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愛子さまと同世代のプリンセスは欧州の未来を担う女王候補 共通点と相違点は?

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
日本のプリンセス 愛子さま(写真:ロイター/アフロ)

 今日18日、皇室における新年恒例の「歌会始の儀」が、皇居宮殿「松の間」で行われた。愛子さまは新年祝賀の儀にはローブデコルテ姿で参列したが、今回は学業を優先し欠席された。

 しかし、初めての歌会始の儀とあって、天皇皇后両陛下とともにお歌を出された。「窓」をお題に作られた愛子さまのお歌は、高校時代、英国に短期留学されていた頃の思い出を詠まれたものだという。

 実は現在、ヨーロッパの王室には、将来の女王となることがほぼ決まっているプリンセスたちがひしめき、その中には愛子さまと同世代の女性たちも。将来、ヨーロッパの王国のほとんどが、女王を擁する国となるというのだ。

■愛子さまと同世代のプリンセス

 ベルギーのフィリップ国王・マチルド王妃の長女であるエリザベート王女は、愛子さまと同じ20歳。ヨーロッパ王室きっての才媛と言われ、聡明である上にスキーやテニスなどのスポーツも万能である。

 彼女は世界の王室メンバーの子弟たちが通うことで有名な、イギリス・ウェールズの全寮制高校UWCアトランティックカレッジを卒業。去年10月からオックスフォード大学に入学し、歴史と政治を勉強中だ。

ベルギー エリザベート王女
ベルギー エリザベート王女写真:ロイター/アフロ

 オランダのアレクサンダー国王・マキシマ王妃の長女であるアマリア王女(18歳)は、2006年に天皇ご一家がオランダで静養された際、愛子さまと手を繋ぎ、無邪気に手を振っていたあの可愛らしい女の子だ。

 オランダでは18歳を成人としており、その年齢に達した昨年から王室の一員として公務をスタート。同時に王室手当として年間約2億円が支給されることになっていたのだが、アマリア王女は「コロナ禍で他の学生が大変な思いをしている時に、受け取ることに違和感を覚えます」と、全額辞退を申し出たのである。

 愛子さまがコロナ禍で苦しむ国民に思いを寄せられ、高価なティアラを作るのは時期尚早と判断されたことに相通じる。これは筆者の想像だが、幼い頃に出会ってから手紙やメールで交流を続け、女性皇族・王族としてのあり方についても意見を交わされていたのかもしれない。

オランダ アマリア王女
オランダ アマリア王女写真:REX/アフロ

 スペインのレオノール王女(16歳)は、フェリペ国王・レティシア王妃の長女。

 前述のエリザベート王女も通ったUWCアトランティックカレッジに入学し、現在、日々勉学に励んでいる。語学の才能を発揮し、母国語のスペイン語、英語、フランス語、中国語などを話すことができるとか。

スペイン レオノール王女
スペイン レオノール王女写真:REX/アフロ

■次々世代に女王となるプリンセス

 ノルウェーの次期国王となるホーコン・マグヌス王太子とメッテ・マリット王太子妃の間に生まれたプリンセス、イングリッド・アレクサンドラ王女(17歳)は、将来ノルウェー女王になるものと見られている。そうなると約600年ぶりの女王誕生となるという。

ノルウェー アレクサンドラ王女
ノルウェー アレクサンドラ王女写真:Splash/アフロ

 そのお隣のスウェーデンでは、王位継承第1位のプリンセス、ヴィクトリア王女(44歳)が次世代の女王となることが決まっているが、スウェーデンは長子継承が原則のため、ヴィクトリア王女の長女・エステル王女(9歳)が母の次に女王となる見込みだ。つまり、2世代連続して女王が王位につくということなる。

スウェーデン ヴィクトリア王女とエステル王女
スウェーデン ヴィクトリア王女とエステル王女写真:REX/アフロ

 紹介した5人のプリンセスたちが、同時代に即位することになれば、まさにヨーロッパは5人の女王を擁する女王時代に突入するというわけだ。

■愛子さまとの共通点と相違点

 愛子さまと同世代のプリンセスたちは、誰もが若く健康的で、そして美しく輝いている。国民に心を寄せる点も共通しており、将来、国際交流の場で語り合う機会も増えていくことだろう。

 年下のプリンセスたちもやがて成人し、国際的な公務の舞台で活躍するようになれば、自然と愛子さまと出会い、親しい姉妹のような関係が築かれるかもしれない。 

 しかし、大きく違う点がある。紹介したプリンセスたちは、いずれも将来女王となっていくと見られているが、愛子さまには皇位継承権が無いという点だ。

 日本では岸田首相のもと、安定的な皇位継承策などを議論する有識者会議が行われ、男系男子継承の堅持は揺るぎないものとされた。

 しかし、ヨーロッパの王室が今後女王の時代を迎えれば、愛子さまもおおいに活躍されるに違いないが、そのお立場は彼女たちとは決して同列とはならないのだ。

 かと言って女性天皇・女系天皇を認めるべきだというのでは無い。せっかく同世代、あるいは少し年下の女王が次々に誕生するのだから、公の場でもっとフランクに接することができないのはもったいない。

 そこで考えてみた。ヨーロッパでは将来女王となる同世代のプリンセスたちと、愛子さまが堂々と友好関係を深めてもらうためにも、皇位継承権は無いが、皇太子や皇嗣に次ぐ新たな地位、例えば「皇太内親王」や「皇王女」などという名称で呼ばれる地位を作ったらいかがだろうか。

 もちろん賛否両論あるとは思うが、次世代のヨーロッパに女王が増えることを想像してみると、あながち無謀な論では無いような気がするのだ。

 いつの日か、愛子さまと女王となるヨーロッパの若きプリンセスたちが、家族のように仲良くなって、明るい未来が開かれることを願ってやまない。

「皇室ご一家が激励してきた「もう一つのオリンピック」とは? 深いつながりを解説」https://news.yahoo.co.jp/byline/tsugenoriko/20220120-00277716

「歌会始の儀 愛子さまの初々しいデビュー作と、意味深な佳子さまのお歌」

https://news.yahoo.co.jp/byline/tsugenoriko/20220119-00277992

放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、現在テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)がある。

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