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「寿退社」してまで婚約したのに破談。婚活をぼちぼちと再開します~お見合いおじさん活動月報(11)~

大宮冬洋フリーライター
イラスト:つぼいひろき

 自分も楽しくて他人の役にも立てる趣味がほしいと思ったのです。恋バナと会食が大好きな僕が見つけたのが、お見合いおじさん活動:略称おみおじ。自分の周囲にいる独身男女に声をかけて引き合わせる活動です。

 僕は友人でもあるイラストレーターのつぼい氏と組んで、2014年の春からおみおじを楽しんでいます(今までの活動レポートはこちらこちら)。僕の人脈をオネット(大宮ネットワーク)、つぼいさんの人脈はツヴォイと称して、男女それぞれ4人の会員に良さそうな独身者を紹介しているのです。

 僕たちのおみおじによって結婚した人は今のところ1人のみ。でも、いまだ独身の会員からも感謝されていますよ。友人知人のお墨付きの独身異性と出会えることって、年齢を重ねるごとに少なくなっていくからです。おみおじで恋愛感度を向上させ、別の場所で見つけた相手と結ばれた「卒業生」は過去3人います。「私は婚活に向いていないことがわかった」と去って行った人は5人もいますが、それもまた有意義な自己発見ですよね。

 結婚願望がある独身男女に優しくお節介する! 愛すべき隣人の婚活を結婚相談所やネットだけに任せておかない! 全国に広まってほしい「おみおじ」の実例をリポートします。

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コミュニケーション下手の男性との遠距離恋愛

「今日も神社でおみくじを引いたら『凶』でした。去年の8月から、悪いことばかり起きています…」

 昨年7月に婚約したはずの原田直美さん(37歳)が「オネットに戻りたい」と連絡をくれました。東京・門前仲町の喫茶店「東亜サプライ」で再会すると、なんだか疲れた様子です。聞けば、婚約相手が住む関西地方に引っ越すべく長年勤めた会社に辞表を出したのに、婚約自体が破談になってしまったとのこと。傷口に塩を塗るようで申し訳ないのですが、何が起きたのかを教えてください。

「7月に婚約してから、彼が急に不安定になりました。メールやLINEのちょっとした文章や絵に『どんな意味なのですか?』と突っ込んでくるようになったんです。会話は相変わらず『です/ます』調。このまま結婚して大丈夫なのかな?と不安になりました」

 婚約相手は真面目な研究者で、一人暮らし歴も長いようです。おそらく彼のほうも「マリッジブルー」になり、激しく混乱していたのだと思います。最初から遠距離恋愛で結婚をするのは難しいタイプかもしれませんね。

 自分が会社を辞めて彼のもとに行くしかないと決意した直美さん。ただし、急に辞めて会社に迷惑をかけるわけにはいきません。結婚話が進んでいた7月には退職の意向を伝えてありました。理由は「結婚して相手の住む県に引っ越すから」です。それなら会社としても納得せざるを得ませんよね。

短くて、ぶっきらぼうで、失礼なメールや電話

 しかし、8月になると婚約相手の様子がますますおかしくなり、ついには「会社を辞めるなんて聞いていない。辞めるのは良くない!」などと口走るようになったのです。何度も話し合い、リスクを負ったのは直美さんなのに、そんなことを言われたら立つ瀬がありませんよね。

「そんな大事なことを知らないふりをするような人とは話し合えないし、一緒に暮らすことなどできません。お付き合い自体をやめることにしました」

 終わったことなので仕方ありませんが、直美さんにアドバイスさせてください。世の中にはコミュニケーションが不得意な男性が意外なほど多いということです。特にメール。短くて、ぶっきらぼうで、失礼な印象を受ける文面も少なくありません。当然連絡するべきタイミングで何の連絡をしない人もいます。彼らは悪意があるのではなく、能力が劣っているのです。家庭や社会で求められたり鍛えられたりして来なかった結果、とも言えます。

 最も有効なのは、顔を合わせてこちらから腹を割ること。「どうしてちゃんとメールしてくれないのか」と責め立てるのではなく、とにかく隣にいて一緒に何かをするといいでしょう。野球観戦でも料理でも何でもかまいません。その時間に苦痛を感じてしまうようならばあきらめましょう。逆に、一緒にいることがお互いに心地良いのであれば、言葉などはあまり重要ではないと思います。彼が変なことを口走ってもスルーして、「実際に引っ越す」「お互いの親に会う」などの行動で結婚話を進めてしまえばいいのです。

今後、男性に求める条件は「心も体も健康であること」

 現在は都内のIT関連会社で契約社員として働いている直美さん。収入が半減してしまったため、一人暮らしもできずに実家での生活を続けています。ただし、長年勤めた会社を幻の結婚で辞めてしまったことに後悔はないようです。聞けば、忙しい時期は「8時半から24時半まで」という長時間労働で、職場にはセクハラ気味な独身男性もいました。頑張り屋の直美さんはそれでも働き続けて来たのですが、転職した今となっては「仕事と感情をコントロールできるようになった」と感じています。あまりの忙しさに、婚約相手だけではなく直美さんも少しおかしくなっていたのかもしれません。

「私は何事もガツガツやってしまうタイプで、気持ちもこり固まっていました。婚活も仕事もリセットしたことで気が抜けてしまい、頑張りすぎなくていいのだとようやく思っています」

 こういうタイミングで良き出会いがあったりするかもしれません。婚活をぼちぼち再開したい直美さんは男性に「心も体も健康であること」を求めているそうです。大事なポイントですよね。直美さんの再出発を応援したいと思います。

(僕とつぼいさん以外の登場人物は仮名です)

※原田さんの仮名は「尚子さん」でしたが、事情により「直美さん」と改名しました。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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