5月19日、皇后雅子さまが名誉総裁を務める日本赤十字社の全国大会に出席された。

 2018年の同大会の折、参加した関係者の前で当時の名誉総裁であった美智子さまから「次の世代は雅子さまです」とバトンを受け取ったように見受けられただけに、新型コロナ感染症が落ち着きを見せているとはいえ、いまだ収束をみていない今の時期にあえて出席されたのは、並々ならぬご決意の表れだったのだろう。

 雅子さまの大会でのご様子も、発表する人びとのスピーチに何度も頷いたり、青少年赤十字卒業生奉仕団の大学生らと和やかにお話しされたり、マスク越しながらにこやかに微笑みを絶やさず、責任あるお務めを真摯にまっとうされようという、強いご意志が伝わってきた。

 壇上には、真ん中に雅子さまが座り、左側には名誉副総裁の秋篠宮妃紀子さま、寬仁親王妃信子さま、高円宮妃久子さまの女性皇族方3人が座られていた。

 このお姿から女性皇族方の凛とした頼もしさが伝わってきた。筆者は同じ女性として、何か心がすっきりとする、晴れ晴れとした気持ちを味わった。特に中央に雅子さまがおられるというところが、どっしりとした重石のように、とても強い存在感を醸し出していたように思う。

 昨今、ジェンダー差別の問題が報じられているが、日本赤十字社の名誉総裁職は、戦後、代々の皇后陛下が受け継ぐことによって、博愛と献身の精神を広めていった。改めて女性皇族は、日本の母性の象徴なのかもしれないと感じたのである。

■社会福祉活動に取り組む女性皇族の方々

 現在、女性皇族の方々は、さまざまな社会福祉活動に積極的に携わっていらっしゃる。

 雅子さまは、前述の日本赤十字社の名誉総裁として、献身的に取り組んでおられる。皇太子妃時代、平成11年のお誕生日に際しての記者会見では、

「特に難しい境遇に置かれている人々や、さまざまな困難に直面している子供たちには、常に心を寄せていきたいと思っております」

と、答えられた。

 そのお言葉のとおり、地方を訪れた際には、スケジュールが許す限り、子供たちの施設や小児病棟などを訪れ、励ましの言葉を掛けられている。

 新型コロナ感染症が蔓延した2020年11月には、東京の日赤医療センターと北海道、福島、沖縄の4つの病院をオンラインで繋ぎ、不眠不休でコロナの診療を行っている病院関係者の声に耳を傾けられたという。

 その年のお誕生日に際してのご感想では、医療従事者に対して心づくしのお言葉を綴られた。

「医療関係者の皆さんの置かれた環境やご苦労、お年寄りや障害を持った方々をめぐる状況、社会的孤立を深めやすい生活困窮世帯への影響や、そうした世帯の子供たちへの学習支援活動、感染対策と学習との両立に取り組む学校現場の状況など、現場に従事し、取組を進める方々から直接現状を伺うことができました。(中略)同時に、現在のこの状況の中で自分たちに何ができるかを考え、行動しようとする、若い人たちも含む多くの方の新しい試みや取組を目にするとき、勇気付けられ、心温まるとともに、人と人との絆の大切さを強く感じます。困難な状況に直面する人々を支え、力を尽くしている全ての方に深い敬意と感謝の意を表したいと思います」

 秋篠宮妃紀子さまは、現在、「公益財団法人結核予防会」「社会福祉法人 恩賜財団母子愛育会」の総裁職に就かれ、コロナ禍における感染予防の啓蒙や、母子保健・福祉の課題解決に取り組んでいる。

 また、紀子さまと言えば、学生時代から手話を習得され、聴覚障がい者へ心を寄せてこられた。

 毎年、鳥取県で行われる「全国高校生手話パフォーマンス甲子園」は、開催当初から携わり、その大会へのご出席は秋篠宮家の次女・佳子さまに受け継がれている。

 そんな紀子さまの取り組みに共感されたのであろう。去年5月、佳子さまは「一般財団法人全日本ろうあ連盟」の非常勤嘱託職員となられ、紀子さま同様に聴覚障がい者への支援を行っている。

■“名誉”だけではない“実態”のある多忙な役職

 寬仁親王の妃・信子さまは、「公益社団法人東京慈恵会総裁」「公益財団法人日本ばら会名誉総裁」「一般社団法人日本童謡学会名誉総裁」「公益社団法人全国ビルメンテナンス協会名誉総裁」「国際柔道連盟アンバサダー」など、福祉活動以外にも文化やスポーツ振興に関わっていらっしゃる。

 ユニークなところでは、「一般社団法人女性の健康とメノポーズ協会」の名誉総裁に就任し、更年期のさまざまな悩みに答える電話相談を直接受けられているとか。

 東京オリンピックの招致プレゼンテーションにおいて、大きな役割を果たされた高円宮妃久子さまは、スポーツ関連を中心に幅広く活動されている。

 故高円宮殿下の志を継いで「日本サッカー協会」の名誉総裁に就き、サッカーの発展に尽力されている。

 他にも「日本水難救済会」「国際弓道連盟」の名誉総裁をはじめ、環境保護と野生の鳥類保護を目的とした「バードライフ・インターナショナル」「高円宮記念日韓交流基金」などの名誉総裁も務め、多忙な日々を送られているのだ。

 このように女性皇族の方々は、社会福祉に資する各種団体の名誉職に就かれている。

 その一つひとつを見つめていくと、決して“お飾り”といった名前だけのものではなく、それぞれのお立場で、かなり深く関わっていることが理解できる。

 それこそが皇室の女性に代々受け継がれてきた、「世の善なるものへの献身」と、そこから生じる強い使命感によるものなのだろう。

 日本赤十字社設立の端緒を作った明治天皇の妃・昭憲皇太后は、生前、このような御歌を詠まれている。

「みがかずば 玉の光はいでざらむ 人のこころも かくこそあるらし」

 磨かなければ玉は光らず。人の心も(善き行いで)磨いていきたいものだ。

 今もこの精神が、女性皇族方のお心に秘められているのではないだろうか。