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きょう閉店します。僕が「お見合いおじさん」を辞める理由~お見合いおじさん活動月報(最終回)~

大宮冬洋フリーライター
5年間も続けてきた「お見合いおじさん活動」。もうやめます。イラスト:つぼいひろき

「結果を出すことができずに申し訳ありません」

<自分も楽しくて他人の役にも立てる趣味がほしいと思ったのです。恋バナと会食が大好きな僕が見つけたのが、お見合いおじさん活動:略称おみおじ。自分の周囲にいる独身男女に声をかけて引き合わせる活動です。(中略)結婚願望がある独身男女に優しくお節介する! 愛すべき隣人の婚活を結婚相談所やネットだけに任せておかない! 全国に広まってほしい「おみおじ」の実例をリポートします。>

 こんな宣言文から始まるおみおじを5年間も続けて来ました。通算で20人ぐらいの独身男女にオネット(大宮ネットワーク)の会員になってもらい、月1ペースでお見合いを実行して来たんです。そのうちの1人は僕がセッティングした合コンをきっかけにして結婚。かろうじて成婚数1件とカウントしています。なお、別の場所で見つけた相手と結ばれた「卒業生」は過去5人います。今ごろ、幸せに過ごしているかな?

 昨年末には本連載上でもお見合い希望者を募り、男女合わせて60人以上もの方からお問い合わせをいただきましたね。そのうちの15人ほどとは面談をさせてもらい、僕がお世話をしている男女とのお見合いを行いました。いずれもうまくいきませんでしたけど……。

 なんだか行き詰まりを感じてしまい、無期限でおみおじを休止することにしました。お問い合わせをいただいた方、ごめんなさい。長くお世話をしている7人のオネット(大宮ネットワーク)会員さんにもご説明とお詫びのメールを差し上げたところです。ほぼ全員から「今までのお世話をありがとうございました。嬉しかったです」「結果を出すことができずに申し訳ありません」などの温かい返信をもらいました(涙)。

僕がお見合いおじさんを辞める2つの理由

 なぜ行き詰まってしまったのか。原因は僕の能力と性格にあります。お見合いを組む際、本人たちの意向は適当に聞き流して、僕が「この2人は相性がいいに違いない!」と直感した2人に会ってもらっていました。しかし、その直感アンテナ自体が壊れているようで、お見合いした当人たちが意気投合するケースはほとんどなかったのです。僕のおみおじ活動を興味なさそうに見ていた妻からは「あなたにはマッチングセンスがない」と断言されました。

 正直に言えば、「僕がいいなと思う男性と女性同士であれば大丈夫。僕の顔を立てて交際ぐらいはしてくれるだろう」という気持ちがあるのです。だから、お見合いした後に「ときめきを感じない」程度の理由であっさり断られたりすると顔に泥を塗られた気分になってしまいました。せめて3回ぐらいデートしてから判断してよ……。

 一緒におみおじをやってくれた婚活講師のマチコ先生は、お母さんもボランティアで「お見合いおばさん」を長くやっているという筋金入りの世話焼きタイプ。そのお母さんによれば、お見合いは「千三つ(1000件に3件ぐらいうまくいけば良しとする)」の世界とのこと。わずか60件ぐらいのお見合い不成功でイライラしている僕はお見合いおじさん失格なのですね。

結婚相手に「高いもの」を求め続ける人たちはどうすれば結婚できるのか

 お見合いのセッティングやフォローを精力的にこなしてくれたマチコ先生にも反省点はあるようです。

「オネットのメンバーおよびお見合い相手募集で来てくれた方々は、男女ともにきちんとしていてハイレベルだと感じました。それだけにおみおじ終了はとても残念です。女性は自分のレベルが高いだけに相手の男性にも高いものを求め続ける層だとも感じました。例えば、『僕は日経新聞なんて読まないタイプです』なんて男性が謙遜しただけで、(日経新聞を読んでいる)私との結婚は無理だ、と判断してしまう。私も女性なので共感していたのですが、母からは『一事が万事、ではない。もっと大きな視点で男性を見るべき』と諭されました。逆に、男性にはお見合いで気をつけるべきポイントをあらかじめ伝えておくべきだったと反省しています。謙遜のし過ぎやしゃべり過ぎに気をつけること、お茶代ぐらいは自分がすべて払うこと、などです。ちょっとしたことで、女性からの第一印象は大きく変わります」

 さすがマチコ先生。冷静かつ前向きなコメントですね。一方のつぼいさんは相変わらず能天気(失礼)な感想メールを寄せてくれました。お見合いが失敗するたびにすねたり怒ったりしていた僕。5年間、ずっと彼に救われ続けていた気がします。

<ボクはオネットメンバーのみなさんとはお会いしていない方のほうが多いので、好き勝手に絵を描かせてくれたことにまずはお礼を言いたいです! ありがとうございました! 彼らがたまに大宮さんに説教されながらも(笑)、何度もお見合いにチャレンジする姿を、ボクは面白おかしく描きながらも実はリスペクトしていました。きっとたくさんの読者が勇気づけられていたのではないかと思います。お見合いについては、やはり1対1のマッチングは難しいのだなあと感じました。でもマッチングが悪かっただけで(大宮さんごめんなさい)、オネットに参加された方々は魅力的な人たちばかりだと思います。引き続き婚活を続けて欲しいです! きっと良い出会いがあります。是非ご報告をいただけると嬉しいです。そのときはボクの描いたイラストも晴れて黒歴史に! それを待ち望んでいます!^フ^>

自由に相手を探して恋愛で結ばれたい人たち。そのための「場」は提供します

 お見合いおじさんとしては挫折した僕ですが、「出会いの場」を作ることだけは得意だと思っています。プライベートでも同窓会やら飲み会やらを毎週のように企画して、友人たちからは「オシャレではないパリピ」と称されているぐらいですからね。読者向けにも「スナック大宮」と称する交流会を毎月開催しています。

 このスナック大宮で勝手に見初め合って婚約に至った人たちが今までに3組もいるんですよ。のべ2000人ほどが参加しているうちの6人だから、まさに千三つ! 婚活パーティーではなく僕のファンクラブという名目なのでカップルができなくてもまったく悲しくなりません。やっぱり多くの人は「自由」に相手を探して恋愛で結ばれたいんですね……。

 7人の元オネット会員には「結婚するまではスナック大宮に優先的に参加できる権利」をお渡ししたところです。僕はもう余計なお世話はいたしません。好き勝手に恋をして幸せになっちゃってくださいね!

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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税込2,970円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

大宮冬洋が自分の周囲にいる独身男女に声をかけて引き合わせる、お見合いおじさん活動「オネット」(大宮ネットワーク)の舞台裏をご紹介。オネット会員の匿名のプロフィールやお見合いの様子、成婚&退会者インタビューのほか、チームメンバーの婚活講師マチコ先生による婚活必勝アドバイスもお届けします。また、本連載の購読者は無料オプションとして、会員とのお見合いを希望することもできます。

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