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費用が高くて、手続きが面倒!? 結婚相談所って私のために何をしてくれるの?~結婚相談所の本音(9)~

大宮冬洋フリーライター
会員の良き日常が見えるようなプロフィールを作るのも仕事。イラスト:つぼいひろき

 マッチングアプリが全盛の時代だ。一方で、昔ながらの「お見合いおばさん(おじさん)」が経営する結婚相談所もしぶとく生き残っている。会員一人ひとりの性格や事情を把握して、お見合いを組み、相談に乗り、結婚というゴールを一緒に目指していく。地道な仕事だ。彼らは具体的に何をしてくれるのか。料金は妥当なのか。そのやり方で本当に結婚できるのか。いろんな疑問がわいてくる。

 筆者は全国の結婚相談所を訪ね歩く連載を続けている。顔を合わせて話してみると、意外な現実を知ることが多い。こちらが率直な質問をすると、期待以上に赤裸々な回答が返ってきたりする。本連載ではその一部を読者と共有したいと思う。

 今回は根本的な疑問をぶつけたい。結婚相談所は、アプリや婚活サイトに比べると格段に費用がかかる。また、独身証明書をはじめとする各種の書類提出を求められる。「高いし面倒臭い」と敬遠する向きもあるだろう。「だからこそ結婚に真剣でちゃんとした人が集う場なのだ」と言うこともできるが、それだけではメリットを感じにくい。入会すると、どのようなサービスを受けられるのだろうか。愛知県で結婚相談所を母親から継いで運営している寺下愛さんに話を聞いた。

「この人に会ってみたい」と思えるプロフィールを作成し、お見合いの確率を上げる

――寺下さんは入会してくれた人にまず何をしてあげますか?

 私が好きで自信がある作業の一つは、会員さんのプロフィールを細かく具体的に書いてあげること。目にした人が「この人に会ってみたいな」と思えることが大事なので、できるだけ日常生活が見えるような情報をたくさん聞き出し、いいところを拾って書くようにしています。

 例えば、趣味は料理だという男性がいたとします。「唐揚げが得意で、家族の人気メニューです」と書けば、幸せな食卓のイメージがわきやすいでしょう。家族仲の良さをアピールするエピソードとしては、「甥っ子に『お兄ちゃん』と呼ばれて頼られています」などと聞き出せるといいですね。

――魅力的なプロフィールを作成することは、お見合いの質と量を確保するために最重要ですよね。お見合いの席で共通の話題を探すことにも役立ちそうです。

 希望してもらえれば、私はできるだけお見合いに立ち会うようにしています。盛り上げる自信がありますよ。自分の会員さんとお相手のプロフィールをしっかり読み込んでおくことが基本です。例えば、共通の趣味が映画であることがわかっていたら、その話題を振ります。でも、「最近は忙しくて映画を観ていません」なんて答えだと話が広がりません。会員さんには「最近観た映画の話はお見合いの席で必ず聞くからね」とあらかじめ伝えておきます。

「結婚がすべて」だとは思わない。だけど、本当に結婚したい人は応援したい

――なかなかお見合いを組めない人も必ずいますよね。どうしていますか。

 自分の姓を変えたくない、という女性がいたとします。一般的な条件とは言えないのでお見合い相手は限定されてしまいます。そのような場合は、私が個人的に信頼している数人の先生(結婚相談所のカウンセラー)に相談することが多いです。結婚相談所同士で信頼関係があると、会員さんの条件を細かくすり合わせることができ、いいご縁につながることが少なくありません。

 キレイごとに聞こえるかもしれませんが、私は「お金が入ればそれでいい」という仕事はしたくありません。結婚相談所は人の幸せに大きく関わる仕事なのでなおさらです。大切なのは成婚数を上げることではなく、2人が幸せな結婚生活を送ることだと考えています。

 今は男女ともに結婚しなくても生きていける時代です。親御さんがどんなにやる気があっても、本人が結婚したくなければ仕方ありません。「結婚がすべて」だとは思わないけれど、本当に結婚したい人は応援したい。だから、この仕事を続けています。無理に入会してもらおうとも思わないし、成婚を急かすこともありません。

 

――会員が交際を始めてからはどんなサポートをしていますか。

 困ったことがあったら何でも相談してもらうようにしています。例えば、交際を中止したいのに断れない女性がいたとします。本人は自分の口から切り出すべきだと思って困っている。とても常識的で素晴らしい女性だと思いますが、結婚相談所を介している場合は私たちカウンセラーに任せてかまいません。「お断り」も上手に代行しますから。

 自由恋愛と同じですが、お見合いは確率論です。数をこなして初めて自分に合った人が見えて来ることもあります。「ちょっと違うな」と思ったら、早めに次に行くことも大事なのです。

 結婚とは生活なので、一時の恋愛感情に流されないことも必要です。私たちは経験豊富で冷静な第三者の立場で2人を見守っているので、必要なときは歯止めをかけることもできます。それはアプリとの大きな違いです。

 以上が寺下さんへのインタビュー内容だ。フリーライターの筆者が軽い嫉妬を覚えたのは、会員のプロフィール作成のくだりである。日常生活に関してできるだけ具体的に聞き出し、「この人に会ってみたい」と思えるプロフィールを書いてあげるなんて有意義だし面白そうだ。顔を合わせて信頼関係を築かなければできない作業だとも感じる。自分では見えない自分の魅力を引き出してアピールしてもらえるだけでも、アナログな結婚相談所の利用価値はあると思った。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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