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もうすぐ20歳の愛子さまの実像は? 関心事には両陛下からの意外な影響も

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
雅子さまと愛子さま(写真:ロイター/アフロ)

 いよいよ師走を迎えると同時に、20歳になられる愛子さま。成年に伴う主要な行事は、学業に支障のない12月5日の日曜日に行われることが発表された。

 頭上には、叔母様の黒田清子さんから借り受けた天皇家の内親王というお立場に相応しいティアラが輝き、ドレスで正装された愛子さまの姿を見たいと、今から多くの国民が楽しみにしていることだろう。

 お生まれになった時からずっと、日本中の人びとが愛子さまのご成長を見守ってきた。これまでのエピソードから、実像の一端に迫ってみようと思う。

■愛子さまが関心を寄せているものとは?

 現在、愛子さまは学習院大学の2年生として、日々、勉強に励まれている。英語が堪能で国際関係の学部に進まれるのではないかと言われていたが、選ばれたのは文学部の日本語日本文学科だった。皇室の伝統を受け継ぐ愛子さまにとって、ごく自然にご興味を抱かれた分野であったのだろう。

 日本という国の歴史に育まれた文化の、その豊かさを知ることは、愛子さまが過ごされてきた皇室を知ることに繋がる。実は大学の学部の選択は、すでに高校時代に芽生えていたように思う。

 というのも、前回の愛子さま関連の記事でも触れたが、学習院女子高等科の卒業に際し、書かれたレポートのタイトルは「平安時代の猫と犬ー文学作品を通してー」だった。いわば「源氏物語」や「枕草子」など平安時代に書かれた古典文学から、ペットとして飼われてきた猫や犬と、人との関係性をまとめた大作だという。

 このレポートを執筆するに当たり、愛子さまは古典文学の雅な世界に魅せられていったのではないだろうか。

■父・天皇陛下から受け継がれたもの

 また、お父様である天皇陛下の影響もあったと拝察される。

 陛下は学習院大学の史学科で学び、平成4年からは学習院大学資料館の客員研究員として、日本中世史の研究を続けられてきた。そうしたお父様の歴史への探求心を、愛子さまも受け継がれたのかもしれない。

 陛下は愛子さまが成長される中で、日本に古くから伝わる遊びに親しむように努めていらっしゃった。以前、記者会見の席で、そのことにも触れられていた。

「昨年の暮れから今年の正月にかけては、お餅つきや凧揚げ、独楽回し、羽根突き、カルタ、そして雅子がしている書き初めのわきで、遊びで習字なども一緒にいたしましたが、これは、私たちが愛子に日本の古くからの習慣や文化にも触れてほしいと思ったからです。私自身、幼少のころから両陛下の下で百人一首に親しんでいましたし、雅子も外国生活が長い中で、両親が日本文化を忘れないようにと正月にはよく百人一首をしたといいます。愛子には七五調の使われている童謡などを通して自然にこのリズムが身に付き、簡単な七五調の言葉遊びが楽しめるようにと思っています」(平成17年、天皇陛下お誕生日に際しての記者会見)

■和を大切にする心、原点は雅子さまにあり

 天皇陛下も話されているように、実は雅子さまの存在も大きいようだ。

 雅子さまは父親が外交官だったため、幼い頃から海外で暮らすことが多かった。このままでは日本人としてのアイデンティティを失ってしまうのではと心配したご両親から、日本の文化に触れて理解するように育てられたという。

 雅子さまの母・小和田優美子さんは、「海外に出た時に日本のことを知らないと、根無し草になってしまう」と考えていたと聞く。

 異国で生活している間も、雅子さまに日本の書道や礼儀作法などを教え、それを身に付けてこそ国際人になることができるという信念の持ち主であった。

 雅子さまはアメリカ・ハーバード大学の学生だった頃、自ら日本文化クラブを設立し、イベントでは日本の歌『さくらさくら』をピアノ演奏したり、海苔巻きやお茶を振る舞うなど、日本文化を他の学生たちに紹介する活動を行っていらっしゃった。

 当時、ハーバード大学で客員教授を務めていた書家の小川東洲さんは、当時から雅子さまは「和」を大切にされていたと語っている。

 日本の美意識や伝統文化を知ることこそが、日本人としての大切な心得であるという教えを、幼い頃から雅子さまは胸に秘め、愛子さまの子育てにも生かしてこられたのだろう。

 幼い頃から愛子さまは、雅子さまから書道の手ほどきを受けてこられた。宮内庁職員組合文化祭に、愛子さまは書の作品を出されたこともあり、その筆遣いはおおらかで力強いと評判だ。

 日本の古典文学を通して、伝統文化をこれからも深く追求されていくはずだ。

 ちなみに来年年明けの「歌会始の儀」で、成年皇族となられた愛子さまは、お歌のデビューをされることだろう。どんなお歌を披露されるのか、今から楽しみである。

「愛子さま、20歳を迎えると初公務へ ご負担はどうなるか」https://news.yahoo.co.jp/byline/tsugenoriko/20211122-00268510

「愛子さまとオランダ王女、15年続く静かな交流とは?お立場を巡る行動で共通点も」

https://news.yahoo.co.jp/byline/tsugenoriko/20211124-00268669

放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、現在テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)がある。

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