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【鈴鹿8耐】2016年の鈴鹿8耐は選ばれし70台の戦いに。〜8耐トライアウト〜

辻野ヒロシモータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト
鈴鹿8耐のスタート(2015年)【写真:MOBILITYLAND】

「F1」「MotoGP」などの世界選手権レースが開幕を迎え、本格的なモータースポーツシーズンの到来を告げている。そんな中、日本で観れる世界選手権レースの一つ「鈴鹿8時間耐久ロードレース(鈴鹿8耐)」(7月31日決勝)へ向けた動きも活発になってきている。昨年は70台のグリッドに対して84台がエントリーし、14台が予選落ちするという活況ぶりを見せ、キアヌ・リーブスのゲスト出演やMotoGPライダーの出場もあって世界的な注目を浴びた「鈴鹿8耐」だが、今年の大会(第39回大会)は世界的耐久レースとしてのさらなるレベルアップが図られる。

キアヌ・リーブスも来場した鈴鹿8耐【写真:MOBILITYLAND】
キアヌ・リーブスも来場した鈴鹿8耐【写真:MOBILITYLAND】

エントリー資格を得るのは70台

「鈴鹿8耐」はFIM(国際モーターサイクリズム連盟)が管轄する世界選手権ロードレースの一つ「FIM世界耐久選手権」の1戦として開催されている。だが、実際にはシリーズ唯一のフライアウェイ戦となるため、エントリーするチームの多くは日本を拠点に「全日本ロードレース選手権」などを戦う国内チームだ。

鈴鹿8耐伝統のルマン式スタート。70台が一斉にスタートを切る。
鈴鹿8耐伝統のルマン式スタート。70台が一斉にスタートを切る。

リーマンショック後は出場台数が激減し、70台の決勝レース出場枠を割り込んでいたが、2014年あたりからエントリーが再び増加傾向に。しかしながら、今年はFIMが世界耐久選手権の最大エントリー台数を70台と規定したために、「鈴鹿8耐」への出場枠をかけた選抜「8耐トライアウト」が行われることになった。

4月24日(日)決勝の「全日本ロードレースJSB1000・鈴鹿200km」と5月8日(日)決勝の「鈴鹿サンデーロードレースJSB1000」をトライアウトの選抜レースとして位置付け、新規参戦チームや昨年の大会で下位に沈んだチームは今年の出場枠をかけて、これらのレースに出場して一定の成績を残さなければならない。

また、近年は一時期レース活動を休止していたが、再び趣味としてレース参戦を再開したアマチュアライダーたちが数多く参戦を希望しているが、今年はライダーにも参加資格が設けられることになり、全日本ロードレースや鈴鹿サンデーロードレースなどに出場し、条件を満たしておく必要がある。年に1度、「鈴鹿8耐」だけに出場するプライベート参戦のライダーはこれまでも数多く居たが、トレーニングとしてレースに参戦して条件をクリアしておかなくてはならない。

すでに出場枠を得ているチーム

人気のエヴァンゲリオンレーシングは予選8位のため既に出場権を獲得済みだ。
人気のエヴァンゲリオンレーシングは予選8位のため既に出場権を獲得済みだ。

「8耐トライアウト」は主にプライベートチームを対象にした選抜方法となり、優勝あるいは表彰台の一角を狙うトップチームは既に今年の出場枠を獲得している。

具体的には昨年の大会で予選上位10台(トップ10トライアル進出)と上位20位以内のチーム(FIM世界耐久年間出場のEWCチームは除く)、合計22台で、決勝結果でいうと26位完走の「#69山科カワサキ&ビジネスラリアート」までに出場資格がある。そして、ほとんどのチームが今年もエントリーする意思を示しているそうだ。

逆に出場資格をまだ得られていないチームには、ホンダ系社内クラブチーム「ホンダブルーヘルメットMSC熊本」、ヤマハ系社内チーム「磐田レーシングファミリー」、スズキ系社内チーム「浜松チームタイタン」など鈴鹿8耐の常連チームも含まれている。プライベーターたちにとっては4月のレースから鈴鹿8耐に向けて本格的な準備に取り掛からなくてはいけない。

8耐トライアウトの選抜方法

選抜レースとして実施されるレースは2つ

(1) 4/24決勝「全日本JSB1000・鈴鹿200km」(鈴鹿2&4)

→参加資格未取得の上位10チームが参加資格獲得

(2) 5/8決勝「鈴鹿サンデー・インターJSB1000」

→参加資格未取得の上位7チーム〜27チームが参加資格獲得

サンデーロードレースでのトライアウト枠はFIM世界耐久選手権の年間エントリーチームが鈴鹿8耐に何チームが出場するかで変動することになる。また、これに加えて11台が「主催者推薦」として選抜される。推薦の基準は分からないが、新規参戦チームは少なくともトライアウトには参加しないといけないということだろう。

また、選抜レースで出場権を得たチームは選抜レースで起用したライダーを「鈴鹿8耐」本番で起用しなくてはならない。そのため、選抜通過のために他チームのトップライダーを連れてくることは実質的に不可能なため、軸になるライダーを決めておかないといけない。そういう意味でも、プライベーターにとっては「出場権」を得るための戦いが既に始まっている。

写真家・加納典明も参画したチーム。参戦するならトライアウト通過が必要となる。
写真家・加納典明も参画したチーム。参戦するならトライアウト通過が必要となる。

そして、気になる今年の「鈴鹿8耐」トップチームの動向だが、まだ具体的なチーム体制は明らかになっていないが、鈴鹿サーキットは3月25日(金)に「東京モーターサイクルショー」(東京ビッグサイト)で鈴鹿8耐に関する記者発表を行うことになっており、主要チームの体制の一部は明らかになるだろう。昨年はこの席でケーシー・ストーナーの参戦が電撃的に発表された。今年も大物ライダーの参戦が噂されている。

モータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト

鈴鹿市出身。エキゾーストノートを聞いて育つ。鈴鹿サーキットを中心に実況、ピットリポートを担当するアナウンサー。「J SPORTS」「BS日テレ」などレース中継でも実況を務める。2018年は2輪と4輪両方の「ル・マン24時間レース」に携わった。また、取材を通じ、F1から底辺レース、2輪、カートに至るまで幅広く精通する。またライター、ジャーナリストとしてF1バルセロナテスト、イギリスGP、マレーシアGPなどF1、インディカー、F3マカオGPなど海外取材歴も多数。

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