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転職と婚活は似ている。内定をもらうと「この条件では無理」と思ってしまう(「スナック大宮」問答集40)

大宮冬洋フリーライター
8年間でのべ2400人と飲み交わしてきたスナック大宮のこぼれニュースコラムです(写真:アフロ)

スナック大宮」と称する読者交流飲み会を東京、愛知、京都などの各地で毎月開催している。2011年の初秋から始めて、すでに120回を超えた。お客さん(読者)の主要層は30代40代の独身男女。毎回20人前後を迎えて一緒に楽しく飲んでいる。本連載「中年の星屑たち」を読んでくれている人も多く、賛否の意見を直接聞けておしゃべりできるのが嬉しい。

 初対面の緊張がほぐれて酔いが回ると、仕事や人間関係について突っ込んだ話になることが多い。現代の日本社会を生きている社会人の肌からにじみ出たような生々しい質問もある。口下手な筆者は飲みの席で即答することはできない。この場でゆっくり考えて回答したい。

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「転職活動と婚活は似ているなと感じています。内定をもらったらすぐその会社に行く!と決めていましたが、いざ内定をいただいてみると『いやこの条件では無理かも』と冷静になる自分がいます」(40代後半の独身女性)

「自分が好き好んで選んでいる」という自覚を持たないと、成功も失敗もしないまま人生が終わります

 労働をするのが人間の定義だ、結婚して次世代を育てないと大人としての責任を果たしたとは言えない……。このような言説を目にしなくても、自分自身の中に「そうあらねばならない。実行できていないのは恥ずべきことだ」という気持ちがある。同調圧力の強い日本社会だからなおさらなのだと思う。

 現実の社会には、財産や年金だけで働かずに暮らしている人もいれば独身のまま生活を楽しんで死んでいく人もいる。彼らが全員、生き方を間違っているとは誰にも言えないはずだ。大人としてやるべきは、「自分で自分を幸せにすること。できれば周囲も幸せになるように配慮すること」に尽きると筆者は思う。働かず、結婚もせずに気分よく暮らし続けられるならば、それはそれで美しい生き方なのだろう。

 幸せに暮らすためには、「自分で選んだ人生なのだ」という自覚が必要だ。大企業に勤めていて家族にも恵まれているのに、上司の無能を呪ったり自由な時間やお小遣いの少なさを愚痴ったりする人は少なくない。常に深刻で不機嫌。本当に嫌ならば別の道を選び直せばいいのだが、「無責任なことはできない」と言い訳を重ね続ける。失敗や孤独が怖いのだろう。

 転職活動や婚活にも同じ現象が起こりやすい。世間体を気にして「こうあらねばならない」と会社や結婚相手を探しても、必ずどこかで欠点を見つけてしまう。そして、一歩も踏み出せなくなってしまう。それでは成功も失敗もできないままに人生が終わりかねない。

 自分が好き好んで選んでいるという自覚を持てば、失敗があまり怖くなくなる。失敗から学ぶことがたくさんあると実感できるからだ。失敗は生々しい固有の体験であるだけに、自分の深いところ生き続け、今日からの生活を豊かにしてくれる。この体験は安全な場所で座学することは決してできない。

 仕事や結婚は何度でもやり直しができる。本当に結婚したいのであれば、条件などを気にし過ぎずに、踏み込んで前に進むべきだと思う。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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