「SFジャイアンツ 青木の来季契約を破棄」からの教訓

(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

青木宣親が、サンフランシスコ・ジャイアンツから来季の550万ドルの契約選択権を破棄された。このことにはいくつかの学ぶべき点が含まれている。

昨年オフにロイヤルズからFAとなった青木は、ジャイアンツと1年契約を結んだ。年俸は400万ドルで、2016年の契約に関してはジャインアツが550万ドルで選択権を持っていた。同球団は契約に盛り込んであった解約金70万ドルを支払い、この選択権の行使を見送ったのだ。

すでにいくつかのメディアで報道されているとおり、これは青木の退団を必ずしも意味しない。青木はFAとなったため、今後全球団との交渉が可能となるが、「全球団」には当然のことながらジャイアンツも含まれるからだ。

われわれ日本のファンには、このことには多くの示唆がある。

まずは、契約行為はビジネスであるということだ。日本流にいうなら、青木は「逆FA宣言」をされた訳だが、多くのNPB球団が「FA宣言した選手とは再契約をしない」とやや情緒的な対応を取っているのとは異なり、「550万ドルの価値は認めないが、『550万ドル-70万ドル未満なら考慮する』と言っているようなものだからだ。言うまでもないが、球団から見た選手の要否はその対価(年俸)との関係において左右されるということだ。

そして次の教訓は、残念ながらメジャーでは青木のような、小技に長けた巧打者だがパンチに欠ける野手への評価は高くないということだ。青木は昨季もリーグ優勝のロイヤルズのリードオフマンとして活躍したが、オフにはロイヤルズから再契約をオファーされず、ジャイアンツとの契約が成立したのも年明けの1月とかなり遅い時期だった。しかも、手にできたのはオプション付きとは言え400万ドルの1年契約。平均年俸が300万ドルを超える昨今、前年度世界一の球団ジャイアンツのリードオフがFA契約でありながらこの金額しか得られなかったというのは厳しい現実だ。

そして最後は、ジャイアンツは来季の編成に当たり青木をレギュラーとして起用することを前提には考えていなかったということだ。もちろん、それには脳震盪の後遺症への懸念もあるだろう。球団は公式コメントではそれを否定しているが、それを公言するのはエチケットに反するし、場合によっては選手組合から訴えられる危険もあるからだろう。今季の年俸よりさらに低い水準で引き留めることができるなら、けがの後遺症のリスクも含め、第4の外野手として(結果としてレギュラーになるかもしれないが)視野に入れたいとジャイアンツは言っているのだ。

このようなドライな思考回路により、ジャイアンツは青木に彼らが考えられる過不足のない金額で契約交渉ができるし、青木は(おそらく愛着があるであろう)ジャインアツも含め全球団と交渉できる。

「(球団への忠誠心に関する踏み絵のような)FA宣言をすべきかどうか」で悩んでいるNPB選手より、恵まれたビジネス環境といえるだろう。