転職で東京に来て1年。友だちができません。ひとりぼっちです。(「スナック大宮」問答集その3)

 5年ほど前から、「スナック大宮」と称する読者交流飲み会を東京・西荻窪などで毎月開催している。お客さん(読者)の主要層は30代40代の独身男女だ。毎回20人前後を迎えて一緒に楽しく飲んでいる。この「ポスト中年の主張」を読んでくれている人も多く、賛否の意見を直接に聞けておしゃべりできるのが嬉しい。

 初対面の緊張がほぐれて酔いが回ると、仕事や人間関係について突っ込んだ話になることが多い。現代の日本社会を生きている社会人の肌からにじみ出たような生々しい質問もある。口下手な筆者は飲みの席で即答することはできない。この場でゆっくり考えて回答したい。

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「金融関連の専門職をしています。10年近く海外で働き、国内でも地方都市を転々として来ました。シェアハウスや独身寮を利用していたこともあり、友だちや恋人がいなかったことはありません。でも、昨年から初めて住み始めた東京では、1年経っても友だちができません。会社の同僚とたまに飲みに行く程度。孤独です。東京で今から友だちを作るにはどうしたらいいのでしょうか?」(40代前半の独身男性)

 この悩みを聞かせてくれたAさんは関西出身。彼によれば、東京は人が多いけれど関係性が冷たすぎる。街中や店舗内で隣り合った他人は「無視」が基本。下手に話しかけたりするとギョッとされてしまう。同僚の友人などの場合は他人ではないので言葉を交わすが、その場だけお互いに如才なく振る舞って二度と会わないことが多い。

 東京は人が多い。面白い人もたくさんいる。だけど、人と人の距離が遠い。なぜなのか。筆者は2つの原因があると思う。

 1つは、人の流動性と過密性が高すぎることだ。全国各地から人がやって来ては去って行く。家を買ったとしてもマンションであることが多く、ご近所付き合いは少ない。知り合いができたとしても、お互いに「一時的なもの。この人がいなくなったら別の人がやってくる」という感覚がある。語弊を恐れずに言えば、取り換えがいくらでもできるのだ。普通、取り換え可能なものをすごく大事にしようとは思わない。

 もう1つの原因は、東京に限らず都会は危険が多いこと。悪人が多いという意味ではない。見ず知らずの関係がほとんどなので、人間の悪い部分が出やすいのだ。例えば、駅前で詐欺まがいのキャッチセールスの勧誘を受けることも少なくない。しつこくされても誰も助けてくれない。他人は潜在的な敵、という感覚が強くなって当然だ。

 地方都市ならそうはいかない。「駅前に変な人がいるよ。どこの誰?」という話がすぐに広まる。良くも悪くも相互監視社会なので危ない人は明確になりやすい。酒場でも、客の多くは「知り合いの知り合い」だ。だからこそ、他人への警戒心は都会に比べるとゆるい。食品スーパーなどで買い物中に、近くのおばちゃん客に「納豆はどこで売ってる?」と聞いても親切に教えてくれるだろう。

 では、初めての東京で一人暮らしをしているAさんはどうすればいいのだろうか。筆者ならば3段階で考える。同僚の友だちと本当の友だちになる、友だちを3人作る、それでも寂しかったら結婚する、の3段階だ。

 第1段階。「友だちの友だちはみな友だち」作戦である。同僚の友人知人を紹介されたとしても「今度また飲みましょう」の社交辞令で終わりやすいと先述した。友だちになりたいのであれば、断られることを覚悟でこちらから誘うのだ。キャリアアップのための人脈作りなどではなく「一緒に飲むと楽しそうだから」という気持ちを伝えよう。東京生活が長い相手は他人と距離を置くことが習慣化している。だからこそ、こちらから一歩踏み込まなければならない。

 同僚という共通の知り合いがいるため、「新興宗教やネットワークビジネスの勧誘かもしれない」という恐れを抱かれる心配はほぼないだろう。ただし、相手の生活状況や心境に配慮しながら付き合うことは必要だ。我々は暇な学生ではない。どんなに親しかったとしても、あえて約束して一緒飲んだりするのは月に1回ぐらいが社会人として妥当だろう。こちらから誘うのは3ヶ月に一度ぐらいにしたい。

 すると第2段階が必要になる。「3ヶ月に1回は誘える友だち」を3人作っておけば、月に1回ぐらいは友だちと遊ぶことができる。孤独感はずいぶん和らぐだろう。1人の友だちに寄りかかることがないため、それぞれとの関係性も長続きしやすいと思う。

 それでも寂しい場合は第3段階に進もう。新しい友だちができにくい人は恋人も作りにくい。しかし、結婚は別だ。40代前半でしっかり働いているAさんならば、「容姿端麗のアラサー女性がいい」などと無茶な条件に固執しない限りは、半年以内に気の合う結婚相手が見つかる。ウソだと思うならば結婚相談所に登録してみてほしい。

 筆者の定義では、結婚相手は一番の親友だ。家族でもある。いつでも電話できるし、毎日一緒に食事ができる。日々の孤独感はなくなる。それでも友だちは必要だし、たまには男同士、女同士で飲み交わしたい。相手も既婚者の場合は、夫婦単位・家族ぐるみで仲良くなれたら最高だ。

 寂しい、ひとりぼっち、孤独だ――。大昔から群れで生きてきた人間にとって自然な感情だと思う。いつもはスマホやテレビや酒で誤魔化せばいい。でも、ゆっくり寝て体調がいいときなどに「どうして寂しいのだろう。自分は何を求めているのか」を改めて考えるべきだ。本当に必要な人間関係が見えてくるだろう。

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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