勝。ポルシェは19回目のル・マン総合優勝を成し遂げ、最多優勝記録を更新することになった。

ポルシェはル・マンから1ヶ月後にLMP1からの撤退を発表。マニュファクチャラー(自動車メーカー)のライバル不在の状態で、トヨタは来年もル・マン24時間レースに挑戦することになる。ル・マン総合優勝の役者としてワールドチャンピオン、フェルナンド・アロンソが登場することになるのだろうか。

選考理由まとめ

・2017年はトヨタがLMP1で開幕2連勝

・小林可夢偉が驚異的な走りでポールポジションを奪取

・トヨタはトラブルに泣き、またも優勝ならず

・来季のレギュレーション次第ではしばらくレコードタイムの更新は無理か

6位:レクサス、史上最年少コンビでGT500王座奪還

2017年、速さが光ったレクサスLC500。写真は#37 Keeper Tom's LC500 【写真:MOBILITYLAND】
2017年、速さが光ったレクサスLC500。写真は#37 Keeper Tom's LC500 【写真:MOBILITYLAND】

人気絶頂の「SUPER GT」はまさにレクサスイヤーだった。今季からGT500クラスの車両規定が変更されるのに合わせ、レクサスは空力面でも有利なベース車となる「LC500」を選択。先代モデルで苦しんだ部分を全て見直し、供給チームとの共闘体制を築き上げた。

ウインターテストから驚異的なペースを見せていたレクサスLC500は開幕戦・岡山で上位を独占。ポールを奪ったホンダNSXの連鎖トラブルもあり、決勝レースでは上位6台がレクサス陣営で占められるという、これまでにない素晴らしい滑り出しを見せた。

レギュレーションがコーナリングスピードを抑制する方向に振られてもどんどん速くなるGT500において、徐々にベテランの経験則よりもフォーミュラカーレースで速さを見せつける若手スプリンターたちの走りが求められる時代になってきた。まさにそんなGT500の変化を象徴したと言えるのが今季、GT500王者に輝いた「#37 Keeper Tom’s LC500」をドライブした平川亮/ニック・キャシディの23歳コンビだ。スーパーフォーミュラの優勝こそないものの、全日本F3選手権では共にチャンピオンを獲得してプロへの道を駆け上がった若き2人。開幕戦・岡山で優勝した勢いに乗り、終盤戦のタイ・チャンインターナショナルサーキットで今季2勝目を飾り、ランキング首位を奪還。他のレクサス車も高ポテンシャルを備える中で勝負すべき時に攻めの走りで結果を勝ち取ってきた。

2017年のGT500王者に輝いたKeeper Tom's LC500のニック・キャシディと平川亮【写真:MOBILITYLAND】
2017年のGT500王者に輝いたKeeper Tom's LC500のニック・キャシディと平川亮【写真:MOBILITYLAND】

GT500がDTM(ドイツツーリングカー選手権)と共通パーツ、2000cc直4ターボの規定になってから20代のドライバーが王者に輝くのは初めてのことで、圧倒的に30代のドライバーが王座に就くことが多いGT500において23歳の歴代史上最年少コンビによるチャンピオンはSUPER GTの新たな時代の幕開けを予感する。

選考理由まとめ

・規定変更で、開幕戦からレクサスLC500が絶好調

・平川、キャシディはともに23歳の最年少GT500王者に

・20代のドライバーのGT500王者獲得は久しぶり

次回の記事では5位から1位を紹介します。