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男女16人参加して11組カップリング。オンライン婚活を開催してみたら「メリットしか感じなかった」件

大宮冬洋フリーライター
5月末に開催した婚活パーティーの様子。男性7名、女性9名でした(写真:ハチドリ)

気軽さが身上のオンライン婚活パーティー。カップリング率は1、2割増えた

 ソーシャルディスタンスが定着しつつある。従来の婚活パーティーや合コンなど不特定多数が顔を合わせる形の婚活はやりにくいため、Zoomなどのツールを使ったオンラインでの婚活パーティーやお見合いが急速に普及している。実際に主催してみたら、何が見えてくるのだろうか。5月末、東京で結婚相談所ハチドリを運営する女性2人と「スナックハチドリ」と称する婚活パーティーを共同開催してみた。

「婚活の幅が広がるという意味ではメリットしか感じませんでした。結局は直接会わなければ交際には発展しないけれど、リスクを考えるとその前にオンラインお見合いやオンラインデートというワンクッションが入らざるを得ない。それがデメリットと言えばデメリットでしょうか。でも、オンラインでの婚活パーティーやお見合いはマッチング率が上がると感じています。私たちが主催するリアルの婚活パーティーより1、2割増しの確率です。気軽さがいいのかもしれません」

 Zoom画面越しに前のめりで答えてくれるのはハチドリの岡本裕子さん。共同で実施したのは男女の人数を揃えた総当たり戦(お見合い回転ずし)方式の婚活パーティーではない。個人的な話がしやすい「スナック」という名目にして、独身であることを条件に30代40代の男女に応募してもらった。1時間半で2千円。オンラインイベントとしては高めの価格設定だと思う。

ハチドリの2名と開催しました。右上が岡本さん、下が田中さん。やたらに元気でやる気がある女性たちです(写真:ハチドリ)
ハチドリの2名と開催しました。右上が岡本さん、下が田中さん。やたらに元気でやる気がある女性たちです(写真:ハチドリ)

嫌ではない異性全員にオファーしてもいい。そこから広がる縁もある

 スナックハチドリには男性7名と女性9名が参加してくれた(主催3名は除く)。Zoom画面上の名前はニックネーム(本名でも可)に変更してもらい、主催者(ホスト)3名で「オンライン時代の婚活」について少しだけ講演。その後、「ブレイクアウトルーム」という班分けの機能を使って3組に分かれ、それぞれに主催者がリード役として入った。15分ごとに席替えをするので、異性とは全員と少人数の「ルーム」で話せる仕組みだ。

 最後に同性だけの「男部屋」「女部屋」に分けてぶっちゃけ話をして終了。気になった異性と連絡先を交換したい場合、Zoom終了後にハチドリにメールで申告すれば相手に打診してくれる。今回は11組が連絡先を交換に成功した。

「16人中12人です。婚活パーティーとしては高いカップリング率だと思います。もちろん、複数の異性にオファーしてカップリングした人も入れての数字です。でも、自分からオファーした人はすべて誰かと連絡先を交換できました。残りの4人の内訳は男性1名、女性3名です。この方たちは誰にもオファーしていません。嫌ではない異性全員にオファーすれば、そこから広がる縁があるかもしれないのに……。せっかくの時間とお金がもったいないな、と思います」(岡本さん)

リアルのように「雰囲気」や「同時会話」がないのがオンラインの難しさ

 主催者側の反省点もある。参加者からも後から指摘されたことだが、「主催者3人が話してばかりで、肝心の参加者同士が会話しにくかった」というものだ。オンライン会議の性質上、複数の人が同時にしゃべることはできない。沈黙を避けようとするとどうしても主催者ががんばってしまう。途中で主催者が画面上から抜けて、参加者だけで話せる時間を設けるべきだった。

 また、住んでいる地域や職業、年代などを参加者は事前に知らなかったため、遠隔の人同士がカップルになってしまうこともあった。遠距離恋愛に発展することを祈りたい。次回は、事前に共有していい情報を参加者にヒアリングすることが必要だと感じた。

 では、参加者側がカップリングの成功率を上げるコツは何だろうか。岡本さんによれば、「見た目」「明るさ」「表情」の3点に尽きる。

「オンラインは画面しか見えないので、体型などは隠しやすいという利点があります。その代わり、みんなに見えている画面には注意しましょう。意外と抜けがちなのが背景です。自宅の居間などから参加してくれた方がいましたが、部屋干しの洗濯物など生活感が出すぎるのはよくありません。大宮さんみたいに仮想背景を使ってもいいけれど、できれば映る部分だけはキレイにしておきましょう。白っぽく明るい部屋で、お洒落な小物などが映っている上級者もいましたね」

 笑うときは表情も大げさなぐらい笑顔にならないと相手に伝わらない。リアルな場のように「雰囲気」はないのがオンラインの難しさだ。

チャンス到来! 大切なのは自分が安心して参加できるオンライン婚活の場を探すこと

 婚活の目的は多くの人からモテることではない。デートを重ねて交際し、たった一人の誰かと結婚することだ。飲食店やリアルイベントでのデートがしにくい現状では、交際に至るまでのスピードはむしろ速まっていると岡本さんは指摘する。

「オンラインデートは2回ぐらいが平均でしょうか。それぞれお酒を飲みながら話したり、同じ映画を観たり、対戦型のゲームをしたり。オンラインでもそれなりに楽しくできる力は求められます。そして、交際するには1度は直接会わなければ無理ですよね。場所は公園やオープンテラスのお店でしょうか。どんどん暑くなってくる季節なので外でできることは限られています。交際が決まったら、どちらかの家に行くしかないでしょう」

 三密というリスクを負い合うのが夫婦である。それが嫌なのであれば、一人で生きていくしかない。ただし、オンライン婚活を活用すれば、「リスクを負ってもいい相手」を画面越しに顔を合わせて選び合うことができる。

 最後に、高いカップリング率の種明かしをしよう。今回の参加者はいずれもハチドリもしくは筆者のことをホームページや記事を通して知っている人たちだった。全員が穏やかな大人であり、趣味を共有しているような安心感があった。それがなければ参加率もカップリング率ももっと低かったはずだ。

 スナックハチドリはごく一例に過ぎない。大切なのは、自分が安心して参加できるオンライン婚活の場を探すことだ。そして、髪型と服装(上半身だけでいい)を整え、顔に当たる照明は明るめにし、笑顔を心がける。「嫌じゃない」と思う異性がいたら、主催者を通して連絡先交換を求める。これだけでいいのだ。自宅でも気軽に参加できるので、忙しく婚活できなかった「掘り出し物」の異性と会えるかもしれない。悲観的なニュースが多い昨今だが、婚活に関してはチャンスが到来している。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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