侍ジャパンのブランド、犠打偏重、チアリーダー、台湾の三冠王、アジア選手権雑感

(ペイレスイメージズ/アフロ)

東京ドームを出ると寒さが身にしみた。もう、季節は冬に移り変わろうとしているし、それは野球シーズンの終わりでもあった。台湾やカリブ海諸国のウィンターリーグや南半球のABLを見に行かない限り、2017年のベースボールはもう終わりなのだ。

今回、アジアプロ野球チャンピオンシップシリーズを3試合(金曜日の台湾対韓国戦は仕事の関係であきらめざるを得なかった)も見に行ったのも、国際試合が好きだということもあるが、去りゆく野球シーズンを惜しむ気持ちがあってのことだろう。ぼくなりのこのシリーズの感想を記してみたい。

当然とは言え、全力プレーに◯

このシリーズはWBSC公認でランキング作成の対象となるのだけれど、所詮レギュラーシーズンではない。それでも、選手たちは全力でハッスルプレーを見せてくれた。プロなんだから当たり前とも言えるが、10年ちょっと前の日米野球では相手がメジャーリーガーでありながら、多くのNPBプレーヤーが出場すら回避していたこと、以前のアジアシリーズが日本シリーズを制した球団への「罰ゲーム」とすら見なされていたことからすると、短期間での選手のマインド変化に感動すら覚えた。やはりこれは、(若手による編成だということもあるが)、「侍ジャパン」のブランド価値が、ファンのみならず選手の間にも浸透して来た証だろう。ただし、ハッスルプレーは良いが、一塁にヘッスラする文化とはいい加減決別して欲しい。

早い回から送りバントの稲葉采配には疑問

稲葉新監督の采配に関して。ガチンコ勝負ぶりには敬意を払いたいが、この時期に若い投手にガンガン100球前後投げさせるのには、見ていてハラハラさせられた。まあ、タマ数と投手の健康管理には明快な因果関係は立証されていないのだけれど、早い回から送りバントを敢行するのは見ていて残念だった。「国際試合=大一番」では手堅く送りバント、これは当然のことと思いがちだが、台湾や韓国に対する日本の地力のアドバンテージは明白だった。1点を争う試合にはなりそうもないのに、早いイニングから1点を狙いに行くのは感心しない。野球は9回終了時点での得点を競い合うスポーツだ。早い回から犠打、これは明らかに統計学的に不利な戦法で、セイバー的アプローチが常識になりつつある中でこんな戦法を信奉していては世界のトレンドから取り残されてしまうのではと心配になる。稲葉監督は、取り敢えず「やってます感」を醸し出したかったのか。

違和感のあるチアリーダー

美しいチアリーダーのダンスと大音量のマイクパフォーマンスは韓国、台湾の野球を象徴する応援スタイルでそれ自体を楽しみにしているファンも多い。しかし、形勢に関係なく終始歌って踊るのは、NPBの外野席応援団が「絶対勝つぞ、○○ズ」とがなりたてるのと同じくらい野球の本質を理解していない行為だと思う。また、日本まで、韓国・台湾を模した自軍の攻撃中の内野スタンド内でのチアリーダーダンスをする必要があるのかなと思う。外野席の応援歌に合わせ内野のチアリーダーが踊るのは「いつの間に息を合わせる練習したんや?」と不気味な印象すら受けた。

王柏融は早く国外移籍した方が良い

国際試合の楽しみは、外国の一流選手のプレーに触れることだ。今回で言うと、その筆頭は台湾の三冠王である王柏融だろう。抜群の潜在力を有することは間違いないが、驚異的な成績の要因に台湾球界のレベルの低さがあることもまちがいない。まだ24歳と若い。井の中の蛙になってしまう前に日本やアメリカで揉まれた方が良いと思う。ぼくはどうしてもメジャーで通用するかどうかという視点で見てしまうのだけれど、その点ではテークバックが大きく右足を比較的高く上げるなど、動きの多いフォームが気になった。ただし、体全体の前後上下の動きが多い割に頭の位置のブレが極めて少ない点には感銘を受けた。狭いスタンスから大きく踏み出すなど、同様に動きの多いフォームの山川は頭の位置も前後上下の移動が大きいのとは対象的だった。

とにかくこれでぼくにとっての今年の野球は終わった。冬の間は戦前の三冠王(しかも2度)ロジャース・ホーンスビーではないが「窓の外をじっと見つめ春を待つ」日々が始まるのだ。