MLBが独立リーグとの提携で進める「ロボ審判」「一塁盗塁」らは歴史の必然

「ロボ審判」はMLBロブ・マンフレッド・コミッショナーの肝いり施策でもある(写真:REX/アフロ)

米独立リーグのアトランティック・リーグは、MLBとの提携で数々の新ルールの試みを実施しているが、7月10日の同リーグ球宴で実施した「ロボット判定」を7月25日以降公式戦でも順次導入して行くと発表した。賛否両論あるが、野球は常に変化し続けるものであり、歴史の必然だろう。

ロボット審判

一般的には「ロボット審判」(アメリカではAutomated Ball Strike System 略称ABS)と報じられることが多いが、正しくはコンピュータシステムによる審判の判定補助システムである。主審はあくまで本来の位置に構え、かつABSの判定結果を覆す権限も持っている。これは、現時点ではワンバウンドした後にストライクゾーンを通過した投球もABSは「ストライク」と見なしてしまうし、ABSはチェックスイング(日本で言うハーフスィング)の判定もできないためだ。

しかし、逆に言えばそれらの問題は今後テクノロジーの進歩で解消されるはずで、いつになるかは別にしてストライクorボールの判定以外の本塁周辺でのジャッジメントもいずれ「ロボ化」される方向にあると考えるのが自然だろう。

歴史の必然

これは、ある意味では2008年にホームラン判定にビデオリプレイを導入した時からの正統進化と言えなくもない。ぼく個人は判定は全て審判の目視のみで下され、「誤審も野球の一部」と解釈したい方なのだが、判定の精度向上に一旦テクノロジーを導入したからには、これは避けられないものだと解釈している。

制球力に優れる投手が、主審との駆け引きで微妙なコースをその日のストライクゾーンとして獲得していくという神話や、ファインプレーを伴うクロスプレーは野手に敬意を表しアウトとする書かれざるルールとは決別することをわれわれはすでに選択しているのだ。

「そんなの野球じゃないよ」、と嘆く声への共感もなくはないが、われわれファンが見届けてきたのは(かなり長いと自負しているぼくの場合でも)せいぜい50年でしかないが、野球の歴史はその数倍だ。

野球はルールにせよ、プレー様式にせよ常に変化し続けている。ぼくが野球を見始めた頃はDH制度など存在しなかったし、投手は完投するのが当たり前だった。それどころか、19世紀ではファウルがストライクにカウントされない時期や四球ではなく、「五球」やそれ以上ではじめて一塁に歩ける時期もあった。

さらに大げさに言えば、人類が誕生した時からStick and ball gameは存在しており、それが気の遠くなるような年月を経て今日の野球の姿になった。そう考えれば「ロボット判定」も時代の必然のように思えてくる。

他にもある新しい試み

実は、アトランティック・リーグでMLBとの提携の一環で実施されている試みは他にも数多くある。すでに日本のメディアでもセンセーショナルに報じられている一塁への盗塁や、バント失敗(ファウル)でのツーストライクカウント、牽制球の際は投手は必ず足をプレートから離すことの義務付け、チェックスィング判定の緩和(より打者有利に)などだ。

来季からはバッテリー間の距離を伸ばすことも計画されている。これは、攻守のパワーバランスに革命的な変化をもたらすかもしれない。

ぼくは来月アメリカに渡り、アトランティック・リーグでの数々の試みを取材する予定だ。実際やってみてどうなのか?選手や審判はどう感じているのか?また、それらは運営側にビジネス上のメリットをもたらすのか?そのあたりを改めて紹介したいと思っている。